文献情報
文献番号
200934048A
報告書区分
総括
研究課題名
新規生体膜生合成酵素と生理活性脂質(PAF)生合成酵素の機能解析
研究課題名(英字)
-
課題番号
H20-免疫・若手-028
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
進藤 英雄(東京大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
生体膜の主成分であるリン脂質は細胞によって多種多様で、血小板活性化因子(PAF)のような炎症や免疫を惹起するメディエーターもある。これらの生合成酵素は長年不明であったが、私達は6種類の同定に成功し、内2種類が、PAF生合成酵素であるリゾホスファチジルコリンアシル転移酵素(LPCAT)1とLPCAT2であった。LPCAT2はマクロファージにおいてリポポリサッカライド(LPS)刺激で調節を受ける。これらの酵素群の機能解析を行うことによって、炎症細胞での生体膜形成やPAF産生メカニズムを解明する。そして、免疫、アレルギーに強い細胞環境(膜)の解明やPAF関連疾患の治療を目指す。本研究年度では、(1)ヒトLPCAT1(恒常型PAF生合成酵素)と(2)新規ファミリーの活性モチーフの検討行うことにより、酵素群の理解を深めることを目的とした。
研究方法
(1)ヒトLPCAT1をクローニングし、酵素活性測定方法の詳細な検討、また、ヒトmRNAを用いた発現解析、点変異解析、データベースを利用した進化系統樹解析を行った。
(2)MBOATファミリー遺伝子群に保存性の高い領域を選び21カ所のアミノ酸をAlaに置換し、酵素活性を調べた。代表としてLPCAT3を選びLPCAT、LPEAT、LPSAT活性を調べた。
(2)MBOATファミリー遺伝子群に保存性の高い領域を選び21カ所のアミノ酸をAlaに置換し、酵素活性を調べた。代表としてLPCAT3を選びLPCAT、LPEAT、LPSAT活性を調べた。
結果と考察
(1)ヒトLPCAT1もLPCAT活性とPAF生合成活性を持った。また、マウスと同様に肺に高い発現が認められ、ゲノムデータベースより、肺または肺の相同器官を持つ動物種にLPCAT1が保存されていることがわかった。
(2)活性に必要な4カ所のモチーフをLPCAT3において決定できた。このファミリー遺伝子がマクロファージの生体膜生合成に重要だと言う報告もある。
(2)活性に必要な4カ所のモチーフをLPCAT3において決定できた。このファミリー遺伝子がマクロファージの生体膜生合成に重要だと言う報告もある。
結論
本研究では生体膜生合成酵素とそれに類似したPAF生合成酵素の機能解析から、炎症性細胞等の感染時における生体膜変化の解明を目的としている。二年目にはヒトLPCAT1の解析から肺と同じような進化を遂げていることがわかり、PAF生合成能との関係が興味深いことがわかった。今後、2種類のPAF生合成酵素(恒常型LPCAT1と誘導型LPCAT2)やMBOATファミリー酵素の阻害剤などの作製から炎症やアレルギーの新しい治療方法の開発につなげられるであろう。
公開日・更新日
公開日
2010-06-04
更新日
-