関節リューマチに対するアプタマーRNA新薬の開発

文献情報

文献番号
200934037A
報告書区分
総括
研究課題名
関節リューマチに対するアプタマーRNA新薬の開発
課題番号
H21-免疫・一般-001
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
中村 義一(東京大学医科学研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 石黒 亮(東京大学医科学研究所 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、インターロイキン-17(IL-17)に対するRNAアプタマーを創製し、これを利用した関節リウマチの発症予防・治療のRNA新薬の開発を目的としている。
研究方法
我々を含む近年の研究によって、RNA分子は様々な立体構造を形成する能力があり、その優れた造形力によって、タンパク質の形状を広く識別するポテンシャルを備えていることが次第に明らかになってきた。RNAアプタマーとは標的タンパク質に特異的に結合するRNA分子をさし、SELEX(systematic evolution of ligands by exponential enrichment)法と呼ばれるセレクション法により取得される。
我々は既にランダム配列のRNAプールの中から、標的タンパク質に特異的に結合するRNA分子を選択・増幅するSELEX法を駆使し、IL-17に対するアプタマーを作出した。本研究で用いるIL-17に対する阻害性RNAアプタマーの作出、短小化、IL-17受容体への結合阻害の解析を行い、最終候補アプタマーが、ヒト及びマウス細胞で、IL-17刺激によるシグナル誘導を遮断し、最終的にIL-6の産生誘導を阻害するか確認した。また、複数のマウスモデルを用いて、IL-17アプタマーの発症予防効果を解析している。
結果と考察
IL-17に対するRNAアプタマーを用いた関節リウマチのRNA新薬開発を目的とし、SELEX法を用いてRNAアプタマーを作出、in vitro及びin vivoの活性阻害試験を行った。このアプタマーはIL-17に対し解離定数約50pM以下という抗体を凌ぐ高いアフィにティーを有する。NHDF細胞(正常ヒト皮膚繊維芽細胞)及びMEF(mouse embryonic fibroblast)を用いてIL-17による刺激の変化を解析したところ、IL-6の産生誘導を完全に阻害することを確認した。アプタマーは動物モデルにおいて顕著な効果を確認した。
結論
動物モデルで優れた薬効を示したアプタマーは、抗体医薬に劣らぬ高い結合特異性を有すのみではなく、免疫排除が生じにくい点や、大量の化学合成が容易であるなど、非常にユニークな特性を持っている。このような特色を持つRNAアプタマーは、他に類を見ないような作用機序を持つ高分子医薬品へと昇華させることが可能と考える。

公開日・更新日

公開日
2010-06-04
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2011-02-16
更新日
-