アトピー性皮膚炎のかゆみの解明と治療の標準化に関する研究

文献情報

文献番号
200934016A
報告書区分
総括
研究課題名
アトピー性皮膚炎のかゆみの解明と治療の標準化に関する研究
課題番号
H20-免疫・一般-004
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
古江 増隆(九州大学大学院医学研究院 皮膚科学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 高森 建二(順天堂大学医学部附属順天堂浦安病院 皮膚科学)
  • 相馬 良直(聖マリアンナ医科大学 皮膚科学)
  • 秀 道広(広島大学大学院医歯薬学総合研究科 皮膚科)
  • 佐伯 秀久(東京大学大学院医学系研究科 皮膚科学)
  • 遠山 正彌(大阪大学大学院医学系研究科 神経機能形態学講座)
  • 稲垣 直樹(岐阜薬科大学機能分子学大講座 薬理学研究室)
  • 大矢 幸弘(国立成育医療センター第一専門診療部 アレルギー科)
  • 浜崎 雄平(佐賀大学医学部 小児科学)
  • 中村 晃一郎(埼玉医科大学 皮膚科)
  • 天谷 雅行(慶應義塾大学医学部 皮膚科)
  • 玉利真由美(理化学研究所ゲノム医科学研究センター呼吸器疾患研究チーム)
  • 野口 恵美子(筑波大学大学院人間総合科学研究科社会環境医学専攻 遺伝医学分野)
  • 古庄 憲浩(九州大学大学院医学研究院 感染環境医学)
  • 竹内 聡(九州大学病院 皮膚科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
40,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
アトピー性皮膚炎の効果的な治療と患者QOLの改善のためには、増悪因子でもある“炎症性痒みメカニズム”の研究が重要である。そこで我々は免疫・神経生理学的および遺伝学的にアプローチし、かゆみ病態の理解と制御をすすめる。
研究方法
アトピーの動物モデルを用いて、皮膚炎と神経伸長、かゆみとの関連を解析する。同時に種々の既存アトピー性皮膚炎の治療薬・治療法の抗かゆみ効果やその位置づけなどを検討する。また、皮膚炎の発症原因、増悪因子に関して遺伝学的アプローチにより新規の候補遺伝子を同定し、遺伝子改変マウスを作成して皮膚炎の関与を解析する。さらに、アトピー性皮膚炎治療の標準化と普及のため、最新のアトピー性皮膚炎のEBMのアップデートを行い、ホームページで公表する。
結果と考察
動物モデルではかゆみと神経伸長、および関連因子を検討し、MMP2やKlk8などの新規分子が表皮肥厚や神経伸長に関連していることを見いだした。また臨床的にはタクロリムス軟膏の止痒効果、ステロイドのプロアクティブ療法の有用性、軽症アトピーへの保湿剤の有効性、抗アレルギー薬の治療有効性などを確認した。遺伝的アプローチによりSMAD3やMDCケモカインなどの分子の関与の可能性が強いことが判明した。EBMでは前回2003年から2009年9月までの論文をテーマ毎に解析し、前回報告に加えてアップデートを行っている。(2010年中にホームページに公開予定)。
結論
免疫、神経生理、遺伝学的にはいくつかの候補因子が同定され皮膚炎及びかゆみへの増悪への関与が確認されているが、まだ十分に解明されていない。一方、臨床的にはかゆみコントロールの観点から従来の治療法を整理し、その位置づけを明確にした。これはEBMを最新版にすることと合わせて不適切治療の抑制と有効な標準治療の普及を通じて広く国民の健康増進に役立つ物となるだろう。

公開日・更新日

公開日
2010-05-19
更新日
-