関節リウマチ患者の現状と問題点を解析するための多施設共同疫学研究

文献情報

文献番号
200934019A
報告書区分
総括
研究課題名
関節リウマチ患者の現状と問題点を解析するための多施設共同疫学研究
課題番号
H20-免疫・一般-007
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
當間 重人(独立行政法人国立病院機構相模原病院 臨床研究センター・リウマチ性疾患研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 衛藤 義人(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター・整形外科)
  • 末永 康夫(独立行政法人国立病院機構別府医療センター・リウマチ科)
  • 千葉 実行(独立行政法人国立病院機構盛岡病院・リウマチ科 )
  • 松井 利浩(独立行政法人国立病院機構相模原病院リウマチ科 )
  • 金子 敦史(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター・整形外科)
  • 佐伯 行彦(独立行政法人国立病院機構大阪南病院臨床研究部)
  • 税所 幸一郎(独立行政法人国立病院機構都城病院・整形外科)
  • 吉永 泰彦(財団法人倉敷成人病センターリウマチ膠原病センター)
  • 森 俊仁(独立行政法人国立病院機構相模原病院整形外科)
  • 杉井 章二(東京都立府中病院リウマチ膠原病科 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
32,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本邦における関節リウマチ(RA)患者に関する種々の情報を多施設共同で収集解析し、その現状や問題点を明らかにする。
研究方法
毎年度1回患者情報を収集、データの収集管理は独立行政法人国立病院機構本部に設置されている統合サーバを用いている。参加施設は2010年3月現在29施設である。
結果と考察
1.2009年度は6390人のデータを収集、本邦RA患者約1%の情報である。2.RA患者の疾患活動性を経年的横断的に観測、CRP・DAS28・mHAQの更なる改善を確認。3.5年間連続データ収集できた1269患者では、各種疾患活動性指標の改善が確認されるも、身体機能評価指標は徐々に悪化。登録初年度の罹患年数が3年以下では全ての指標が改善、早期の適切な治療介入が重要。4.抗リウマチ薬使用比率は毎年増加、生物学的製剤の使用頻度も徐々に増加(15.3%)。5.2003から2008年度へと経年的に手術総数の頻度は減少。6.RA関連入院は減少傾向、感染症・間質性肺炎・骨粗鬆症関連入院が増加。7.感染症入院の危険因子として、mHAQ・DAS28-CRP・ステロイドが抽出された。8.RA患者における結核のSIR(標準化罹病率)は4.28と高く、本邦全体でみた結核罹患率の減少と異なりRA患者の結核罹患率は減少していない。9. RAにおける悪性腫瘍全般のSIRはほぼ1.0、悪性リンパ腫の発生率は高く、消化器系癌が少ないことを再確認。さらに膀胱癌のリスクも高いことが示された。10.RA関連手術の周術期における創遷延治癒例や感染例に関して、生物学的製剤使用例と非使用例に差異なし。11.2008度も過去同様、平均死亡時年齢は高くなっており、RA患者の生命予後は改善していることが示唆された。死因は感染症が第1位である。12.RA患者一人あたりの抗リウマチ費用は2004年度以降、直線的に増加しており、2008年度は約33万円/年/患者である。13. 2008年度、RA治療に要した費用(入院、抗リウマチ薬費用のみ)は、426,287円/年/患者であり、実に76.8%を抗リウマチ薬費用が占めていた。
結論
新規治療法が続々と導入される現在、本データベースは継続的に蓄積されていくべきものであり、本邦におけるRA実状の把握、治療法検証、及び有害事象の測定に極めて有用性の高いデータベースである。

公開日・更新日

公開日
2010-10-19
更新日
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