文献情報
文献番号
202316007A
報告書区分
総括
研究課題名
認知症の遠隔医療およびケア提供を促進するための研究
課題番号
23GB1001
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
粟田 主一(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター 認知症未来社会創造センター)
研究分担者(所属機関)
- 井藤 佳恵(東京都健康長寿医療センター研究所 福祉と生活ケア研究チーム)
- 川勝 忍(公立大学法人福島県立医科大学 会津医療センター)
- 小野 賢二郎(金沢大学附属病院 神経内科)
- 新堂 晃大(三重大学 大学院医学系研究科 神経病態内科学)
- 石井 伸弥(東京大学医学部附属病院老年病科)
- 滝口 優子(社会福祉法人浴風会 認知症介護研究・研修東京センター 研修部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 認知症政策研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
18,178,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の目的は,医療資源や交通手段の確保が困難なため認知症医療ケアの提供に課題が生じている地域において、シームレスな医療介護提供体制を構築・維持するための方法を示し、自治体で活用可能な資料を作成することにある.
研究方法
上記の目的を達成するために、2023年度は7つの分担研究課題を設定し、基盤整備、実態把握、課題の可視化を進めた。
結果と考察
1)全国の離島・中山間地域における認知症支援体制の実態把握に関する研究では、既存資料を活用して調査対象地域を選定するための基盤整備を進めるとともに、ヒアリング調査の質的分析によって過疎地域の地域包括ケアシステムの実践の構成要素を明らかにした。2)東京都及び全国の離島における認知症支援体制の実態調査と支援モデルの開発では、東京都の離島における認知症支援体制構築支援事業に着目し、既存資料の分析から事業には「理解」「周知」「利用」の観点から3つの課題があることを示した。3)福島県の僻地における認知症支援体制構築に関する研究では、現地関係者及び住民・家族のアンケート調査から、遠隔医療の実施にあたってはネット環境や操作などITリテラシーの問題があることを示した。4)石川県の僻地における認知症支援体制構築に関する研究では、アンケート調査から、過疎地域では交通手段がないため通院困難な高齢者が多いこと、施設が不足していること、へき地医療拠点病院では認知症患者に対する介入が乏しいことを示した。5)三重県の僻地における認知症支援体制構築に関する研究では、実践活動を通して、遠隔ITスクリーニングが認知症患者を専門医につなげるのに有効であることを示した。6)広島県の僻地における認知症支援体制構築に関する研究では、アンケート調査と実践活動を通して、民生委員が重要な役割を果たし、地域の特性に応じて多様な支援を行っていること、介護支援専門員に対する認知症に関する研修がケアマネジメントの向上に有効であることを示した。7)オンラインを用いた介護専門職の人材育成に関する研究では、アンケート調査及びヒアリング調査から、過疎関連地域の介護専門職にとって集合研修は「移動」「費用」等に負担があること、オンライン研修は「移動時間と旅費が削減できる」という利点があるが、「グループでの話し合い」「他の受講者との関係づくり」など複数の課題があることを可視化させた。
結論
初年度の実態調査によって過疎化が進む離島・中山間地域の認知症医療・ケア・人材育成の課題が把握された。課題解決に向けたモデルの構築が次年度の目標である。
公開日・更新日
公開日
2024-06-12
更新日
-