文献情報
文献番号
202315003A
報告書区分
総括
研究課題名
LIFEを用いた介護領域における新たな研究デザインの提案のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
22GA1002
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
松田 晋哉(産業医科大学 医学部・公衆衛生学)
研究分担者(所属機関)
- 藤野 善久(産業医科大学 産業生態科学研究所)
- 得津 慶(産業医科大学 公衆衛生学)
- 劉 寧(リュウ ネイ)(産業医科大学 医学部)
- 松垣 竜太郎(産業医科大学 産業生態科学研究所)
- 藤本 賢治(産業医科大学産業保健データサイエンスセンター)
- 村松 圭司(産業医科大学 医学部 公衆衛生学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学政策研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
2,970,000円
研究者交替、所属機関変更
松垣竜太郎
産業医科大学医学部から産業医科大学生態科学研究所に令和5年9月に学内配置換
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究では近年運用が開始された科学的介護情報システム(LIFE)を、我が国発のエビデンス創出のためのデータベースとするための知見の整理や活用促進のための方法論の検討を行った。
研究方法
(1) 文献レビュー
LIFEデータを用いた研究デザインを考えるために国内外の論文のレビューを行った。
(2) LIFEデータを用いた研究デザイン
LIFEデータで検証可能な仮説の立案及び分析計画を作成するために、厚生労働省から受領したLIFEのデータを用いて以下の分析を行った。
【ベンチマークシステム試案の作成】
1. 受領したLIFEデータをデータベース化し、直近の評価時及びその一つ前の評価時のLIFEの各項目について、都道府県間でその平均値を比較するベンチマークの仕組みを作成した。作成したデータについては、BIツールの一つであるQlikviewdで可視化した。
【LIFEデータを用いた研究デザインの検討】
1. 受領したLIFEデータの各項目について、基本的な記述疫学的集計及びクロス集計を行い、LIFEデータを用いた研究デザインについて探索的に検討を行った。
2. LIFEデータはこれを用いたPDCAサイクルを回すことでケアの質を向上させることが目的とされている。そこで、Doにあたる介入の効果を検討する研究デザインを検討する目的で、栄養に着目し、接種栄養量が基準栄養量以下の対象者と基準栄養量より多い対象者について、ADLの変化について多変量解析モデルを用いて分析を行った。
3. 上記、分析結果を踏まえて、LIFEデータを用いたケアマネジメントの質向上に資する研究方法のデザインについて、その課題も含めて検討した。
LIFEデータを用いた研究デザインを考えるために国内外の論文のレビューを行った。
(2) LIFEデータを用いた研究デザイン
LIFEデータで検証可能な仮説の立案及び分析計画を作成するために、厚生労働省から受領したLIFEのデータを用いて以下の分析を行った。
【ベンチマークシステム試案の作成】
1. 受領したLIFEデータをデータベース化し、直近の評価時及びその一つ前の評価時のLIFEの各項目について、都道府県間でその平均値を比較するベンチマークの仕組みを作成した。作成したデータについては、BIツールの一つであるQlikviewdで可視化した。
【LIFEデータを用いた研究デザインの検討】
1. 受領したLIFEデータの各項目について、基本的な記述疫学的集計及びクロス集計を行い、LIFEデータを用いた研究デザインについて探索的に検討を行った。
2. LIFEデータはこれを用いたPDCAサイクルを回すことでケアの質を向上させることが目的とされている。そこで、Doにあたる介入の効果を検討する研究デザインを検討する目的で、栄養に着目し、接種栄養量が基準栄養量以下の対象者と基準栄養量より多い対象者について、ADLの変化について多変量解析モデルを用いて分析を行った。
3. 上記、分析結果を踏まえて、LIFEデータを用いたケアマネジメントの質向上に資する研究方法のデザインについて、その課題も含めて検討した。
結果と考察
1. LIFEの情報を用いて各施設のケアの質向上を目的としたPDCAサイクルを回すためのベンチマークシステムが構築できることが示された。都道府県別の比較では、多くの項目で地域差が観察された。他方、このシステムがケアの質向上のための実務や研究に活用されるためには下記のような課題があることも明らかとなった。
・ 適切な比較のための状態像の選択ができる情報体系(性別、年齢階級別、要介護度別、傷病の有無別、ADLの課題別など)
・ プロセスに関する情報の追加とその標準コード化
・ 予防の視点からの評価指標およびそれを用いたベンチマーク手法の開発。そのために必要なデータ(主治医意見書、ケアプラン、介護レセプト、医療保険レセプト)との連結
・ 複数のサービスを利用している対象者における効果の評価モデルの検討
2. Barthel Index(BI)とLIFEで収集している各項目とのクロス分析を行った結果、Vitality Indexの各項目のように、BIのレベルと高い相関を持つ項目とDBDのようにほとんど相関を示さない項目があった。
3. BI利得((直近のBI-一つ前のBI)/経過日数×100 )を目的変数として、オーバーカロリーの効果を分析した結果、栄養状態のリスクレベル、年齢、性別、認知症の有無、褥瘡の有無、誤嚥性肺炎の既往の有無の条件を調整しても、オーバーカロリ―はBI利得の低下に予防的に作用していた(p<0.001)。
4. LIFEデータの活用を進めるための必要事項について整理を行った。例えば、データの入力方法や異なる加算間の類似項目の標準化、時系列管理の方法、プロセスデータの設定などが課題であると認識された。
・ 適切な比較のための状態像の選択ができる情報体系(性別、年齢階級別、要介護度別、傷病の有無別、ADLの課題別など)
・ プロセスに関する情報の追加とその標準コード化
・ 予防の視点からの評価指標およびそれを用いたベンチマーク手法の開発。そのために必要なデータ(主治医意見書、ケアプラン、介護レセプト、医療保険レセプト)との連結
・ 複数のサービスを利用している対象者における効果の評価モデルの検討
2. Barthel Index(BI)とLIFEで収集している各項目とのクロス分析を行った結果、Vitality Indexの各項目のように、BIのレベルと高い相関を持つ項目とDBDのようにほとんど相関を示さない項目があった。
3. BI利得((直近のBI-一つ前のBI)/経過日数×100 )を目的変数として、オーバーカロリーの効果を分析した結果、栄養状態のリスクレベル、年齢、性別、認知症の有無、褥瘡の有無、誤嚥性肺炎の既往の有無の条件を調整しても、オーバーカロリ―はBI利得の低下に予防的に作用していた(p<0.001)。
4. LIFEデータの活用を進めるための必要事項について整理を行った。例えば、データの入力方法や異なる加算間の類似項目の標準化、時系列管理の方法、プロセスデータの設定などが課題であると認識された。
結論
厚生労働省から提供されたLIFEデータを用いてケアの質向上を目的としたベンチマークシステムのモデルを試作した。状態像別にケアプロセスの詳細を全国平均およびベストプラクティス施設と比較検討することで、PDCAサイクルに基づくケアを行うことができることを示した。また、このような仕組みを構築するために、特にプロセスに関する情報の標準化が必要であり、また主治医意見書やケアプランなどの他の情報が必要であることを示した。
また、栄養に着目した分析では、オーバーカロリ―はBI利得の低下に統計学的有意差をもって予防的に作用していることが示された。この結果は、LIFEデータを介護の質向上のための研究に活用可能であることを示していると考えられた。
また、栄養に着目した分析では、オーバーカロリ―はBI利得の低下に統計学的有意差をもって予防的に作用していることが示された。この結果は、LIFEデータを介護の質向上のための研究に活用可能であることを示していると考えられた。
公開日・更新日
公開日
2024-11-29
更新日
-