地域リハビリテーションの効果的な提供に資する指標開発のための研究

文献情報

文献番号
202315006A
報告書区分
総括
研究課題名
地域リハビリテーションの効果的な提供に資する指標開発のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
22GA1006
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
菊地 尚久(千葉県千葉リハビリテーションセンター 診療部)
研究分担者(所属機関)
  • 田中 康之(千葉県千葉リハビリテーションセンター 地域支援センター)
  • 五百川 和明(福島県立医科大学 保健科学部作業療法学科)
  • 鈴木 英樹(北海道医療大学 リハビリテーション科学部理学療法学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学政策研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
3,439,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
令和4年度に作成した地域リハビリテーション支援体制(以下、リハビリテーションをリハと略す)の活動指標チェックリスト(以下、指標リスト)案を修正し完成版を作成すること。それを用い全国の地域リハ支援体制の実態を把握し、その結果をWEBサイトで公開することを目的とする。なお研究実施にあたり日本リハビリテーション病院・施設協会の協力を得て実施している。
研究方法
都道府県の地域リハ支援体制に関わる担当課およびリハ支援センターを対象に調査票調査を実施し、指標リストの修正を行う。
 この調査から抽出された県とリハ支援センターの両者が介護予防事業支援において市町村との関係が「良好または比較的良好」と回答した5県と、地域リハ支援体制は無い2県に立地する213市町村を対象に調査票調査を行い、修正した指標リストの有用性を確認する。
地域リハ支援体制を既に実施もしくは今後実施予定である都道府県担当者、リハ支援センター、広域支援センター、市町村等の職員を対象に、これまでの研究に関わる報告会を実施し、修正した指標リスト案に関するグループヒアリングを実施し、指標リストの完成版を作成する。
完成した指標リストを用いて都道府県の地域リハ支援体制の主管課を対象とした調査票調査を実施し、その結果についてホームページを作成し掲載する。
結果と考察
地域リハ支援体制に関わる都道府県担当課とリハ支援センターの両者が、市町村との関係性が良好または比較的良好と回答した5県を抽出し、指標リスト案の中から主に5県中4県が該当した項目を地域リハ支援体制として必ず有すべき構造や役割・機能として抽出し、指標リスト案の修正を行った。
 そして、その5県と地域リハ支援体制が無い2県の計213市町村を対象とした調査票調査の結果、地域リハ支援体制にはリハ専門職の人材確保に大きな期待はあるが、それ以外にも事業運営に関わる計画や評価、関係機関同士やリハ専門職同士のつながり作り、他の市町村との情報交換に関わること等、幅広い機能・役割を期待されており、指標リストはそれらが把握できることが望ましいことが確認された。
ヒアリングの結果、指標リスト案の「連携」「つながり」等の文言、「リハ支援センター」「広域支援センター」等の名称の定義を明確にすることが求められた。また、既に地域リハ支援体制の推進に取り組んでいる場合、各機関の機能・役割や保健所等や市町村との関係性が構築されていることもあり、各機関等の機能・役割や関係性を一律な「あり方」として問う指標リストでは利用が難しい等の意見が集約された。
結論
2年間の成果として地域リハ支援体制の活動指標チェックリストを完成した。また、それを活用して把握した全国の都道府県の地域リハ支援体制の現状をホームページで公開した。
https://sites.google.com/view/cbr-kourou2022-2023
 今後は定期的に調査を実施し、ホームページの情報を更新すること、必要に応じて活動指標チェックリストの内容の修正を行うこと、更には活動指標チェックリストの活用方法などの普及を通し、市町村支援により有用な地域リハ支援体制の構築に寄与することとする。

公開日・更新日

公開日
2025-05-13
更新日
-

研究報告書(PDF)

