線維筋痛症の発症要因の解明及び治療システムの確立と評価に関する研究

文献情報

文献番号
200934021A
報告書区分
総括
研究課題名
線維筋痛症の発症要因の解明及び治療システムの確立と評価に関する研究
課題番号
H20-免疫・一般-009
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
西岡 久寿樹(聖マリアンナ医科大学 難病治療研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 植田 弘師(長崎大学大学院 医歯薬学総合研究科 )
  • 浦野 房三(長野県厚生連篠ノ井総合病院 リウマチ膠原病センター)
  • 武田 雅俊(大阪大学大学院 医学系研究科  )
  • 松本 美富士(藤田保健衛生大学 七栗サナトリウム)
  • 宮岡 等(北里大学 医学部)
  • 行岡 正雄(医療法人行岡医学研究会 行岡病院)
  • 横田 俊平(横浜市立大学大学院 医学研究科)
  • 岡 寛(聖マリアンナ医科大学 難病治療研究センター)
  • 長田 賢一(聖マリアンナ医科大学 医学部)
  • 半田 宏(東京工業大学 統合研究院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本年度は病因・病態解明、全国的ケア体制確立・臨床データベース構築、ガイドライン作成、治療薬の保険適応の確立を目的として総括的研究を確立し、適切な医療管理下にない患者の現状を改善することを目的とした。
研究方法
本症の発症メカニズム解明の薬剤標的分子の探索(神経組織)、筋肥大の解析(筋組織)、疼痛特異的分子の探索(モデル動物)の3つの方向性を立ち上げた。
患者ケアネットワークの確立が急務なため、確保されている臨床研究フィールドを中心に日本線維筋痛症学会と連携し、診療ケアネットワークシステムの確立と充実を目指し、基礎・臨床研究及び診療の充実のため、患者臨床データベースの構築を開始した。
結果と考察
「線維筋痛症診療ガイドライン2009」を発刊した。鑑別診断、治療、小児の線維筋痛症が掲載されていることから一定の指針が明確になり、今後の診断・治療エビデンスの確立、診療機関での周知徹底が見込まれる。
患者の包括的な精神状態評価を行った。自覚的な精神的不調、精神疾患と色説関連している患者群が約25%近くいる事が明確になった。特にYG性格検査にてE類の変人型が最も多く、抑うつ・不安の高い患者では情緒的に不安定で内向的であり社会的不適応を起こしやすいE型の割合が高い事が判明した。
認知度調査では医療側の認識が急速に広まり地域、診療科はやや増えたが依然として圧倒的に不足している。
精神医学的評価の診療システムの構築を開始した。本症は向精神薬や抗てんかん剤に疼痛抑制効果が認められる事が多いため精神科医の評価が必須であり今後の治療の確立に役立つと思われる。
結論
臨床病態の解析、治療方法の確立、診療ケアネットワークシステム整備、ガイドライン作成を行った。ガイドラインでは、他疾患に保険収載されている薬剤を本症の多彩な随伴症状に用いており、症状の解寛が保険診療の逸脱をしないために一定のコンセンサスを厚生労働省から得ているとの理解のもとに提唱した。また、診療ネットワークの構築、ガイドラインの発刊により疾患認知・治療方法の周知徹底が見込まれる。
来年度は、診療ケアネットワークの確立、ガイドラインの改訂、従来の治療薬以外の薬剤の有効性などついて検討し、線維筋痛症という病名で保険適応を得る治療薬の承認が急務である。

公開日・更新日

公開日
2010-10-19
更新日
-