ライフスタイルに着目した慢性腎臓病(CKD)対策に資する研究

文献情報

文献番号
202311004A
報告書区分
総括
研究課題名
ライフスタイルに着目した慢性腎臓病(CKD)対策に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23FD1003
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
中川 直樹(旭川医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 柏原 直樹(学校法人川崎学園 川崎医科大学 医学部)
  • 岡田 浩一(埼玉医科大学 医学部)
  • 要 伸也(学校法人杏林学園 杏林大学 医学部 腎臓・リウマチ膠原病内科)
  • 酒井 謙(東邦大学 医学部)
  • 猪阪 善隆(国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科 腎臓内科学)
  • 須賀 万智(東京慈恵会医科大学 医学部 環境保健医学講座)
  • 福井 亮(東京慈恵会医科大学 腎臓・高血圧内科)
  • 祖父江 理(香川大学 医学部 循環器・腎臓・脳卒中内科)
  • 内田 明子(聖隷横浜病院 看護部)
  • 石川 祐一(茨城キリスト教大学 生活科学部)
  • 高井 奈美(国立大学法人東海国立大学機構・名古屋大学 医学部附属病院 看護部)
  • 水野 智博(藤田医科大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 腎疾患政策研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
4,620,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
「慢性腎臓病(CKD)における治療と仕事の両立に関する手引き」を作成するため、CKD患者(透析患者及び腎移植患者を含む)の疾患やその治療が就労におよぼす影響の現状、通院状況、治療内容などをアンケート調査した。手引きとお役立ちノートの作成により、CKD患者の適切な管理によりCKDステージの進行を遅らせ、なるべく長い間、社会参加が可能な状態を維持し、透析患者・腎移植患者の社会参加を可能にするツールとして活用され、CKD患者(透析患者及び腎移植患者を含む)の就労者数増加や復職率向上に寄与することを目指す。
研究方法
1)CKD患者に対し就労に関するアンケート調査を行う。
また文献調査を行い、CKD患者の両立支援に有益な情報を収集し、課題を抽出する。
2)企業・医療機関に提示する、CKDに関する基礎知識、両立支援に当たっての留意事項の取りまとめを行い、「主治医と産業医の連携」を含めた取り組みが出来るように具体的に例示する。
3)復職・新規就労に有用な機関・制度、有用な社会制度についての取りまとめを行う。
4)日本医師会認定産業医研修会に参加した医師を対象に、①CKD患者の治療と仕事の両立と②健診有所見者の事後措置に注目してアンケート調査を実施する。
結果と考察
1)勤労世代の生活・就労等の実態調査研究
CKD患者(透析患者及び腎移植患者を含む)の疾患やその治療が就労におよぼす影響の現状、通院状況、治療内容などをアンケート調査した。過去の就労に関する実態調査を検索し、課題を抽出した。これらの情報を活用し、マニュアル作成や療養指導の改善に役立てる検討に着手した。
2)企業・医療機関向けのCKD患者の治療と仕事の両立支援手法の開発
慢性腎臓病(CKD)患者(透析患者及び腎移植患者を含む)の特性、治療と就労の両立支援に当たっての留意事項を明示し、CKD患者の両立支援手法の確立により、企業や医療機関が「主治医と産業医の連携」を含めた取り組みを具体的に例示することで、CKD患者の就労支援に繋がる企業・医療機関との連携を促進し、CKD重症化予防にも貢献することを目指した。
3)CKD患者・家族向けの治療と仕事の両立支援ツールに関する研究
「治療と仕事の両立お役立ちノート」を作成し、研究班や関連学会のホームページ等において、患者及び国民に広く普及する検討に着手した。
4)職場における慢性腎臓病への対応に関するアンケート調査
職場におけるCKDへの対応について実態を把握するため、特に1)CKD患者の治療と仕事の両立と2)健診有所見者の事後措置に注目して、産業医を対象にアンケート調査を実施した。①CKD患者の治療と仕事の両立について、仕事との両立が困難であると答えた者の割合は、多い順に、血液透析60%、腹膜透析58%、腎移植31%、保存期CKD 30%であった。②健診有所見者の事後措置について、 尿蛋白1+のみでは経過観察が最も多く(57%)、これに尿潜血1+が加わるとかかりつけ医を受診が増え、尿蛋白2+になるとかかりつけ医を受診と腎臓専門医を受診が半々になった。
結論
CKD患者の治療と仕事の両立を進めるには、事例に基づく両立支援の情報提供を行うこと、産業医への啓発活動を行うことの有用性が示唆された。手引きおよびお役立ちノートはCKD患者が社会参加継続および復帰を可能にするツールとして活用され、CKD患者が自らの状態を理解し、主体的に治療と就労に取り組むことに繋がり、CKD患者の就労者数増加や復職率向上に寄与することが期待される。また、CKD患者の適切な治療によりCKD重症化予防にも貢献し、透析導入減少にも資することが期待される。

公開日・更新日

公開日
2024-12-09
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2024-12-09
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202311004Z