倫理審査等報告書の写し
研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2025-05-13
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202315006B
報告書区分
総合
研究課題名
地域リハビリテーションの効果的な提供に資する指標開発のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
22GA1006
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
菊地 尚久(千葉県千葉リハビリテーションセンター 診療部)
研究分担者(所属機関)
  • 田中 康之(千葉県千葉リハビリテーションセンター 地域支援センター)
  • 五百川 和明(福島県立医科大学 保健科学部作業療法学科)
  • 鈴木 英樹(北海道医療大学 リハビリテーション科学部理学療法学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学政策研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
地域リハビリテーション支援体制(以下、リハビリテーションを『リハ』と略す)は国の指針に基づき都道府県が整備するものである。しかし、平成30年度の厚生科学研究調査では地域リハ支援体制を整備する上で客観的な指標がなく、これに関する研究は皆無である。
 本研究では都道府県やリハ支援センターそして市町村介護予防事業等の担当者等へのヒアリングや調査票調査により地域リハ支援体制の活動指標を開発し、その指標に基づき地域リハの質の向上を図ることを目的とし、日本リハ病院・施設協会の協力を得て実施した。
令和4年度は、リハ支援センターおよび市町村へヒアリングを行い、活動指標チェックリスト(以下、指標リスト)案の作成を目標とした。令和5年度は、都道府県の地域リハ支援体制の実態や市町村の地域リハ支援体制の活用状況・期待内容を把握し、指標リストの修正・完成、全国の地域リハ支援体制の実態を把握しWEBサイトでの公開を目標とした。
研究方法
令和4年度
千葉県地域リハ支援体制の主管課が実施した先行調査、厚生労働省の令和3年度 介護予防・日常生活支援総合事業(地域支援事業)の実施状況調査、日本リハ病院・施設協会が実施した調査の再分析を行い、その結果から市町村を抽出しヒアリングを実施、その結果を基に先駆的な3県の県リハ支援センターの担当者にヒアリングを行い、地域リハ支援体制の指標リスト案を作成した。
令和5年度
研究者が所属する千葉県を除く46都道府県と前年度把握した22都道府県のリハ支援センターを対象に、指標リスト案を基に都道府県の地域リハ支援体制の実態の把握と指標リスト案の有用性の確認と修正を行った。
この調査から抽出された、県とリハ支援センターの両者が市町村との関係を「良好または比較的良好」と回答した5県と地域リハ支援体制は無い2県に立地する計213市町村を対象に調査票調査を行ない、修正した指標リスト案の有用性を確認した。
都道府県、リハ支援センター、広域支援センター、市町村等の職員を対象に、指標リスト案に関するグループヒアリングを行い、地域リハ支援体制の指標リストの完成版を作成し、都道府県の地域リハ支援体制の実態を把握しWEBサイトを作成し公開した。
結果と考察
令和4年度
 地域リハ支援体制が有る都道府県の市町村は、無い都道府県の市町村よりも、市町村地域リハ活動支援事業を実施している割合が有意に高かった。また、日本リハ病院・施設協会の先行調査の再分析の結果、リハ支援センターや広域支援センターと密接な連携が図られている市町村は約3割程度であった。
 市町村ヒアリングの結果、地域リハ支援体制を活用して効果的に介護予防事業を実施している市町村は、地域リハ支援体制に人材確保に関する体制構築や、人・情報・市町村同士を繋ぐための支援を期待していた。
 先駆的な3県の県リハ支援センターへのヒアリングの結果、県が事業ビジョンを明確にして関係機関と共有していること、リハ支援センターや広域支援センターは都道府県・圏域を俯瞰してつなぐ機能・調整する機能・組織化する機能を有すること、これらが市町村介護予防事業支援に有用であると確認され、これらを基に地域リハ支援体制の指標リスト案を作成した。
〇令和5年度
指標リスト案を用いた都道府県とリハ支援センターへの調査から両者とも市町村との関係が「良好・比較的良好」と回答した5県を抽出し、これらに共通する項目が必要な構造や役割・機能と考え指標リスト案を修正した。
 市町村調査の結果、地域リハ支援体制にはリハ専門職の人材確保への期待だけでなく、事業運営計画や評価、関係機関同士やリハ専門職同士のつながり作り、他の市町村との情報交換など、幅広い機能・役割を期待されており、指標リストとしてそれらの機能・役割が把握できることが望ましいことが確認された。
 そして報告会でのヒアリングの結果、指標リスト案の各用語の定義の明確化をすることと、各機関等の機能・役割や関係性を一律に問う指標リストでは活用が難しい等の意見が集約された。
 これらに基づき、市町村支援のために地域リハ支援体制として最低限必要と考えられる機能・役割の有無をまず確認し、その機能・役割をどの機関が担っているのかを確認する形式として指標リストを完成した。
 このことにより、都道府県間の地域リハ支援体制の機能・役割の推進状況を比較しやすくなったと考える。
 地域リハ支援体制の指標リストを用い、都道府県の現状を把握し、WEBサイトを作成し公開した。https://sites.google.com/view/cbr-kourou2022-2023
結論
地域リハ支援体制の指標リストを作成し、都道府県の現状を把握しWEBサイトで公開した。今後、定期的なWEBサイトの更新、市町村支援に有用な地域リハ支援体制のための普及活動を行う。

