関節リウマチ骨髄血中の疾患誘導因子解明と根治療法開発研究

文献情報

文献番号
200934014A
報告書区分
総括
研究課題名
関節リウマチ骨髄血中の疾患誘導因子解明と根治療法開発研究
課題番号
H20-免疫・一般-002
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
越智 隆弘(大阪警察病院 医務部)
研究分担者(所属機関)
  • 吉川 秀樹(国立大学法人大阪大学大学院医学系研究科)
  • 下村 伊一郎(国立大学法人大阪大学大学院医学系研究科)
  • 西本 憲弘(和歌山県立医科大学免疫制御学講座)
  • 大和谷 厚(国立大学法人大阪大学大学院医学系研究科)
  • 鈴木 隆二(国立相模原病院 臨床研修センター)
  • 島岡 康則(行岡病院 リウマチ臨床研究センター)
  • 前田 朋子(塩野義製薬株式会社 医薬研究本部 創薬研究所)
  • 澤井 高志(岩手医科大学病理学講座先進機能病理学分野)
  • 山村 研一(熊本大学生命資源研究・支援センター)
  • 長田 重一(京都大学大学院医学研究科 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
40,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
「RA主病巣は骨髄」という仮説のもとに、未解明のRA病因解明と根治療法開発を以下の研究で進める。Ⅰ)RA骨髄病巣説を動物実験系を用いての裏づけ研究、(Ⅱ)RAナース様細胞抑制物質、疾患予後予測因子などの開発研究、(Ⅲ)RA骨髄細胞から選択された新規遺伝子の解析、(Ⅳ)RA患者骨髄血細胞遺伝子の帰納法的病態解析研究である。
研究方法
Ⅰ)動物実験系;1)GFPTgマウス由来骨髄細胞移植マウスの関節炎発症に伴う細胞病態解析。2)DNaseⅡ欠損Mφのマウス関節炎の病態解析研究。Ⅱ) RAナース様細胞抑制物質、疾患予後予測因子などの開発研究、1)アディポネクチン(Adipo)、2)オステオポンティン(OPN)、3)RA予後予測因子としてのC1q値、4)ヒスタミン(His)、Ⅲ)RA骨髄細胞の新規遺伝子解析研究;1)遺伝子改変マウス作成、2)Tg マウスに関して順次、病理学的変化を観察。Ⅳ)RA患者骨髄遺伝子機能の解析。
結果と考察
Ⅰ)動物実験;1)関節炎発症に伴ってGFP陽性細胞は骨髄から順次、滑膜組織内、骨破壊病巣に認められ、骨髄病巣の重要性が示された。2)骨髄内にapoptosis機能抑制MΦが集積しIL-6、TNFα産生亢進、骨破壊を伴うRA類似の多発関節炎が進行した。Ⅱ) ナース細胞抑制因子など;1)Adipoは免疫反応抑制作用なくナース細胞機能を抑制した。2)RA特異な75kD OPNはナース細胞機能を抑制した。3)RA患者血清C1q値は関節破壊の予後と相関した。4)HisはRAMNCのTNFαmRNA発現を抑制した。Ⅲ)新規遺伝子;1)EEF1α1、Sulfatase、OLR1、CXCL5に関して順次、Tgマウスが作成された。胎児死亡が起きるTnfsf14に関しては方法を変えて作成中である。2)遺伝子改変マウスの長期経過も含めて病態観察中である。Ⅳ)RA患者の骨髄に「免疫」機能ネットワーク活性増加などが示された。
結論
Ⅰ)多発関節炎発症における骨髄病巣の重要性と、Mφのapoptosis抑制というヒントを得た。Ⅱ) ナース様細胞抑制にAdipoやOPNが有効で治療薬開発への途が開ける。予後予測因子としてのC1q値の検査薬開発への途が開ける。Ⅲ)新規遺伝子のうちでLIGHT/TNFSF14はRA病因・病態の鍵を握るひとつである。Ⅳ)RA骨髄レベルでの免疫機能亢進が証明され、RA患者の骨髄異常を支持する所見である。

公開日・更新日

公開日
2010-05-19
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2011-02-16
更新日
-