新たな移植細胞療法に向けた造血幹細胞のex vivo増幅技術の開発と応用

文献情報

文献番号
200934030A
報告書区分
総括
研究課題名
新たな移植細胞療法に向けた造血幹細胞のex vivo増幅技術の開発と応用
課題番号
H20-免疫・一般-018
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
中畑 龍俊(京都大学 物質・細胞統合システム拠点)
研究分担者(所属機関)
  • 金倉 譲(大阪大学大学院医学系研究科 血液・腫瘍内科・血液学)
  • 前川 平(京都大学医学部付属病院輸血細胞治療部・血液学)
  • 平家 俊男(京都大学大学院発達小児科学・免疫血液学)
  • 伊藤 仁也(先端医療センター 細胞治療科・血液学)
  • 田中 宏和(大阪大学大学院医学系研究科 血液・腫瘍内科・血液学)
  • 永井 謙一(先端医療センター 診療開発部・血液学)
  • 清水 則夫(東京医科歯科大学 難治疾患研究所・ウィルス治療学)
  • 千葉 滋(筑波大学大学院 人間総合科学研究科・血液内科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
22,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、造血幹/前駆細胞の絶対数不足から生じる臍帯血移植の問題点 (生着不全、造血回復遅延など)を解決するため、
1. 複数ユニットにおける増幅臍帯血移植の臨床研究を開始し、増幅臍帯血の意義を明確にすることにより、ex vivo増幅臍帯血移植を新たな治療法として確立すること
2. 移植後の再発や感染症に対する検査法、治療法の開発を行うことにより、移植成績の向上に貢献すること
3. 申請者らが開発した細胞プロセッシング法及び品質管理法の検証を行うことにより、各々における具体的なガイドラインを作成し、様々な移植細胞治療に応用、発展させることを目的に研究を実施している。
研究方法
本研究では、研究の実施にあたっては基盤整備、応用研究を含めた以下の7テーマを他大学や企業との共同で研究を進めている。
I. ex vivo増幅臍帯血移植の臨床研究 
II. 新規培養法の効率、安全性の検証とcell processingにおけるデバイスの開発 
III.Cell processingにおけるGMPの構築とガイドライン作成に関する研究
IV. 臍帯血移植後の免疫機構再構築に関する研究 
V. 治療用細胞製剤の品質管理法・評価系の確立 
VI. 臍帯血ドナーリンパ球輸注(DLI)に向けた基盤整備及び臨床研究
VII. 分子基盤に基づいた新規増幅法、分化誘導法の開発 
VIII.可溶性NotchリガンドDelta1-Fcを用いて増幅した臍帯血造血前駆細胞の臨床研究
結果と考察
本年度は、新規デバイスの開発を含めた閉鎖系培養法の改良を行うとともに、細胞プロセッシングに関連した製造環境、品質管理の評価系を検証することで各々の具体的なガイドラインの作成に着手した。また移植後の再発や感染症に対する検査法、治療法の開発を行った。また前年度「急性白血病患者に対する同種臍帯血由来ex vivo増幅CD34陽性細胞移植に関する臨床第I相/前期第II相試験」において拒絶をきたした1例についてその原因を徹底的に検証することで、複数臍帯血移植にむけた臨床試験計画づくりに反映させた。
結論
造血幹細胞に留まらず、様々な治療用細胞製剤をいかに安全に臨床応用すべきかについては解決すべき課題は多い。我々が開発した細胞プロセッシング法、品質管理法を広く普及、発展させ、わが国のトランスレーショナリサーチにおける問題点を明確にし、その解決策を示していくことを目標として研究活動を継続する予定である。

公開日・更新日

公開日
2010-05-19
更新日
-