文献情報
文献番号
200934006A
報告書区分
総括
研究課題名
関節リウマチの寛解導入療法体系化に関する研究
課題番号
H19-免疫・一般-006
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
竹内 勤(慶應義塾大学医学部リウマチ内科)
研究分担者(所属機関)
- 山本 一彦(東京大学大学院医学系研究科内科学専攻 アレルギーリウマチ学)
- 西本 憲弘(和歌山県立医科大学医学部免疫制御学講座)
- 住田 孝之(筑波大学大学院人間総合科学研究科 先端応用医学専攻臨床免疫学)
- 田中 良哉(産業医科大学医学部第1内科学講座 内科学・膠原病学・臨床免疫学)
- 山中 寿(東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センター)
- 川上 純(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科病態解析・制御学講座 第一内科)
- 南木 敏宏(東京医科歯科大学 薬害監視学講座)
- 渥美 達也(北海道大学大学院医学研究科病態内科学講座・第二内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
42,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
関節リウマチ(RA)は、破壊性関節炎を特徴とし、生命予後も不良である。生物学的製剤開始時すでに関節破壊が進展しており、本邦のRAは欧米の症例より関節破壊度がより高度であることが明らかとなってきた。そのため治療の目標を臨床的寛解とし、早期から強力で積極的な治療を行い、関節破壊進行のない真の寛解を目指す治療戦略が必要である。本研究では、機能予後改善を指向した薬物治療戦略を展開するため、治療の現状を分析、検討し効率よい寛解導入法を構築し、それを体系化する事を目的とする。
研究方法
ココホート研究
1)臨床現場における寛解導入率の推移
2)生物学的製剤使用RA患者を対象とした疫学研究:各薬剤を用いた臨床研究
3)インフリキシマブの寛解導入と関節破壊抑制の検討
4)エタネルセプトの寛解導入療法の検討
免疫、遺伝学的研究
5)RA疾患感受性遺伝子の検討
6)投与前の全血RNAの発現からのTNF阻害剤の投与後の効果予測
寛解導入を目指す画像評価研究
7)生物学的製剤治療効果予測における治療直前手関節造影MRI有用性評価
8)コンパクトMRIスコアによる生物学的製剤の治療効果判定
1)臨床現場における寛解導入率の推移
2)生物学的製剤使用RA患者を対象とした疫学研究:各薬剤を用いた臨床研究
3)インフリキシマブの寛解導入と関節破壊抑制の検討
4)エタネルセプトの寛解導入療法の検討
免疫、遺伝学的研究
5)RA疾患感受性遺伝子の検討
6)投与前の全血RNAの発現からのTNF阻害剤の投与後の効果予測
寛解導入を目指す画像評価研究
7)生物学的製剤治療効果予測における治療直前手関節造影MRI有用性評価
8)コンパクトMRIスコアによる生物学的製剤の治療効果判定
結果と考察
関節リウマチ治療は、寛解導入率は30%を超えるまでに向上した。その背景には抗リウマチ作用を有する薬剤が発症早期から使用されてきたこと、2003年以降の生物学的製剤導入がある。生物学的製剤を導入すれば、寛解率は20-50%まで上乗せすることが可能である。さらにインフリキシマブ中止後にも寛解を得られる可能性がある事が示された。生物学的製剤導入前の関節破壊は、高度に進行していた。罹病期間により関節破壊進行度が異なっており、寛解導入の個別化、関節破壊抑止の観点からも、罹病期間別の治療戦略を構築する必要がある。網羅的遺伝子発現解析によりその有効性を予測するアルゴリズムが検証された。個々の症例に適した効率よい薬剤選択を行なうため、免疫遺伝学的解析が進められ、今回、新たな疾患感受性遺伝子と、テーラーメイド医療構築に向けて新たなエビデンスが得られた。
結論
生物学的製剤を用いた治療戦略研究は、国際学会で発表の場を与えられるなど世界的に大きな注目を集めた。この研究成果は、実地臨床に直結する有用な情報として広く国内外に知られ、寛解率向上に寄与した。本研究で報告されたTNF, IL-6Rの2種類の生物学的製剤の有用性を予測する網羅的遺伝子発現解析研究の結果、実用に向けた遺伝子セットの同定が完了した。多施設共同前向き検証研究がスタートしたため、今後の結果が期待される。
公開日・更新日
公開日
2010-10-19
更新日
-