脳死下・心臓停止下臓器斡旋のコーディネートに関する研究

文献情報

文献番号
200934035A
報告書区分
総括
研究課題名
脳死下・心臓停止下臓器斡旋のコーディネートに関する研究
課題番号
H20-免疫・一般-023
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
小中 節子(社団法人日本臓器移植ネットワーク 医療本部)
研究分担者(所属機関)
  • 朝居 朋子(社団法人日本臓器移植ネットワーク)
  • 芦刈 淳太郎(社団法人日本臓器移植ネットワーク)
  • 岩田 誠司(財団法人福岡県メディカルセンター)
  • 重村 朋子(日本医科大学学生相談室)
  • 中西 健二(社団法人日本臓器移植ネットワーク)
  • 福嶌 教偉(大阪大学大学院医学研究科)
  • 横田 裕行(日本医科大学大学院医学研究科侵襲生体管理学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
4,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国では、脳死下86例、心臓停止下1,170例の臓器提供後に移植が行なわれたが(2010年3月末)、7月の改正法施行後は臓器提供数増加の見通し、改正法(小児臓器提供が可能)に対応した臓器提供時の業務構築が急務である。本研究では臓器提供状況調査とドナー家族調査を行い、今後のより良い臓器提供時のコーディネート活動を検討し、移植コーディネーター(以下Co)教本を作成し、移植Coの質の充実を目指す。
研究方法
①死別した11遺族への質問紙・ロングインタビュー・入院時のカルテ記録状況、心停止下腎提供の347ドナー家族への質問紙、小児臓器提供29事例の状況の調査・分析。
②脳死臓器提供80事例における臓器提供病院派遣移植Coの役割・活動実態の調査・分析。改正法施行に向けて提供病院に必要となるマニュアルに関する事項の検討。
③実際の19臓器移植実施施設のレシピエント意思確認状況などの実態調査。
④全国の都道府県Coのコーディネーション業務、スキルの実態把握(質問紙調査)、効果的な研修方法の検討。
⑤Co教本(一般科目・基礎医学・臨床医学)に、研究成果、改正法に対応した項目追加の検討。
結果と考察
死別した遺族関連調査数は少ないが、家族が女性・同居、急性ストレス症状・身体症状を呈した場合に精神的健康度に支障をきたし易い。心停止下腎提供ドナー家族調査の結果、臓器提供に満足79.3%だが、23.1%は抑うつ、PTSD尺度の基準値以上(突然の死別を経験した遺族や米国のドナー家族とほぼ同程度)であり、ドナー年齢や同居と死別後の経過期間、提供承諾時の迷いの影響が考えられた。15歳未満の心停止下腎提供は平均年齢7.6歳、男児が79%、外因性疾患が59%を占めた。臓器提供承諾時に迷いを呈する家族の場合は十分な時間の提供の配慮など、提供後に家族が後悔することのないような関わりを持つことが重要である。
臓器提供時の提供病院派遣Coは3~8人であり、Co役割分担の明確化とCoの習熟が派遣人数の減少に関係した。都道府県Coは業務習得に4年以上を要し、現場におけるOJTが有効な習得手段と思われた。
結論
ドナー家族対応を含めた法を遵守したあっせん手続きを行う自立した専門家としての移植Coの育成と、あっせん時における明確な役割分担が重要であった。研究成果を含むCo教本による教育とOJT実施で、移植Coの質の向上、より多くの臓器提供にできると考える。

公開日・更新日

公開日
2010-10-19
更新日
-