文献情報
文献番号
202310077A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性腎障害に関する調査研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23FC1048
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
猪阪 善隆(国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科 腎臓内科学)
研究分担者(所属機関)
- 成田 一衛(国立大学法人 新潟大学 大学院医歯学総合研究科 腎・膠原病内科学)
- 南学 正臣(国立大学法人東京大学 医学部附属病院 腎臓・内分泌内科)
- 和田 隆志(国立大学法人 金沢大学 事務局)
- 丸山 彰一(国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学大学院医学系研究科腎臓内科)
- 旭 浩一(岩手医科大学 医学部)
- 清水 章(日本医科大学医学部 病理学 (解析人体病理学))
- 杉山 斉(川崎医療短期大学)
- 廣村 桂樹(群馬大学大学院医学系研究科内科学講座腎臓・リウマチ内科学)
- 木村 友則(大阪大学 医学部腎臓内科学)
- 忰田 亮平(新潟大学 大学院医歯学総合研究科 腎・膠原病内科学)
- 松井 功(大阪大学 大学院医学系研究科腎臓内科学)
- 長洲 一(川崎医科大学 医学部)
- 鈴木 祐介(順天堂大学 大学院医学研究科腎臓内科学)
- 横尾 隆(東京慈恵会医科大学 医学部)
- 山縣 邦弘(筑波大学 医学医療系臨床医学域腎臓内科学)
- 坪井 直毅(藤田医科大学 医学部)
- 中川 直樹(旭川医科大学 医学部)
- 新沢 真紀(大阪大学キャンパスライフ健康支援・相談センター 保健管理部門)
- 武藤 智(順天堂大学 医学部)
- 星野 純一(東京女子医科大学 医学部)
- 三浦 健一郎(東京女子医科大学 腎臓小児科)
- 井上 勉(埼玉医科大学 腎臓内科)
- 岡田 浩一(埼玉医科大学 医学部)
- 古市 賢吾(金沢医科大学 腎臓内科学)
- 鈴木 仁(順天堂大学医学部大学院医学研究科腎臓内科学)
- 臼井 丈一(筑波大学医学医療系)
- 和田 健彦(虎の門病院)
- 西尾 妙織(北海道大学 北海道大学病院 リウマチ・腎臓内科)
- 水井 理之(大阪大学 大学院医学系研究科 腎臓内科学)
- 井上 和則(大阪大学 大学院医学系研究科 腎臓内科学)
- 坂口 悠介(大阪大学大学院 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
21,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究事業は難治性腎障害に関する調査研究を行い、医療水準の向上と良質かつ適切な診療提供体制の構築に貢献することを目的とする。本事業の主な対象となる7つの腎領域指定難病 (IgA腎症、多発性嚢胞腎、急速進行性糸球体腎炎、抗糸球体基底膜腎炎、一次性ネフローゼ症候群、一次性膜性増殖性糸球体腎炎、紫斑病性腎炎)、および腎疾患の移行医療については、エビデンスに基づく診療ガイドラインが公表されているが、より有効な周知と普及、腎予後・生命予後の改善,QOLの向上に繋がる効果的な運用をすすめる。
また、日本腎臓学会との連携で構築運営されている腎疾患登録システム (J-RBR/J-KDR)、J-RBRと連携した腎病理バーチャルスライドシステム、電子カルテから直接データを抽出するJ-CKD-DBなど大規模データベースが構築されているが、これらをさらに有効活用する取り組みを行う。指定難病臨床調査個人票データを活用した診断・重症度分類の検証も目的とする。
さらに、AMED研究をはじめとする2次研究の基盤を提供し、研究成果情報の共有や取りまとめ、新たな問題点の抽出等、関連研究グループと密接な連携体制を構築し、腎臓領域の難病に係る研究開発の推進に貢献する。指定難病申請書様式の見直し、申請を促す啓発も期待される。また、monoclonal gammopathy of renal significance(MGRS)やC3腎症などの難治性腎疾患について、新規指定難病の適否の検討を開始している。
また、日本腎臓学会との連携で構築運営されている腎疾患登録システム (J-RBR/J-KDR)、J-RBRと連携した腎病理バーチャルスライドシステム、電子カルテから直接データを抽出するJ-CKD-DBなど大規模データベースが構築されているが、これらをさらに有効活用する取り組みを行う。指定難病臨床調査個人票データを活用した診断・重症度分類の検証も目的とする。
