気管支喘息の有症率、ガイドラインの普及効果とQOLに関する全年齢全国調査に関する研究

文献情報

文献番号
200934001A
報告書区分
総括
研究課題名
気管支喘息の有症率、ガイドラインの普及効果とQOLに関する全年齢全国調査に関する研究
課題番号
H19-免疫・一般-001
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
赤澤 晃(国立成育医療センター 総合診療部小児期診療科)
研究分担者(所属機関)
  • 高橋 清(国立病院機構南岡山医療センター 院長)
  • 小田嶋 博(国立病院機構福岡病院 副院長)
  • 西村 正治(北海道大学大学院医学研究科呼吸器内科学分野(第一内科)・呼吸器内科)
  • 足立 雄一(富山大学医学部小児科)
  • 谷口 正実(国立病院機構相模原病院臨床研究センター)
  • 大矢 幸弘(国立成育医療センター アレルギー科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
34,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
気管支喘息をはじめアレルギー疾患の全国を網羅した全年齢にわたる有症率、治療状況等を経年的に調査をしていくことは、国際的な比較、治療ガイドラインの効果を検証することができアレルギー診療の医療行政上の方策決定においても必須である。このための調査結果をだすこととその調査方法に関して検討した。
研究方法
1.全国小児気管支喘息有症率調査に関する研究
2年度に実施した全国小児気管支喘息有症率調査のデータ分析を実施した。
2. 成人喘息インターネット調査
インターネット調査専門会社を利用して、調査方法の調整を行いこれまで実施してきた調査結果との検証を行った。
結果と考察
1.全国小児気管支喘息有症率調査に関する研究
回収は、幼稚園児47,291名(回収率:92.8%)、小学校1.2年生44,110名(92.1%)、中学校2.3年生49,898名(78.8%)高校2, 3年生55,456名(81.6%)であった。気管支喘息生涯有症率は、幼稚園児33.2%、小学生32.9%、中学生23.1%、高校生21.7%で、最近12ヶ月の期間有症率はそれぞれ、19.9%、13.6%、9.6%、8.3%であった。性差は、幼稚園、小学生は男児が有意に高く、中学、高校生では差がなかった。
前回2005年との比較では、6~7歳はほぼ横ばい、13~14歳は微増した。都道府県別の地域差は、小中学生では前回と同様な傾向があった。治療薬は、低年齢層ではロイコトリエン受容体拮抗薬の使用頻度が高かった。
肥満との関連性では、小中高校生でいずれも肥満が有意に喘息に関係しており、BMIが90th以上であれば、喘息である可能性が24~32%増加することが明らかとなった。運動誘発喘息に関しても同様な結果であった。

2.成人喘息インターネット調査
全国の県庁所在地に次亜中する20~44歳の調査対象者から無作為に抽出し全国で合成45,208名を対象とした。回収率は、82%で喘息期間有症率は12.3%、現在の喘息有病率は7.7%であった。有症率は地域差が約2倍の幅があること地域のネコ飼育率、喫煙率、集合住宅の割合などとの関連性が示された。

結論
年齢階層別の全国のアレルギー疾患有症率および治療状況の調査は、治療ガイドラインの効果と普及状況の評価、医療政策の評価として重要である。しかし経年的に調査する体制を確立することは社会的背景、経費的に困難になっている。効率的な調査体制を模索するとともに経年的に比較できる調査結果を残していくことが重要である。