公開日・更新日

公開日
2025-05-13
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2025-05-13
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202315006C

成果

専門的・学術的観点からの成果
地域リハ支援体制は国の指針に基づき都道府県が整備するものであるが、2018年度の厚生科学研究調査では地域リハ支援体制を整備に関わる客観的な指標がなく課題が指摘されていたが、これに関する研究は皆無であった。本研究では、地域リハ支援体制による市町村介護予防事業支援について、都道府県・リハ支援センター・市町村等へのインタビューや調査票調査を実施し、この分野ではこれまで無かった地域リハ支援体制の推進状況を把握できる活動指標チェックリストを作成した。
臨床的観点からの成果
該当なし
ガイドライン等の開発
ガイドラインとしては非該当。但し、地域リハ支援体制として都道府県が市町村の介護予防事業支援を実施する際に、どのような活動が最低限必要かを判断する指標には成り得る。
その他行政的観点からの成果
地域リハ支援体制活動指標チェックリストは、地域リハ支援体制として最低限必要と考えられる機能・役割の有無を確認し、その上でそれをどの機関が担っているのかを確認できる。活動指標チェックリストと、これを用いて把握した全国の都道府県の地域リハ支援体制の現状をWEBサイトで公開した。今後は、定期的な調査の実施とWEBサイトの更新、必要に応じた活動指標チェックリストの修正、これらの活用方法などの普及を通じて、市町村支援により有用な地域リハ支援体制の構築に寄与が期待できる。
その他のインパクト
全国地域リハビリテーション合同研修大会 in ちば2023 「ヤバいぜ!地域リハ ~継続と発展~」2023年6月17日~18日 幕張メッセ 大会長:菊地尚久

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
1件
田中康之、菊地尚久、太田直樹:地域リハビリテーションの効果的な提供に資する指標開発のための研究.リハビリテーション・ケア合同研究大会 広島2023.広島.2023-10-25/10-26.
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
1件
全国地域リハビリテーション合同研修大会 in ちば2023 「ヤバいぜ!地域リハ ~継続と発展~」2023年6月17日~18日 幕張メッセ 大会長:菊地尚久 対象:全国の地域リハ支援体制関係者

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2025-05-13
更新日
-

収支報告書

文献番号
202315006Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
3,439,000円
(2)補助金確定額
3,439,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,000,801円
人件費・謝金 37,697円
旅費 1,470,839円
その他 633,783円
間接経費 0円
合計 3,143,120円

備考

備考
当初、予定していた出張を取りやめたため。

公開日・更新日

公開日
2025-05-13
更新日
-