文献情報
文献番号
202317008A
報告書区分
総括
研究課題名
特別児童扶養手当(知的障害・精神の障害)に係る等級判定ガイドライン案の作成のための調査研究
課題番号
22GC1006
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
本田 秀夫(信州大学 学術研究院医学系)
研究分担者(所属機関)
- 篠山 大明(信州大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
4,498,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究では、平成29年度から平成3年度にかけて特別児童扶養手当認定診断書(知的障害・精神の障害用)について行われた2つの先行研究(先行研究①、②)の結果をふまえ、認定の地域差の適正化に資する「特別児童扶養手当(知的障害・精神の障害)に係る等級判定ガイドライン案」を作成することを目的とする。本年度は、初年度に作成した認定診断書案と等級判定ガイドライン素案を用いて認定医が判定を行った場合の信頼性と妥当性を評価し、その結果をもとに認定診断書改定案、作成要領案、等級判定ガイドライン素案を確定することを目的とした。
研究方法
研究1.特別児童扶養手当(知的障害・精神の障害用)認定診断書改定案、認定診断書作成要領案、等級判定ガイドライン素案の最終調整
先行研究②で作成した模擬症例のうち5例について、初年度に調整した認定診断書の改定案を用いて研究分担者および研究協力者が記載した。記載した診断書は、研究2のアンケート調査で用いた。
さらに、研究2の結果をふまえて認定診断書改定案、認定診断書作成要領案、および等級判定ガイドライン素案の最終調整を行った。
研究2.特別児童扶養手当(知的障害・精神の障害)に係る等級判定ガイドライン素案を用いた認定医による判定の信頼性と妥当性に関する研究
研究実施時に特別児童扶養手当(知的障害・精神の障害)の判定業務を行っていた認定医71名に協力を依頼し、認定診断書案を用いて模擬症例について記載された診断書と等級判定ガイドライン素案を用いて判定するよう依頼し、得られた判定結果の妥当性と評価者間信頼性を調査した。
先行研究②で作成した模擬症例のうち5例について、初年度に調整した認定診断書の改定案を用いて研究分担者および研究協力者が記載した。記載した診断書は、研究2のアンケート調査で用いた。
さらに、研究2の結果をふまえて認定診断書改定案、認定診断書作成要領案、および等級判定ガイドライン素案の最終調整を行った。
研究2.特別児童扶養手当(知的障害・精神の障害)に係る等級判定ガイドライン素案を用いた認定医による判定の信頼性と妥当性に関する研究
研究実施時に特別児童扶養手当(知的障害・精神の障害)の判定業務を行っていた認定医71名に協力を依頼し、認定診断書案を用いて模擬症例について記載された診断書と等級判定ガイドライン素案を用いて判定するよう依頼し、得られた判定結果の妥当性と評価者間信頼性を調査した。
結果と考察
研究1.
4回の会議を開催した。先行研究②で作成した模擬症例のうち5例について、初年度に調整した認定診断書の改定案を用いて研究分担者および研究協力者が記載した。記載した診断書は、研究2のアンケート調査で用いた。
アンケート調査の回答が回収され、統計解析が行われた後の会議では、等級判定ガイドライン素案を使用した判定の妥当性と信頼性が十分に高いことが確認された。一方で、アンケートに協力した認定医の意見からは、診断書の記載のみから正確な判定を行うことが難しいケースもあるという意見が出された。
これらの議論を踏まえ、診断書改定案に療育手帳の有無を記載する欄を設けるなどの微細な修正を行い、ガイドライン素案の表2「総合評価の際に考慮すべき要素の例」に、てんかんに関する記載を追加した。
研究2.
66の自治体で判定業務を行う認定医71名のうち、39の自治体の44名から回答が得られた(回収率62.0%)。回答者の診療科は精神科医34名、小児科医7名、小児科医かつ精神科医2名、未回答1名であった。
最重度を想定した模擬症例はすべて1級の判定、重度を想定した模擬症例は主に1級と2級の判定、軽度を想定された模擬症例は主に2級と非該当の判定であった。
判定不能の回答や無回答がある対象者をリストワイズ除去により除外した後、認定医39名の回答結果から級内相関係数を算出した結果、級内相関係数ICC(2, 1)は0.69 (95%信頼区間:0.42-0.95)であった。
自由記載欄では、現行の認定診断書からの変更点に対して概ね賛成の意見が多かった。一方で、より簡素なフォームの開発を求める声や、判定業務の負担を軽減するような工夫を要望する声も寄せられた。また、幼児、PTSDがある児童、てんかんがある児童の判定基準やガイドラインの追加が必要との意見もあった。診断書改定案に関しては、療育手帳の有無を記載する欄が必要であることが指摘された。
4回の会議を開催した。先行研究②で作成した模擬症例のうち5例について、初年度に調整した認定診断書の改定案を用いて研究分担者および研究協力者が記載した。記載した診断書は、研究2のアンケート調査で用いた。
アンケート調査の回答が回収され、統計解析が行われた後の会議では、等級判定ガイドライン素案を使用した判定の妥当性と信頼性が十分に高いことが確認された。一方で、アンケートに協力した認定医の意見からは、診断書の記載のみから正確な判定を行うことが難しいケースもあるという意見が出された。
これらの議論を踏まえ、診断書改定案に療育手帳の有無を記載する欄を設けるなどの微細な修正を行い、ガイドライン素案の表2「総合評価の際に考慮すべき要素の例」に、てんかんに関する記載を追加した。
研究2.
66の自治体で判定業務を行う認定医71名のうち、39の自治体の44名から回答が得られた(回収率62.0%)。回答者の診療科は精神科医34名、小児科医7名、小児科医かつ精神科医2名、未回答1名であった。
最重度を想定した模擬症例はすべて1級の判定、重度を想定した模擬症例は主に1級と2級の判定、軽度を想定された模擬症例は主に2級と非該当の判定であった。
判定不能の回答や無回答がある対象者をリストワイズ除去により除外した後、認定医39名の回答結果から級内相関係数を算出した結果、級内相関係数ICC(2, 1)は0.69 (95%信頼区間:0.42-0.95)であった。
自由記載欄では、現行の認定診断書からの変更点に対して概ね賛成の意見が多かった。一方で、より簡素なフォームの開発を求める声や、判定業務の負担を軽減するような工夫を要望する声も寄せられた。また、幼児、PTSDがある児童、てんかんがある児童の判定基準やガイドラインの追加が必要との意見もあった。診断書改定案に関しては、療育手帳の有無を記載する欄が必要であることが指摘された。
結論
認定診断書改定案を認定診断書作成要領案に沿って診断医が記入し、等級判定ガイドライン素案に沿って認定医が判定することによって、特別児童扶養手当(知的障害・精神の障害)における認定の地域差が解消され、さらには障害基礎年金との整合性が保障されることが期待される。
なお、障害児福祉手当(精神の障害)は、現行の認定診断書で記載すべき項目が特別児童扶養手当(知的障害・精神の障害)と一部を除いて同じである。したがって、本研究で作成し、修正を加えた認定診断書改定案等については、障害児福祉手当(精神の障害)に用いることも可能である。
なお、障害児福祉手当(精神の障害)は、現行の認定診断書で記載すべき項目が特別児童扶養手当(知的障害・精神の障害)と一部を除いて同じである。したがって、本研究で作成し、修正を加えた認定診断書改定案等については、障害児福祉手当(精神の障害)に用いることも可能である。
公開日・更新日
公開日
2024-06-12
更新日
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