文献情報
文献番号
202315009A
報告書区分
総括
研究課題名
LIFE関連加算算定のために評価・収集される情報を活用した介護業務プロセスの構築と効果検証
課題番号
23GA1003
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
島田 裕之(国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 研究所老年学・社会科学研究センター)
研究分担者(所属機関)
- 荒井 秀典(国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター 理事長室)
- 土井 剛彦(国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 老年学・社会科学研究センター 予防老年学研究部 健康増進研究室)
- 斎藤 民(国立長寿医療研究センター 老年社会科学研究部)
- 堤本 広大(国立長寿医療研究センター 研究所 老年学・社会科学研究センター)
- 大寺 祥佑(国立研究開発法人国立長寿医療研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学政策研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
10,682,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本課題では、介護業務のプロセスを整理し、LIFE(科学的介護情報システム)情報を活用した介護業務プロセスを検討することを目的とした。また、科学的介護情報システム関連加算算定のために収集されるLIFE情報の評価と利活用の可能性を検討することを目指した。
研究方法
LIFEに関する加算にて収集されているデータのうち、介護業務と大きく関連する項目を抽出し、各項目にラベルを付したうえで類似項目を集約した。また、介護の実行プロセスのうち1日に複数回行われる排泄・食事の工程を視覚化し、LIFE情報を活用した自立支援介護および重度化予防を促進するための介護業務プロセスを検討した。さらに、介護保険総合データベースの定型データセットを用い、LIFEに関する加算やその関連情報を抽出し、LIFE情報に関する基本統計量を算出し、度数分布表を作成した。さらにLIFE情報の中で介護業務に関連する項目を選定したリストと基本統計量を照合し、利活用の可能性を検討した。
結果と考察
領域が特化された加算を除き、介護業務と大きく関連するLIFE関連加算に含まれる項目を抽出したところ、延べ239項目であった。239項目に各々ラベルを付して類似項目を集約した結果31小分類となり、さらにこれらの31小分類は7大分類に集約された。また、排泄・食事工程を視覚化して介護職員による業務管理の観点を考慮したところ、必ずしもマンツーマン介護を常に提供できるものではなく、マルチタスク下に潜むリスクが認められた。各加算に含まれる項目の詳細さは異なるものの、全体像を把握するためには網羅的に項目が含まれていることで、高齢者の全体像の把握に役立てることができる。他方、介護のありかたや余暇・交流のように他のLIFE関連加算には含まれていない項目が含まれているのが自立支援促進加算である。自立支援促進情報でのみ、尊厳などを含む介護のあり方や日々の過ごし方等の項目が含まれていた。高齢者の自立支援・重症化予防に加え、生活の質をふまえた個別性のある介護を進めるうえで、重要な要素と考えられる。また、効果的なケアの提供を可能とするために、介護の主たる直接業務の実行プロセスを視覚化し、排泄・食事と服薬の介護業務プロセスの着眼点を共有するための介護工程フローを作成した。これらの工程をイメージしながら介護業務が行われていると推察されるが、視覚化することによって日常介護業務、カンファレンス、サービス担当者会議などにおいて高齢者の状態と課題の共有に役立てられる可能性がある。そして、高齢者の全体像を把握し、自立支援・重症化予防に資する介護計画や介護実践につなげられることが期待される。
提供された定型データセットから得られた基本統計量や度数分布表からLIFE情報の利用者情報テーブル(SERVICE_USER_INFO)には複数の項目、特に必須項目以外の項目において欠損値が多く存在している傾向が明らかとなった。さらに日付に関するデータの項目には理論上、不合理な数値が一部存在している可能性が明らかとなった。したがって、必須項目以外の項目や日付に関する情報が入力されている項目の利活用については十分な注意が必要であると考えられる。加えて、「LIFE情報の中で介護業務に関連する項目を集約・選定したリスト」における、科学的介護推進情報(FORM_0000_2021)、栄養・摂食嚥下情報(FORM_0100_2021)、及び自立支援促進情報(FORM_0700_2021)といったテーブル内の項目には、最大値が“99”や“999”となっているものが存在していた。“99”や“999”といった数値は測定値として意味を持たない可能性があるため、これらの項目については活用に注意が必要であると考えられる。
提供された定型データセットから得られた基本統計量や度数分布表からLIFE情報の利用者情報テーブル(SERVICE_USER_INFO)には複数の項目、特に必須項目以外の項目において欠損値が多く存在している傾向が明らかとなった。さらに日付に関するデータの項目には理論上、不合理な数値が一部存在している可能性が明らかとなった。したがって、必須項目以外の項目や日付に関する情報が入力されている項目の利活用については十分な注意が必要であると考えられる。加えて、「LIFE情報の中で介護業務に関連する項目を集約・選定したリスト」における、科学的介護推進情報(FORM_0000_2021)、栄養・摂食嚥下情報(FORM_0100_2021)、及び自立支援促進情報(FORM_0700_2021)といったテーブル内の項目には、最大値が“99”や“999”となっているものが存在していた。“99”や“999”といった数値は測定値として意味を持たない可能性があるため、これらの項目については活用に注意が必要であると考えられる。
結論
本課題では、LIFE関連加算算定に用いられている項目について集約した。また、介護の実行プロセスを視覚した結果、介護場面で生じうるリスクが示唆された。今後、LIFE関連加算の特性をふまえて、自立支援・重症化予防に資する介護業務プロセスの構築にむけた検討を進める。また、定型データセットから対象集団を抽出し、LIFE情報の基本統計量の算出、及び度数分布表の作成を実施した。さらにそれを「LIFE情報の中で介護業務に関連する項目を集約・選定したリスト」と照合し、利活用可能な情報を検討した。結果として、LIFE情報には、利活用にあたって、十分注意が必要な項目が存在することが示唆された。今後、LIFE情報を利用した望ましい介護業務プロセス開発に向けて、有用な情報に関する更なる検証が求められる。
公開日・更新日
公開日
2024-05-29
更新日
-