同種造血幹細胞移植成績の一元化登録と国際間の共有およびドナーとレシピエントのQOLを視野に入れた成績の向上に関する研究

文献情報

文献番号
200934028A
報告書区分
総括
研究課題名
同種造血幹細胞移植成績の一元化登録と国際間の共有およびドナーとレシピエントのQOLを視野に入れた成績の向上に関する研究
課題番号
H20-免疫・一般-016
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
谷口 修一(国家公務員共済組合連合会 虎の門病院 )
研究分担者(所属機関)
  • 鈴木 律朗(名古屋大学 造血細胞移植情報管理・生物統計学)
  • 土田 昌宏(茨城県立こども病院)
  • 秋山 秀樹(東京都立駒込病院 内科)
  • 原 雅道(愛媛県立中央病院 がん医療センター)
  • 岡本 真一郎(慶應義塾大学 医学部 )
  • 豊嶋 崇徳(九州大学病院 遺伝子・細胞療法部)
  • 浜口 功(国立感染症研究所 血液・安全性研究部)
  • 森尾 友宏(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
  • 中尾 眞二(金沢大学 医薬保健研究域医学系)
  • 高橋 聡(東京大学医科学研究所)
  • 一戸 辰夫(京都大学医学部付属病院)
  • 小川 啓恭(兵庫医科大学 血液内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
8,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
同種造血幹細胞移植成績の一元化登録と国際間の共有およびドナーとレシピエントのQOLを視野に入れた成績の向上をめざす。
研究方法
①本邦における造血細胞移植症例の情報を異なる団体である学会やバンクが一体となった一元化登録システムを確立し、国際間の共有を目指す。
②小児血縁ドナーの援助プログラムを作成しその評価を行う
③HLA不適合移植を母子間免疫寛容と免疫抑制強化の2点でその安全性を評価する
④GVHD、TMA、感染症について早期診断、病態把握、治療法を確立する
⑤白血病関連抗原に対するGVL効果を強化する
⑥長期生存症例のQOLを評価し、QOL向上も視野に入れた移植法を開発する
結果と考察
日本造血細胞移植学会による移植症例の一元登録事業は順調にすすみ、WBMT による世界レベルで造血細胞移植データを共有する動きが開始された。血縁ドナーの権利擁護について小児において臨床心理士の関与の有効性が指摘された。感染症についても継続したPCRによる微生物検出法の改良、測定可能微生物の継続的な追加とその実用性の検証、本技術を用いて微生物検査を行える施設の拡大を行った。血漿HE4タンパク質は、AMLの新しい血漿マーカーとなる可能性がある。ドナーのNIMAやIPAへの寛容を評価するためには、同種免疫応答を負に制御する細胞群を検出する方法の開発が必要である。HLA半合致ミニ移植では、移植前処置の強度を軽減し、抗ヒトTリンパ球抗体と少量のステロイド剤を投与する有効性が示されつつある。GVHDの新たな国際的治療効果判定基準が提唱されたものの、その運用面で欧米と日本でかなりの差があることが示された。腸管TMAについて全国組織での臨床病理学的研究が進行中である。臍帯血移植後早期にドナーリンパ球は抗原特異的メモリーおよびエフェクター機能を獲得し、これらはHLA一致度に影響されないことが示された。移植後に抗GITR抗体やIDO阻害剤を投与することによるGVL強化の可能性が示された。急性腎障害が移植関連死亡と密接に関連することが示された。移植後のリハビリテーションと内科管理によりQOLをより向上させる可能性が示された。
結論
一元化登録は順調に症例登録が進み、移植前のドナーの権利保護、移植後早期の合併症や再発対策、長期性生存例のQOL調査の研究が多角的に進んでいる。

公開日・更新日

公開日
2010-10-19
更新日
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