文献情報
文献番号
202317011A
報告書区分
総括
研究課題名
新規性の高い技術を活用した障害者支援機器の開発と利活用を促進するための分野横断的調査研究
課題番号
22GC1009
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
硯川 潤(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所福祉機器開発部)
研究分担者(所属機関)
- 伊藤 和幸(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所福祉機器開発部)
- 門馬 博(杏林大学 保健学部)
- 原田 祐輔(杏林大学 保健学部 )
- 澤田 有希(帝京科学大学 医療科学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
10,750,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
今年度は昨年度に実施した調査等の結果を踏まえ,各技術分野において継続して深掘り調査を実施した.3Dプリンタの自助具応用では,実際の臨床現場において機材設置がもたらす促進効果を検証した.XR分野では専門職への調査から,生活支援機器としての応用に向けた課題を抽出した.情報通信技術分野では,個別ユーザへのスマートデバイス利用状況調査から,普及促進に向けての対応を検討した.また,評価適応判定に関する基準・指標に関しては,各分野の技術特性に応じた普及促進策を検討した.支援機器開発のための指針検討については,医療専門職を対象に開発参加の実状を調査した.
研究方法
1) 支援機器の評価・適応判定のための基準・指標に関する指針:大規模言語モデル(LLM)で自助具モデルを作成するためのマクロのコードを作成することを検討した.また,昨年度に実施したXR分野の調査で収集された機器の評価論文について,方法のセクションで述べられている評価指標・項目を抽出し,比較した.
2)新技術を利用した支援機器開発のための指針:全国の養成校に勤務する理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の有資格者を対象に,支援機器開発企業との協力実態を明らかにするためのwebアンケート調査を実施した.
3) 3Dプリンタを含むデジタルファブリケーション(DF)技術:3Dプリンタを保有していないリハビリテーション施設に3Dプリンタを設置し,当該施設に所属する作業療法士を対象として,臨床現場での3Dプリンタの活用の状況や,活用における課題,導入の促進要因を把握するためアンケート調査を実施した.
4) VR・AR・MR (=XR)関連技術:先行研究で作成した障害者支援用XR技術製品のマトリックスを参考に,本研究では障害者の生活範囲向上と運動機能改善等に関連するVRコンテンツの試用にもとづいた専門職インタビュー調査を実施した.
5) AI・IoT を中心とした情報通信技術:スマートフォンやタブレット端末,スマートスピーカー等のスマートデバイスを利用して室内の家電製品の操作を行っている障害者に対して半構造化的に質問内容を定め,インタビュー調査を行った.
2)新技術を利用した支援機器開発のための指針:全国の養成校に勤務する理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の有資格者を対象に,支援機器開発企業との協力実態を明らかにするためのwebアンケート調査を実施した.
3) 3Dプリンタを含むデジタルファブリケーション(DF)技術:3Dプリンタを保有していないリハビリテーション施設に3Dプリンタを設置し,当該施設に所属する作業療法士を対象として,臨床現場での3Dプリンタの活用の状況や,活用における課題,導入の促進要因を把握するためアンケート調査を実施した.
4) VR・AR・MR (=XR)関連技術:先行研究で作成した障害者支援用XR技術製品のマトリックスを参考に,本研究では障害者の生活範囲向上と運動機能改善等に関連するVRコンテンツの試用にもとづいた専門職インタビュー調査を実施した.
5) AI・IoT を中心とした情報通信技術:スマートフォンやタブレット端末,スマートスピーカー等のスマートデバイスを利用して室内の家電製品の操作を行っている障害者に対して半構造化的に質問内容を定め,インタビュー調査を行った.
結果と考察
1)支援機器の評価・適応判定のための基準・指標に関する指針:生成を試行した15形状のうち7形状で,5回試行中の過半数以上で意図した形状が生成された.一方,5形状では一度も意図した形状が生成されなかった.
2)新技術を利用した支援機器開発のための指針:有効回答数は323だった.支援機器開発において企業と協力した経験を持つ医療専門職の特徴として,臨床経験の長さや支援機器に関する臨床業務経験を持つなど,豊富な経験を有していることが明らかになった.
3) 3Dプリンタを含むデジタルファブリケーション(DF)技術:本研究で調査対象とした施設における作業療法士の3Dプリンタ使用経験は3.8%であった.2022年度に実施した全国調査では作業療法士の3Dプリンタ使用経験は4.4%であり,当該施設の作業療法士は全国の作業療法士と同程度の3Dプリンタの活用率であることが明らかとなった.
4) VR・AR・MR (=XR)関連技術:コーディングとカテゴリー化の結果「VRゴーグルの物理的特性とユーザー体験」「シミュレーションの種類と有用性」「VR技術が有用となる対象者」「VRの限界と改善点」の4つのカテゴリーが抽出された.
5) AI・IoT を中心とした情報通信技術:頚髄損傷者2名、ALS患者1名、脳性麻痺者2名を対象に調査を行った.頚髄損傷者は発声できるため,音声によるスマートスピーカーを用いて効率良く家電製品の操作を行っていることが伺えた.発声できないALS患者,脳性麻痺者においてもスマートフォンやタブレット端末に備わるアクセシビリティ機能を使用して各種の家電製品を操作していることが伺えた.
2)新技術を利用した支援機器開発のための指針:有効回答数は323だった.支援機器開発において企業と協力した経験を持つ医療専門職の特徴として,臨床経験の長さや支援機器に関する臨床業務経験を持つなど,豊富な経験を有していることが明らかになった.
3) 3Dプリンタを含むデジタルファブリケーション(DF)技術:本研究で調査対象とした施設における作業療法士の3Dプリンタ使用経験は3.8%であった.2022年度に実施した全国調査では作業療法士の3Dプリンタ使用経験は4.4%であり,当該施設の作業療法士は全国の作業療法士と同程度の3Dプリンタの活用率であることが明らかとなった.
4) VR・AR・MR (=XR)関連技術:コーディングとカテゴリー化の結果「VRゴーグルの物理的特性とユーザー体験」「シミュレーションの種類と有用性」「VR技術が有用となる対象者」「VRの限界と改善点」の4つのカテゴリーが抽出された.
5) AI・IoT を中心とした情報通信技術:頚髄損傷者2名、ALS患者1名、脳性麻痺者2名を対象に調査を行った.頚髄損傷者は発声できるため,音声によるスマートスピーカーを用いて効率良く家電製品の操作を行っていることが伺えた.発声できないALS患者,脳性麻痺者においてもスマートフォンやタブレット端末に備わるアクセシビリティ機能を使用して各種の家電製品を操作していることが伺えた.
結論
昨年度の調査結果に基づき,3Dプリンタの自助具応用,XR関連技術応用,情報通信技術応用の各分野について,必要性が認識された対応策の検討を行った.新技術の生活支援機器分野への導入は重要な課題であるが,その促進策は各分野の技術特性や普及フェーズに応じて検討する必要がある.本研究課題において示された課題や有用性の示唆される対応策については,今後も継続した調査・研究が必要である.
公開日・更新日
公開日
2024-05-31
更新日
-