乳幼児期に重度視覚障害をきたす難病の遺伝学的診断と長期的診療体制の構築

文献情報

文献番号
202310084A
報告書区分
総括
研究課題名
乳幼児期に重度視覚障害をきたす難病の遺伝学的診断と長期的診療体制の構築
研究課題名(英字)
-
課題番号
23FC1055
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
仁科 幸子(蓮江 幸子)(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 小児外科系専門診療部 眼科)
研究分担者(所属機関)
  • 堀田 喜裕(浜松医科大学 医学部)
  • 外園 千恵(京都府立医科大学 視覚機能再生外科学)
  • 近藤 峰生(国立大学法人三重大学 医学系研究科)
  • 永井 章(国立成育医療研究センター 総合診療部総合診療科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
4,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
重度視覚障害をきたす難病の大部分は視覚発達の感受性期に起こるため、早期発見、確実な診断、保有視機能と予後評価に基づく治療・ロービジョンケア早期介入の成否が生涯にわたる障害の程度を大きく左右する。本研究班の目的は、第一に乳幼児期における視覚難病の重症度及び予後評価の確立、今後の治療導入のため遺伝学的診断を早期に実施する体制を構築すること、第二に小児科との連携体制を強化し、全身疾患と結びつく視覚難病を包括したAYA世代支援、成人期移行医療を推進する長期的診療体制を作ることである。
研究方法
本年度は①重症度と予後評価に関し、乳幼児期の視覚障害の重症度スケールを前眼部、後眼部別に心理物理・電気生理・画像評価を基に検討した。②遺伝学的診断に関し、保護者へ意識調査を計画・実施した。網膜ジストロフィの遺伝子解析と臨床像の検討を実施した。前眼部の難病に対し遺伝子パネル検査を作成した。③長期的診療体制を構築するため、AYA世代における眼・全身合併症の調査を計画・実施した。
結果と考察
①重症度と予後評価:乳幼児期(0~3歳)の各視覚難病の視覚障害の重症度分類を心理物理(選択視PL法)、電気生理(網膜電図ERG、視覚誘発電位VEP)、画像評価(光干渉断層計OCT)、形状評価(前眼部形状、角膜混濁、後眼部視神経形状)、行動評価(羞明、夜盲)を基に作成し、6歳以降の視機能の重症度と比較して妥当性を検討する研究を計画して中央一括審査を受け多機関研究を実施中である。②遺伝学的診断:乳幼児期の特殊性と課題を検討するため乳幼児の遺伝子解析に関する保護者の意識調査を多機関実施した。日本人のレーバー先天盲・早発型網膜ジストロフィにおいて最多のRPGRIP1遺伝子異常の遺伝型と臨床像を研究し発信した。前眼部の視覚難病(前眼部形成異常、先天無虹彩、小眼球)に対し、効率的な遺伝学的検査法を検討するため、遺伝子パネルを作成した。網膜ジストロフィの遺伝学的診断推進のため日本の専門家と討議し種々のガイドラインを作成し公表した。患者会JRPSと連携し患者家族への情報提供と最新の研究成果の報告を行った。③長期的診療体制:乳幼児視覚難病のAYA世代における眼・全身合併症の多機関研究を実施中である。小児科側から視覚障害児の発達の予後を検討した。研究班HPにて情報提供を行った。
結論
本年度は多機関研究を立ち上げ、本研究目標の基盤となる研究を開始することができた。結果を解析して2年目以降に成果を発信したい。
乳幼児の視覚難病に対し今後、眼局所に対する遺伝子治療、人工視覚、再生医療が急速に進歩する見込みである。新たな治療技術を適切な時期・方法で小児に導入するためには、乳幼児期の遺伝学的診断と長期的診療体制を構築し、対象疾患の重症度・視覚予後・合併症を明らかとする必要がある。本研究の成果は、視覚難病の乳幼児のよりよい視覚予後の獲得に寄与できると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2025-05-27
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2025-05-27
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202310084Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
5,980,000円
(2)補助金確定額
5,980,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,352,936円
人件費・謝金 1,335,472円
旅費 314,873円
その他 1,596,719円
間接経費 1,380,000円
合計 5,980,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2024-09-09
更新日
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