文献情報
文献番号
202317010A
報告書区分
総括
研究課題名
真のニーズに基づく支援機器の開発・事業化を実現するための出口・普及を想定した支援ネットワークモデル構築のための研究
課題番号
22GC1008
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
八木 雅和((一般社団法人)臨床医工情報学コンソーシアム関西 人材育成 プロジェクト企画)
研究分担者(所属機関)
- 桝田 浩禎(大阪大学 大学院医学系研究科 心臓血管外科)
- 上野 高義(大阪大学大学院医学系研究科 保健学専攻看護実践開発科学講座)
- 浅川 育世(茨城県立医療大学 保健医療学部 理学療法学科)
- 西嶋 一智(宮城県 リハビリテーション支援センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
9,583,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
少量多品種である支援機器の開発・事業化では、適切なニーズの設定が行われない等により、開発後に事業を継続して普及させていくための十分な収益が見込めず、事業として成り立たなくなる事例等が存在する。そこで、本研究では、過去のデザイン思考等を基にした調査研究等の成果を踏まえ、出口・普及を想定した真のニーズに基づく一連の開発・事業化プロセスに関するガイドラインを作成し、それに基づいて効率的に開発支援を行うことが可能なネットワークモデルを構築することを目的とする。
研究方法
令和4年度の結果を踏まえ、追加調査を実施し、一連の開発・事業化プロセスに基づいて開発支援ができるガイドライン(以下、「ガイドブック」という。)を作成し、支援機器ネットワークモデルを検討・構築した。
支援側の観点から、開発支援ネットワークモデル構築の観点からの追加アンケート調査を行った。具体的には、まず、ガイドライン第一案及び令和4年度アンケート調査の結果及び有識者フィードバックを踏まえ、支援機器開発実績が豊富な国立病院機構に追加調査を依頼した。アンケート回答にあたり具体的な回答を得やすくするため、追加調査前に国内において普及がされていない食事支援機器(Obi)の事例検証を事前に依頼し実施した。そして、国外における支援団体等に関する調査を行った。
また、開発者側の観点から、前年度に作成したガイドライン第一案に基づいて、主に海外展開等の観点から、標準規格、米国における支援機器開発・事業化に関する規制、米国における障がい者の支援環境等について調査を行なうとともに、様々なステークホルダーへの追加ヒアリングを行い、ガイドブックを作成した。そして、効率的な開発支援を行うことが可能なネットワークモデルに関する検討を行った。
支援側の観点から、開発支援ネットワークモデル構築の観点からの追加アンケート調査を行った。具体的には、まず、ガイドライン第一案及び令和4年度アンケート調査の結果及び有識者フィードバックを踏まえ、支援機器開発実績が豊富な国立病院機構に追加調査を依頼した。アンケート回答にあたり具体的な回答を得やすくするため、追加調査前に国内において普及がされていない食事支援機器(Obi)の事例検証を事前に依頼し実施した。そして、国外における支援団体等に関する調査を行った。
また、開発者側の観点から、前年度に作成したガイドライン第一案に基づいて、主に海外展開等の観点から、標準規格、米国における支援機器開発・事業化に関する規制、米国における障がい者の支援環境等について調査を行なうとともに、様々なステークホルダーへの追加ヒアリングを行い、ガイドブックを作成した。そして、効率的な開発支援を行うことが可能なネットワークモデルに関する検討を行った。
結果と考察
本研究では、支援機器の開発・事業化を支援するためのガイドブックとネットワークモデルの構築を目指した。
追加のアンケート調査で明らかになったのは、医工連携を導入することで支援開始の意思決定や支援回数の明確化が可能となり、支援期間の短縮が期待でき、具体的な課題解決や支援人材のスキル向上が確認された。これにより、支援ネットワークを実績のある施設・人材を拠点に構築し、ノウハウを共有する仕組みが有効であることが示唆された。
国外の支援機器開発支援に関する調査から、日本に比べ学生団体や自治体が運営する団体が多く見受けられた。これは、日本と異なり、AT法による障害者配慮が義務化されている影響が考えられた。支援機器開発支援ネットワークモデルには、行政を含めた法整備の重要性が示唆された。
