新しい制御性T細胞体外増幅法による喘息治療法の開発:ぜん息の治療法の開発及び確立に関する研究

文献情報

文献番号
200934038A
報告書区分
総括
研究課題名
新しい制御性T細胞体外増幅法による喘息治療法の開発:ぜん息の治療法の開発及び確立に関する研究
課題番号
H21-免疫・一般-002
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
斎藤 博久(国立成育医療センター研究所 免疫アレルギー研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 中江 進(東京大学医科学研究所 フロンティア研究拠点中江グループ)
  • 奥村 康(順天堂大学大学院医学研究科 アトピー疾患研究センター)
  • 山口 正雄(帝京大学医学部内科学呼吸器・アレルギー)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 標準治療薬の長期使用にも拘わらず症状が持続する喘息患者の免疫能を同等のIgE、好酸球レベルを有する無症候対照群と比較したところ、制御性T細胞(Treg)数が全般的に低下していることを我々は見いだした。血中Treg数は少ないため、自家移植を見据えた効率的な体外増幅法が求められている。我々が新しく発見したTreg増殖機構により活性化されたマスト細胞が抗原・T細胞受容体刺激非依存的にTreg誘導能を発揮する機構によって、効率的体外Treg誘導法の開発を通じ、喘息・アレルギー治療のための新しい治療法基盤確立を目指す。
研究方法
 本研究は3ヵ年計画であり、1.マスト細胞を使った新奇な体外Treg増幅法を利用した高効率Treg増幅法の開発、2.マスト細胞によるTreg増幅分子メカニズムの解明、3.前臨床試験としての動物喘息モデルの喘息治療、以上の3項目に基づき高効率体外Treg増幅法の開発を行う。
結果と考察
1.3種類のIL-33受容体に対するモノクローナル抗体は、マウスマスト細胞からIL-6及びIL-13産生を誘導しなかった。抗IL-33受容体抗体3E10がTh2細胞の活性化を誘導する刺激抗体として報告されている。その抗体入手を進め、その有用性の確認を行う。
2.マウス培養マスト細胞のIL-33刺激時の包括的遺伝子発現プロファイルを得たところ、IL-13などの炎症性サイトカインとIL-2の増加が認められた。細胞接着因子の絞り込みのため、ヒト培養マスト細胞をIL-33で刺激し、GeneChipによる包括的遺伝子プロファイルを取得する。 
3.抗原の反復投与のみによって免疫し気道炎症を惹起する方法、House dust mite粗抽出物の反復吸入のみによる気道炎症誘導方法によって、いずれも好酸球優位の気道炎症が起きることを確認した。
結論
1.市販の抗IL-33受容体モノクローナル抗体には、組換え体IL-33に代替できる活性をもつものは現時点では見つからなかった。
2.GeneChip解析からIL-33刺激によってマウス培養マスト細胞からIL-2が産生されることが確認された。細胞接着因子についてはさらなる絞り込みが必要である。
3.adjuvant不使用モデル、およびHouse dust mite粗抽出物反復吸入にょる気道炎症モデルが確立された。

公開日・更新日

公開日
2010-05-19
更新日
-