同種末梢血幹細胞移植を非血縁者間で行う場合等の医学、医療、社会的基盤に関する研究

文献情報

文献番号
200934029A
報告書区分
総括
研究課題名
同種末梢血幹細胞移植を非血縁者間で行う場合等の医学、医療、社会的基盤に関する研究
課題番号
H20-免疫・一般-017
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
宮村 耕一(名古屋第一赤十字病院 血液内科)
研究分担者(所属機関)
  • 小寺 良尚(愛知医科大学医学部 造血細胞移植振興寄附講座)
  • 日野 雅之(大阪市立大学大学院医学研究科 血液腫瘍制御学)
  • 岡本 真一郎(慶應義塾大学医学部内科 血液研究室)
  • 田中 淳司(北海道大学大学院医学研究科 血液内科学分野・血液内科学)
  • 長藤 宏司(久留米大学医学部内科学講座 血液内科部門)
  • 神田 善伸(自治医科大学自治医科大学附属さいたま医療センター 血液科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
13,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
諸外国で行われている非血縁者間末梢血幹細胞移植を日本においてすみやかに開始することを最終目的とし、その医学、医療、社会的基盤を作ることを目的とした。非血縁者間末梢血幹細胞移植が実現すれば、より多くの患者に造血幹細胞移植の機会を提供でき、治療成績の向上に繋がるものと期待される。またドナーにおいても選択肢が増えることにより、その意向を発揮しやすくなると考えられる。このような背景のもとで、患者の利益とドナーの安全を確保し開始するためには、医学(科学的な成果が得られるように)、医療(実地の患者、医療従者への配慮を行い)、社会的基盤(保険適応の拡大、法的整備など)の3方向より、進めていく必要がある。
研究方法
平成20年度は関係機関との調整を図りながら各種マニュアル、基準の原案を作成した。H21年度にはこの原案を関連学会、移植施設に提示し、意見を集約、問題点については追加の調査を行った。また骨髄移植財団と8回の会議、2回の班会議、2回の班員打合、海外視察を行い実施細則を含め最終案を完成した。新たに非血縁者間末梢血幹細胞移植で増えると予想される慢性GVHDの治療法の開発、早ければ22年度の開始する場合に備え具体的な開始方法についても検討した。開始時の具体的な方法についても検討した。

結果と考察
計画通りに①ドナーコーディネートマニュアル、②ドナー適格基準、③採取および移植施設基準、④採取マニュアルについて繰り返し議論するとともに、欧米の視察を行い、これらの最終案を完成させた。また非血縁者間末梢血幹細胞移植で問題となる慢性GVHDの治療法である体外循環紫外線治療について調査を行い、本邦への導入の基礎資料を作成した。非血縁者間末梢血幹細胞移植開始にあったては第Ⅱ相臨床研究としてで行うことが確認された。



結論
非血縁者間末梢血幹細胞移植の普及のための社会基盤の確立にはドナーの安全性を重視する必要があり、厚生労働省科学研究の「血縁者同種末梢血幹細胞ドナーの安全性の調査」で明らかになった採取前後の短期有害事象に十分な配慮が必要である。善意のドナーに、身体的、人権的、法的に不適当なことがおこると、本邦の移植医療を根底から覆しかねないことを心に留め、研究を遂行している。

公開日・更新日

公開日
2010-10-19
更新日
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