公開日・更新日

公開日
2010-10-19
更新日
-

文献情報

文献番号
200934001B
報告書区分
総合
研究課題名
気管支喘息の有症率、ガイドラインの普及効果とQOLに関する全年齢全国調査に関する研究
課題番号
H19-免疫・一般-001
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
赤澤 晃(国立成育医療センター 総合診療部小児期診療科)
研究分担者(所属機関)
  • 高橋 清(国立病院機構南岡山医療センター 院長)
  • 小田嶋 博(国立病院機構福岡病院 副院長)
  • 西村 正治(北海道大学大学院医学研究科呼吸器内科学分野(第一内科)・呼吸器内科)
  • 足立 雄一(富山大学医学部小児科)
  • 谷口 正実(国立病院機構相模原病院臨床研究センター)
  • 大矢 幸弘(国立成育医療センター アレルギー科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
気管支喘息をはじめアレルギー疾患の全国を網羅した全年齢にわたる有症率、治療状況等を経年的に調査していくことは、国際的な比較、治療ガイドラインの効果を検証することができアレルギー診療の医療行政上の方策決定においても必須である。このための調査結果をだすこととその調査方法に関して検討を行った。
研究方法
平成16年から開始した全国調査を基本として小児と成人で継続的に実施していくことを全体研究としている。個別研究として、高齢者喘息の調査、アレルギー性鼻炎、肥満等との関連性の検討を行った。
1.全国小児気管支喘息有症率調査に関する研究
全国の各都道府県で幼稚園、小学校、中学校、高等学校でそれぞれ1,200名以上になるように対象校を選定し、日本語版ISAAC調査用紙に喘息のコントロール状況を評価できる質問、治療薬の内容、コンプライアンスを評価する質問を加えて2008年に実施した
2. 成人喘息インターネット調査
インターネット調査専門会社を利用して、調査方法の調整を行いこれまで実施してきた調査結果との検証を行った。
結果と考察
1.全国小児気管支喘息有症率調査に関する研究
回収は、幼稚園児47,291名(回収率:92.8%)、小学校1.2年生44,110名(92.1%)、中学校2.3年生49,898名(78.8%)高校2, 3年生55,456名(81.6%)であった。気管支喘息生涯有症率は、幼稚園児33.2%、小学生32.9%、中学生23.1%、高校生21.7%で、最近12ヶ月の期間有症率はそれぞれ、19.9%、13.6%、9.6%、8.3%であった。
2.全国成人喘息インターネット調査
全国の県庁所在地(東京は23区)に在住する20~44歳のヤフーバリューインサイト登録会員から無作為に約1000名ずつ抽出し、全国で計45,208名の会員に回答を促し82%の回答率を得た。各県での有病率には2倍以上の開きがあり、期間有症率は12.3%、喘息有病率は7.7%であり、喫煙率、ネコ飼育率、集合住宅の割合が有病率と相関した。

結論
平成16年度からの調査で、全国的に広い年齢で調査する体制に関して検討をしながら、有症率等を測定し、比較することが出来てきた。調査体制としてより簡便で精度の高い調査が継続的に行える体制が必要であり当面は、文部科学省、教育委員会を通じた協力体制により実施していくこととインターネットでの調査に関して検討していく必要がある。

公開日・更新日

公開日
2010-10-19
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200934001C

成果

専門的・学術的観点からの成果
これまで全国規模の全年齢にわたる国際的調査用紙であるISAAC、ECRHSでの調査がなかった。小児では、学校等を通じ2005年、2008年に実施、成人はインターネットでの初の調査を実施その検証をおこなった。
臨床的観点からの成果
小児では、幼児から高校生までの喘息、アレルギー性鼻結膜炎、アトピー性皮膚炎の記述疫学データと治療状況がわかり、地域差があること、年齢差、性差、肥満との関係があることなどがわかった。成人では、高齢者に多いこと、COPDとの鑑別が必要なこと鼻炎、肥満との関連性があることがわかった。
ガイドライン等の開発
全国全年齢の喘息有症者数は1,000万人以上と推計されるためその対応には治療ガイドラインが必須であること。治療状況からは、治療が必要と考えられる症状のある人のうち治療を受けているのは40%以下であり、ガイドラインの普及が必要である。
その他行政的観点からの成果
喘息治療対象者が多いにもかかわらず十分な治療がされていないことによる、経済的損失を考慮して一般への啓発活動、医療従事者への啓発、研修、患者教育方法の見直し、実施が必要であることがわかった。
その他のインパクト
治療、啓発が必要な有症者が多いこと。治療が十分普及されていないこと。過去のデータと比較しても増加傾向にあること。

発表件数

原著論文(和文)
6件
原著論文(英文等)
1件
その他論文(和文)
10件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
25件
学会発表(国際学会等)
9件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
1件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
足立陽子、中林玄一、足立雄一 他
保育施設での食物アレルギー児に対する食物除去対応における変化
日本小児アレルギー学会誌 , 21 (3) , 305-310  (2007)
原著論文2
明石真幸、赤澤 晃
気管支喘息の有病率・罹患率及びQOLに関する全年齢階級別全国調査に関する研究:全国小・中学生気管支喘息有症率調査
日本小児アレルギー学会誌 , 21 (5) , 743-748  (2007)
原著論文3
足立雄一、村上巧啓、眞弓光文、他
外来での簡単な問診票とチェック表を導入することによる小児気管支喘息ガイドラインに沿った治療推進の効果
日本小児アレルギー学会誌 , 22 (3) , 369-378  (2008)
原著論文4
清水薫子、今野哲、西村正治、他
北海道上士幌町における成人喘息、アレルギー性鼻炎有病率
アレルギー , 57 (7) , 835-842  (2008)
原著論文5
渡辺博子、大矢幸弘、赤澤 晃、他
小児気管支喘息養育者QOL(QOLCA-24)の開発
アレルギー , 57 (12) , 1302-1316  (2008)
原著論文6
Namiko Kojima, Yukihiro Ohya, Akira Akasawa, et al
Exercise-induced asthma is associated with impaired quality of life among children with asthma in Japan
Allergoloy International , 58 (2) , 187-192  (2009)

公開日・更新日

公開日
2015-06-29
更新日
-