文献情報
文献番号
202312010A
報告書区分
総括
研究課題名
各都道府県におけるアレルギー疾患医療連携体制構築に関する研究
課題番号
22FE2001
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
海老澤 元宏(国立病院機構相模原病院 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
- 伊藤 靖典(地方独立行政法人長野県立病院機構 長野県立こども病院 小児アレルギーセンター)
- 大矢 幸弘(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター・アレルギーセンター)
- 櫻井 大樹(千葉大学 大学院医学研究院 耳鼻咽喉科・頭頸部腫瘍学)
- 永田 真(埼玉医科大学 医学部 呼吸器内科)
- 福冨 友馬(国立病院機構相模原病院 臨床研究センター)
- 宮﨑 大(鳥取大学 医学部眼科)
- 矢上 晶子(冨高 晶子)(藤田医科大学 医学部総合アレルギー科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫・アレルギー疾患政策研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
4,924,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
平成29年に策定されたアレルギー疾患対策に関する基本的な指針(基本指針)の下、全国に都道府県拠点病院が設置された。本研究班では各都道府県におけるアレルギー疾患の医療提供体制の現状調査を起点とし、都道府県拠点病院を中心とした医療提供体制の整備・構築を行い、全国でのアレルギー疾患医療の均てん化を目指す。
研究方法
本研究課題は以下の2つの研究課題より構成される。課題ごとに研究を遂行し、全国でのアレルギー疾患医療の均てん化を目指す。(1)都道府県アレルギー疾患拠点病院の診療・連携状況に関する調査 (2)都道府県アレルギー疾患拠点病院との個別面談
結果と考察
(1)都道府県アレルギー疾患拠点病院の診療・連携状況に関する調査:全国の都道府県拠点病院および中心拠点病院78施設を対象に、「1.診療体制(医療の提供状況、地域における主な診療施設)」、「2.行政との連携」、「3.院内他科・他職種の連携」「4.災害時の支援」に関する調査を実施した。「1.診療体制(医療の提供状況、地域における主な診療施設)」については、重症喘息の治療、小児の重症なアトピー性皮膚炎、小児の食物アレルギーにおける食物経口負荷試験の実施については全国的に十分に提供されていると考えられた。一方、小児の食物アレルギーに対する経口免疫療法の実施と成人および移行期の食物アレルギーへの対応は一定程度以上の医療提供ができていない地域が多く、薬剤アレルギー、好酸球性消化管障害、重症な眼アレルギーへの対応については連携施設が少なかった。今後、全国的にそれらの医療提供体制を整備する必要があると考えられる。「2.行政との連携」については約9割の施設で年1回以上連携した会議が開催されていると考えられたが、無開催の施設も存在しているため、行政と都道府県拠点病院の双方から連携を深めていく必要があると考えられた。「3.院内他科・他職種の連携」については、約7割の施設で連携が図られているものの、未連携の3割は今後何らかの対応の必要があると考えられた。「4.災害時の支援」については未対応の施設の割合も多く、災害発生時に速やかに対応できるように拠点病院として体制を整えておく必要があると考えられた。
(2)都道府県アレルギー疾患拠点病院との個別面談:アレルギー疾患に関する診療や、地域連携、人材育成等について、都道府県毎の現状を確認すべく、大都市圏(関東・中部・京阪神)以外の都道府県拠点病院と中心拠点病院(相模原病院)で個別にオンライン面談を合計36施設実施した。面談により、調査票から得られる数字を基にした情報では見えてこない各施設が抱えている問題点を直接把握することができ、医療提供体制の偏在化には、専門性を持つ医師の偏在が影響していると考えられた。また、事業予算の確保は多くの施設で要望されていたが、一部の施設では事業予算が確保するための情報が十分ではなく、行政との連携を図る必要があると考えられた。
(2)都道府県アレルギー疾患拠点病院との個別面談:アレルギー疾患に関する診療や、地域連携、人材育成等について、都道府県毎の現状を確認すべく、大都市圏(関東・中部・京阪神)以外の都道府県拠点病院と中心拠点病院(相模原病院)で個別にオンライン面談を合計36施設実施した。面談により、調査票から得られる数字を基にした情報では見えてこない各施設が抱えている問題点を直接把握することができ、医療提供体制の偏在化には、専門性を持つ医師の偏在が影響していると考えられた。また、事業予算の確保は多くの施設で要望されていたが、一部の施設では事業予算が確保するための情報が十分ではなく、行政との連携を図る必要があると考えられた。
結論
アレルギー疾患医療均てん化を目指すためには、地域のニーズに合わせた人材育成および地域における医療連携の体制の構築が必要と考えられた。そのためには行政との連携は必要不可欠であり、「アレルギー疾患医療連絡協議会」を中心とした連携の強化が求められる。
公開日・更新日
公開日
2024-11-14
更新日
-