脳死並びに心停止ドナーにおけるマージナルドナーの有効利用に関する研究

文献情報

文献番号
200934034A
報告書区分
総括
研究課題名
脳死並びに心停止ドナーにおけるマージナルドナーの有効利用に関する研究
課題番号
H20-免疫・一般-022
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
福嶌 教偉(大阪大学大学院医学系研究科 薬理学分子医薬分野)
研究分担者(所属機関)
  • 久志本 成樹(日本医科大学 救急医学)
  • 田中 秀治(国士舘大学 スポーツ医科学科)
  • 西山 謹吾(高知日赤病院 救命救急センター)
  • 鹿野 恒(市立札幌病院 救命救急センター)
  • 杉谷 篤(藤田保健衛生大学 臓器移植再生医学講座)
  • 古川 博之(旭川医科大学外科学講座 消化器病態外科学)
  • 中山 恭伸((社)日本臓器移植ネットワーク 東日本支部)
  • 菊池 雅美((社)日本臓器移植ネットワーク 医療本部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
12,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
現在も臓器提供は脳死、心停止ともに非常に少なく、マージナルドナーからの移植は回避できない。また、ドナーとその御家族の提供の意思を尊重すると言う点からも、より多くの臓器の提供を可能にすることは重要である。
我が国では、メディカルコンサルタントによるドナー評価・管理(脳死ドナー86例中67例に福嶌が関与)、スタッフ移植医による最終評価・摘出、摘出ミーティングなどがあり、マージナルドナーがほとんどであるにも関わらず、欧米と遜色のない移植成績を上げている。本研究の目的は、国内外の死体臓器提供の現状を、提供・移植の両サイドから調査・分析し、国レベルのドナー評価・管理システムを構築することである。
研究方法
1)脳死臓器提供全例と2007年度心停止後腎臓提供におけるドナー評価、管理、摘出手技、並びに摘出時の呼吸循環管理法と移植成績を調査した(福嶌、杉谷、鹿野、古川、中山、菊池)
2)バルセロナにおけるTPM ADVANCE COURSEを受講しその提供病院へアプローチと臓器提供研修(田中)
3)提供施設にアンケート調査を行い、どのような支援が必要かを調査(久志本)
4)ドイツの臓器提供機関を訪問し、実態調査を行った(福嶌)
5)平成20、21年度の結果から、脳死ならびに心停止後ドナーの評価・管理の指針を作成し、脳死臓器提供に関わった施設に対して、報告会兼意見交換会を施行。
結果と考察
1)脳死臓器提供ではドナー管理の改良により、一人のドナーあたりの提供臓器数が増えた。特に肺では移植後の成績も向上した。
2)TPM COURSEを受講し、脳死ドナーの管理マニュアル作成の基礎データを得た
3)提供施設にアンケート調査を行い、提供施設に対してどのような支援が必要かを調査した(久志本)
4)各国の提供に対する考え方、ドナー管理法についての知識を習得した
5)脳死ならびに心停止後ドナーの評価・管理の指針を作成し、研修を行った。多くの意見を得たので、これをもってマニュアルが作成できると考える
結論
 脳死臓器提供においてはわが国独自のドナー評価・管理システムが有効に働いていると考えられ、さらに欧米のいい面を取り入れていくことが必要と考えられた。
 臓器提供施設の支援については、これまで脳死臓器提供の経験のある施設もまだ支援が必要であり、何を支援すべきかを今後検討し、支援体制を構築する必要があると考えられた。
 最終年度は、ドナー並びにドナー家族の想いを受け止め、より多くの臓器を、より安全に移植できるようにし、結果的に多くの移植を必要とする患者が幸せに暮らせるようになることを期待する

公開日・更新日

公開日
2010-10-19
更新日
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