標準規格の早期把握と対応は、支援機器の効率的な開発と安全性の確保に寄与し、特に米国では連邦規制と州規制の両方に対応する必要があり、継続的な情報更新が求められる。国際展開を視野に入れる場合も、同様に国際標準規格の調査が重要であることがわかった。資金調達においては、SNSを利用することで共感が得られ有効な手段の1つであることが確認されました。そのほか、国外では法制度を活用した包括的かつ専門的な支援メニューが提供されており、現地調査の重要性が強調された。
ガイドブック作成にあたっては、新規参入企業を対象に平易で簡潔な表現を用い、多種多様な知識やリソースを意味のある形でネットワーク化し、継続的な更新が可能な体制を整備することを目指し、最終的には以下のような構成の内容とした。
Ⅰ.支援機器開発の特徴
1.支援機器の市場動向と特徴
2.国内の障害者数
3.国内における支援機器開発の状況
4.国内の開発プロセスにおける課題
Ⅱ.支援機器開発に関連する法・規制・許認可について
1.福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律
2.支援機器を利用する人の支援制度(厚生労働省ホームページ等を参照)
3.規制と製品の許認可について
Ⅲ.支援機器開発のプロセスにおいて留意すべきこと
Ⅳ.海外展開について
Ⅴ.米国における支援機器に関係する法規制
1.FDA(米国食品医薬品局)規制
2.CPSC Childrenʼs Products
Ⅵ.支援機器開発に必要な情報を掲載したウェブサイト・データベース
Ⅶ.支援機器開発補助金を掲載したウェブサイト
Ⅷ.引用文献等
追加のアンケート調査で明らかになったのは、医工連携を導入することで支援開始の意思決定や支援回数の明確化が可能となり、支援期間の短縮が期待でき、具体的な課題解決や支援人材のスキル向上が確認された。これにより、支援ネットワークを実績のある施設・人材を拠点に構築し、ノウハウを共有する仕組みが有効であることが示唆された。
国外の支援機器開発支援に関する調査から、日本に比べ学生団体や自治体が運営する団体が多く見受けられた。これは、日本と異なり、AT法による障害者配慮が義務化されている影響が考えられた。支援機器開発支援ネットワークモデルには、行政を含めた法整備の重要性が示唆された。
標準規格の早期把握と対応は、支援機器の効率的な開発と安全性の確保に寄与し、特に米国では連邦規制と州規制の両方に対応する必要があり、継続的な情報更新が求められる。国際展開を視野に入れる場合も、同様に国際標準規格の調査が重要であることがわかった。資金調達においては、SNSを利用することで共感が得られ有効な手段の1つであることが確認されました。そのほか、国外では法制度を活用した包括的かつ専門的な支援メニューが提供されており、現地調査の重要性が強調された。
ガイドブック作成にあたっては、新規参入企業を対象に平易で簡潔な表現を用い、多種多様な知識やリソースを意味のある形でネットワーク化し、継続的な更新が可能な体制を整備することを目指し、最終的には以下のような構成の内容とした。
Ⅰ.支援機器開発の特徴
1.支援機器の市場動向と特徴
2.国内の障害者数
3.国内における支援機器開発の状況
4.国内の開発プロセスにおける課題
Ⅱ.支援機器開発に関連する法・規制・許認可について
1.福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律
2.支援機器を利用する人の支援制度(厚生労働省ホームページ等を参照)
3.規制と製品の許認可について
Ⅲ.支援機器開発のプロセスにおいて留意すべきこと
Ⅳ.海外展開について
Ⅴ.米国における支援機器に関係する法規制
1.FDA(米国食品医薬品局)規制
2.CPSC Childrenʼs Products
Ⅵ.支援機器開発に必要な情報を掲載したウェブサイト・データベース
Ⅶ.支援機器開発補助金を掲載したウェブサイト
Ⅷ.引用文献等
結論
本研究を通じて、支援機器の開発・事業化を効率化し、サステイナブルな体制を構築するための具体的な手法とモデルが明確になった。今後は、得られた知見を基にネットワークモデルとガイドブックを実際に運用し、さらなる改善を図っていくことが必要だと考えられる。
公開日・更新日
公開日
2024-06-03
更新日
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