さらに、AMED研究をはじめとする2次研究の基盤を提供し、研究成果情報の共有や取りまとめ、新たな問題点の抽出等、関連研究グループと密接な連携体制を構築し、腎臓領域の難病に係る研究開発の推進に貢献する。指定難病申請書様式の見直し、申請を促す啓発も期待される。また、monoclonal gammopathy of renal significance(MGRS)やC3腎症などの難治性腎疾患について、新規指定難病の適否の検討を開始している。
研究方法
研究推進委員会は、関連する公的研究との連携や医療提供体制における課題についても全体を総括し、研究の進捗状況などについて指導する。「疾患登録・調査研究分科会」では各ワーキンググープ(WG)において各疾患の診療実態を調査し、2次研究を推進またはその基盤を整備する。さらに以前の難治性腎障害研究班で調査した疫学データもupdateする。「診療ガイドライン分科会」では、上記調査で得られた診療実態、研究結果をふまえたエビデンスに基づく診療ガイドラインを改訂・発表し、さらに国際的にも情報発信する。また、より有効な周知と普及、腎予後・生命予後の改善,QOLの向上に繋がる効果的な運用を推進する。そのために、日本腎臓学会、日本小児腎臓病学会等の関連学会、ならびに各疾患患者会などとの緊密な連携の下、普及・啓発および遵守状況や予後への効果の調査をすすめ、次期改訂の基盤となるデータを収集する。
結果と考察
腎臓病総合レジストリー(J-RBR/J-KDR)の改訂が行われ、2018年1月16日より新システムでの登録・運用が開始している。新システムでの登録は、新旧システムにおける集計が報告されている。さらに、J-RBRのデータが連結した腎生検病理組織のバーチャルスライドシステムが、2019年3月から稼働し、ほぼすべての規格に対応できる体制が整備された。現在まで、821症例のバーチャルスライドが閲覧可能となっている。J-RBRのデータが連結した腎生検病理組織のバーチャルスライド化をさらに推進させるとともに、バーチャルスライドを用いたAIによる病理診断にも着手した。
各疾患WGは、指定難病 7疾患を対象とし、これら疾患の診断基準・重症度分類・治療指針の検証を行っている。治療法未確立の腎障害に対する普及・啓発、診療体制の整備に貢献するに資する充実した研究成果を挙げてきた。引き続き、研究計画に沿って、研究を遂行している。
移行WGでは、ベッドサイドなど診療の現場で役立つCAKUTの移行期医療支援ガイドの作成を開始した。疫学、診断、予後、治療と管理のほか、具体的な移行の進め方の説明、患者・家族への病気と治療法の説明や移行準備評価チェックリストなどの具体的な支援ツールも盛り込む。
診療ガイドライン分科会では、R5年度からの3年間で、最新のエビデンスを取り込んで、4つの難治性腎疾患に関するエビデンスに基づく診療GL2026の改訂・出版を行う予定としている。診療ガイドライン作成組織(統括委員会、作成グループ(パネリスト)、SRチーム)の選定を行ない、各GLのSCOPE、CQ案およびBQ案を作成した。
各疾患WGは、指定難病 7疾患を対象とし、これら疾患の診断基準・重症度分類・治療指針の検証を行っている。治療法未確立の腎障害に対する普及・啓発、診療体制の整備に貢献するに資する充実した研究成果を挙げてきた。引き続き、研究計画に沿って、研究を遂行している。
移行WGでは、ベッドサイドなど診療の現場で役立つCAKUTの移行期医療支援ガイドの作成を開始した。疫学、診断、予後、治療と管理のほか、具体的な移行の進め方の説明、患者・家族への病気と治療法の説明や移行準備評価チェックリストなどの具体的な支援ツールも盛り込む。
診療ガイドライン分科会では、R5年度からの3年間で、最新のエビデンスを取り込んで、4つの難治性腎疾患に関するエビデンスに基づく診療GL2026の改訂・出版を行う予定としている。診療ガイドライン作成組織(統括委員会、作成グループ(パネリスト)、SRチーム)の選定を行ない、各GLのSCOPE、CQ案およびBQ案を作成した。
結論
本事業により、腎臓病関連のAMED研究との連携、指定難病 7疾患の判定・重症度分類の検証、申請書様式の見直し、申請書のデータベース化と2次利用、申請を促す普及活動、診療体制の整備とバーチャルスライドの症例登録の充実、移行医療の啓発・普及に対する取り組み、2020年度版ガイドラインの普及において、滞りなく成果が得られた。難治性腎障害の発症・増悪の抑制、医療提供体制の整備、腎代替療法を要する患者数の抑制に結びつく医療水準の向上、患者のQOL向上が期待できる。
公開日・更新日
公開日
2025-05-29
更新日
-