臍帯血を用いる造血幹細胞移植技術の高度化と安全性確保に関する研究

文献情報

文献番号
200934027A
報告書区分
総括
研究課題名
臍帯血を用いる造血幹細胞移植技術の高度化と安全性確保に関する研究
課題番号
H20-免疫・一般-015
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 俊一(東海大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 東 英一(三重大学 医学部附属病院)
  • 足立 壮一(京都大学 医学部)
  • 熱田 由子(名古屋大学 医学部)
  • 安藤 潔(東海大学 医学部)
  • 磯山 恵一(昭和大学 藤が丘病院)
  • 甲斐 俊朗(兵庫医科大学)
  • 加藤 剛二(名古屋第一赤十字病院)
  • 河原 和夫(東京医科歯科大学 医歯学総合研究科)
  • 高梨 美乃子(東京都赤十字血液センター)
  • 高橋 聡(東京大学医科学研究所)
  • 谷口 修一(虎の門病院)
  • 田野崎 隆二(国立がんセンター中央病院)
  • 長村(井上) 登紀子(東京大学医科学研究所)
  • 正岡 直樹(東京女子医科大学)
  • 森尾 友宏(東京医科歯科大学 医歯学総合研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
18,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
臍帯血バンクにおける臍帯血の品質向上と臍帯血移植の成績向上を目指して、臍帯血採取から分離・保存、臍帯血提供体制、臍帯血の移植と長期経過調査までの一連のプロセスについて検証することを研究目的とした。
研究方法
1.臍帯血移植後の造血動態をクローンレベルでの検討。2.麻疹ウイルスに対するDCワクチンの安全性と効果の検討。3.体外増幅臍帯血T細胞輸注療法のプロトコール作成。4.臍帯血採取バッグの改良と採取の検討。5.臍帯血幹細胞の品質評価方法についてバンク間での比較と再現性試験の実施。6.「複数臍帯血移植」、「成人臍帯血移植の至適治療法確立」、「小児臍帯血移植におけるシクロスポリンの至適使用法」、「高齢者における臍帯血ミニ移植」などの臨床研究。7.HLA抗体と移植成績との関係の検討。8.新規キメリズム解析法の開発と移植後の精緻なキメリズム解析。9.移植データの一元化と臍帯血移植のデータベース化の推進。10.臨床研究の基盤整備。11.臍帯血の医薬品化に関する費用試算。
結果と考察
1.臍帯血移植後のヒト造血幹細胞の動態がクローンレベルで明らかにされた。2.麻疹DCワクチンの安全性が確認され、麻疹特異的B細胞の増加が認められた。3.臍帯血採取バッグの改良により従来よりも5?20ml程度(6?25%)採取量が増加した。4.臍帯血の品質評価について標準化が行われた。5.複数臍帯血移植が順調に進み、70例の登録と60例の移植が行われた。6.高齢者造血器疾患において臍帯血移植が血縁者移植と同等の成績であることが示された。 7.移植時に患者に臍帯血と反応するHLA抗体が存在すると生着不全の頻度が高く、生存率も低下することが示された。8.フローサイトメトリーにより精緻なキメリズムの解析が可能であることが示された。9.移植データの一元化が完成し、臍帯血移植のデータベースの構築が推進された。10.臨床研究の進捗管理体制が確立し、臨床試験が順調に進捗した。11.臍帯血バンク毎の公開データを基に、プロセスと品質の2点についての比較により、ベストプラクティスとパフォーマンスの推定が行われた。
結論
後方視的ならびに前方視的研究を実施し、臍帯血採取法の改良、品質評価法の標準化、移植方法の改良などについての提案を行うと同時に、研究成果を学会や論文として報告して医療現場と社会に還元することができたと考えている。

公開日・更新日

公開日
2010-10-19
更新日
-