文献情報
文献番号
202313005A
報告書区分
総括
研究課題名
臓器・組織移植医療における医療者の負担軽減、環境改善に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23FF1001
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
横田 裕行(日本体育大学 大学院保健医療学研究科)
研究分担者(所属機関)
- 横堀 將司(日本医科大学 大学院医学研究科救急医学分野)
- 荒木 尚(埼玉医科大学 医学部)
- 織田 順(東京医科大学 救急・災害医学分野)
- 久志本 成樹(東北大学 大学院医学系研究科外科病態学講座救急医学分野)
- 朝居 朋子(社団法人日本臓器移植ネットワーク 中日本支部)
- 三宅 康史(帝京大学 医学部 救急医学講座)
- 田中 秀治(国士舘大学体育学部スポーツ医科学科)
- 名取 良弘(飯塚病院 脳神経外科)
- 山勢 博彰(山口大学 大学院医学系研究科)
- 渥美 生弘(社会福祉法人聖隷福祉事業団総合病院聖隷浜松病院救命救急センター)
- 加藤 庸子(藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院 脳神経外科)
- 江口 晋(国立大学法人 長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科)
- 黒田 泰弘(香川大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 移植医療基盤整備研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
6,980,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
臓器提供数は増加傾向にあるが、その数は他の先進諸国と比較すると未だ少ない。その理由として、臓器提供施設における負担や脳死とされうる状態になった患者家族に対して臓器提供に関する情報提示が十分になされていないことが指摘されている。過去の我々の研究で明らかにしたように、五類型施設の体制、患者家族へ選択肢提示を行う困難性、臓器提供時の煩雑な手順等々による臓器提供施設への負担が原因である。これらの課題を解決するため、過年度の研究で臓器提供時の負担を軽減するため、臓器提供ハンドブック(成人版、小児版)の作成と発刊、効率的検証のための医学的検証フォーマット案の作成、入院時重症患者対応メディエーターの教材作成を行ってきた。また、いわゆる五類型施設における情報共有や臓器提供時の支援体制についてもモデル地区を設けて体制整備を行ってきたが、さらなる臓器提供施設に支援すべき課題を明らかにし、それらを解決するための対応と実践を行うことを目的とした。
研究方法
研究班では上記の研究目的を達成するために、以下の4つのポイントを中心に検討を行っている。すなわち、①臓器・組織提供の可能性を有する患者家族の意思決定支援のために、入院時重症患者対応メディエーター、及び移植コーディネーターの連携モデル提案、②法的脳死判定のための転院搬送を含めた地域における五類型施設間の情報共有と支援体制構築、➂関連学会での啓発活動や市民公開講座開催や中高生を対象とした学校教育、④移植医の負担軽減のために効率的な臓器摘出体制の構築とした。
結果と考察
心停止を含む臓器・組織脳死下臓器提供時の人的、時間的負担や選択肢提示の困難さを背景に、臓器や組織提供の対象となり得る患者家族に対して、選択肢提示が円滑に行われていない現状があり、提供数を増やすためには臓器・組織移植医療における医療者の負担軽減・環境改善が極めて重要である。
過年度の研究で法的脳死判定のための教材やテキスト作成、効率的医学的検証フォーマットの提案を行い、実際に使用されるようになった。また、入院時重症患者対応メディエーターの教材作成と600名以上の育成を行い、その結果診療報酬も算定できるようになった。これらの研究成果を踏まえて、①入院時重症患者対応メディエーターと院内コーディネーターの育成、それぞれの標準的な活動指針と連携モデルを作成する。②五類型施設間での法的脳死判定の支援や転院体制の構築。また、臓器提供が日常医療として定着するために➂中長期的に最も重要である社会啓発、特に学校教育について課題と意義を検証し、④移植医の負担軽減のために効率的な臓器摘出体制の構築をする。本研究では移植医療や脳死の考え方に関する社会の理解を促進させ、臓器提供の障害となっている医療機関の負担軽減に大きく貢献し、患者家族の臓器提供に関する意思決定や五類型施設同士の情報共有や法的脳死判定支援等から円滑な臓器提供体制に大きく寄与すると考えている。
過年度の研究で法的脳死判定のための教材やテキスト作成、効率的医学的検証フォーマットの提案を行い、実際に使用されるようになった。また、入院時重症患者対応メディエーターの教材作成と600名以上の育成を行い、その結果診療報酬も算定できるようになった。これらの研究成果を踏まえて、①入院時重症患者対応メディエーターと院内コーディネーターの育成、それぞれの標準的な活動指針と連携モデルを作成する。②五類型施設間での法的脳死判定の支援や転院体制の構築。また、臓器提供が日常医療として定着するために➂中長期的に最も重要である社会啓発、特に学校教育について課題と意義を検証し、④移植医の負担軽減のために効率的な臓器摘出体制の構築をする。本研究では移植医療や脳死の考え方に関する社会の理解を促進させ、臓器提供の障害となっている医療機関の負担軽減に大きく貢献し、患者家族の臓器提供に関する意思決定や五類型施設同士の情報共有や法的脳死判定支援等から円滑な臓器提供体制に大きく寄与すると考えている。
結論
記4つのポイント、すなわち①臓器・組織提供の可能性を有する患者家族の意思決定支援のために、入院時重症患者対応メディエーター、及び移植コーディネーターの連携モデル提案、②法的脳死判定のための転院搬送を含めた地域における五類型施設間の情報共有と支援体制構築、➂関連学会での啓発活動や市民公開講座開催や中高生を対象とした学校教育、④移植医の負担軽減のために効率的な臓器摘出体制の構築を検討した。研究自体は順調に経過し、➀に関しては入院時重症患者対応メディエーター養成のための講習会を積極的に開催し、令和5年度末には計900名の受講が完了した。②に関しては地域連携として臓器提供時の様々な手順に関する支援や情報共有等や脳死判定のための転院搬送体制構築、➂に関しては普及啓発のための講習会開催、教育機関での教育、④に関しては移植医の負担軽減のための相互互助制度構築や手術器械の調達と搬送の外部委託を行い、実際の事例も2例経験した。また、併せて関連学会の協力を得て海外渡航移植の実態を明らかにすることができた。
公開日・更新日
公開日
2025-11-17
更新日
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