文献情報
文献番号
202310062A
報告書区分
総括
研究課題名
新生児スクリーニング対象疾患等の先天代謝異常症の成人期にいたる診療体制構築と提供に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23FC1033
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
中村 公俊(熊本大学 大学院生命科学研究部 小児科学講座)
研究分担者(所属機関)
- 濱崎 考史(大阪市立大学 医学部)
- 和田 陽一(東北大学 東北大学病院)
- 伊藤 康(東京女子医科大学 医学部 小児科)
- 田中 藤樹(国立成育医療センター臨床研究開発部医療機器開発科)
- 村山 圭(順天堂大学 難治性疾患診断・治療学)
- 小林 弘典(島根大学医学部小児科)
- 福田 冬季子(浜松医科大学 小児科学)
- 笹井 英雄(岐阜大学医学部附属病院)
- 伊藤 哲哉(藤田医科大学医学部小児科学)
- 野口 篤子(秋田大学医学部小児科)
- 小須賀 基通(国立成育医療研究センター 小児内科系専門診療部 遺伝診療科)
- 但馬 剛(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 研究所 マススクリーニング研究室)
- 大石 公彦(東京慈恵会医科大学 小児科)
- 羽田 明(ちば県民保健予防財団 調査研究センター)
- 村上 良子(国立大学法人大阪大学 微生物病研究所 )
- 石毛 美夏(和田 美夏)(日本大学 医学部)
- 清水 教一(東邦大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
17,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究では遺伝性難病である先天代謝異常症患者の生涯にわたる診療を支援するためのガイドラインの作成・改訂と、診療体制の整備をおこなうことを目的としている。そのために、診断および治療の実態を継続的に調査し、客観的診断基準や重症度分類を検証するとともに、診療ガイドラインとして標準化し出版・公開することとした。(1)対象となる47疾病のガイドラインの改定または新規ガイドラインの作成、(2)移行期医療と成人期の診療体制の整備に向けた調査と診療モデルの作成、(3)年間82症例の新規患者登録、患者会の支援、(4)新生児代謝スクリーニングと特殊ミルク制度に関する課題整備と診断・治療体制への提言をおこなった。濱崎班(診療ガイドラインと遺伝子診断)、奥山班(ライソゾーム病)、村山班(ミトコンドリア病)、斯波班(脂質異常症)、但馬班(新生児マススクリーニング)、斯波班(脂質異常症)、和田班(難病診療均てん化)などと連携できた。そして、先天代謝異常症に関わる専門医師、診断施設、学会などのオールジャパンとしての取り組みで、生涯にわたる診療支援が継続的に可能になる体制作りを目指している。
研究方法
ここで取り上げる疾患の中でフェニルケトン尿症などのアミノ酸代謝異常症、尿素サイクル異常症の一部、メチルマロン酸血症などの有機酸血症、脂肪酸およびカルニチン代謝異常症などは全国の自治体の多くで新規に推進されている拡大新生児マススクリーニングの対象疾患になっている。これらの対象疾患のエビデンスに基づく診療ガイドラインの作成、移行期医療と成人期診療に関する調査、先天代謝異常学会の患者登録制度JaSMInを用いた患者登録と利用の推進、新生児マススクリーニングの新規診断法に関する研究を行った。特殊ミルクによる治療の対象となる疾患、年齢などを記載した「特殊ミルク治療ガイドブック」の出版後に、その活用について学会での講演等を行い周知に努めている。さらに患者会との合同で意見交換会を開催し、ガイドラインの役割、外来診療や成人期の診療について討議をおこないガイドラインに反映させた。
結果と考察
(1)ガイドラインの作成
対象とした疾患の中で、21疾患のガイドラインについて日本先天代謝異常学会の理事会承認を得て、令和5年10月20日に診断と治療社から「新生児マススクリーニング対象疾患等診療ガイドライン2019 Part2」として出版することができた。さらに、以前作成した「新生児マススクリーニング対象疾患等ガイドライン2019」の改訂作業に着手した。厚労科研和田班から、「指定難病の各疾患群ごとの共通の重症度基準策定の試み」についての依頼を受け、中村班以外の研究班とも連携して、代謝疾患43疾患の重症度分類について共通の基準を用いることが可能な疾病と独自の基準が必要となる疾病について再評価をおこなった。
(2)移行期医療と成人期の診療体制の整備に向けた調査と診療モデルの作成
移行期医療と成人期の診療体制の整備について、成人患者や移行期における課題を明らかにした。その一部はガイドラインの新規作成、改訂作業に加筆している。
(3)患者登録制度の推進、患者会の支援および海外の登録制度との連携
先天代謝異常症患者登録制度(JaSMIn)の登録状況と各種研究等への利活用状況について調査した。今年度に新たに55名の患者登録を達成し、総登録者数は1,807名となった。患者会の支援として、令和6年1月27日にはWeb配信形式にて合同患者会「第10回先天代謝異常症患者会フォーラム」を開催した。
(4)新生児代謝スクリーニングと特殊ミルク制度に関する課題整備と診断・治療体制への提言とガイドライン作成
新生児スクリーニングにおける新規の診断指標を検討し、新規作成、改訂作業中のガイドラインに反映させている。関連学会と連携して、特殊ミルクの適応疾患、対象年齢、必要量などの検討をおこない、特殊ミルクによる治療の対象となる疾患、年齢などを記載した「特殊ミルク治療ガイドブック」の出版後に、その活用について学会での講演等を行い周知に努めている。
対象とした疾患の中で、21疾患のガイドラインについて日本先天代謝異常学会の理事会承認を得て、令和5年10月20日に診断と治療社から「新生児マススクリーニング対象疾患等診療ガイドライン2019 Part2」として出版することができた。さらに、以前作成した「新生児マススクリーニング対象疾患等ガイドライン2019」の改訂作業に着手した。厚労科研和田班から、「指定難病の各疾患群ごとの共通の重症度基準策定の試み」についての依頼を受け、中村班以外の研究班とも連携して、代謝疾患43疾患の重症度分類について共通の基準を用いることが可能な疾病と独自の基準が必要となる疾病について再評価をおこなった。
(2)移行期医療と成人期の診療体制の整備に向けた調査と診療モデルの作成
移行期医療と成人期の診療体制の整備について、成人患者や移行期における課題を明らかにした。その一部はガイドラインの新規作成、改訂作業に加筆している。
(3)患者登録制度の推進、患者会の支援および海外の登録制度との連携
先天代謝異常症患者登録制度(JaSMIn)の登録状況と各種研究等への利活用状況について調査した。今年度に新たに55名の患者登録を達成し、総登録者数は1,807名となった。患者会の支援として、令和6年1月27日にはWeb配信形式にて合同患者会「第10回先天代謝異常症患者会フォーラム」を開催した。
(4)新生児代謝スクリーニングと特殊ミルク制度に関する課題整備と診断・治療体制への提言とガイドライン作成
新生児スクリーニングにおける新規の診断指標を検討し、新規作成、改訂作業中のガイドラインに反映させている。関連学会と連携して、特殊ミルクの適応疾患、対象年齢、必要量などの検討をおこない、特殊ミルクによる治療の対象となる疾患、年齢などを記載した「特殊ミルク治療ガイドブック」の出版後に、その活用について学会での講演等を行い周知に努めている。
結論
疾患ごとに成人期の診療体制の在り方に関する具体的な診療体制の供給に関する検討を進めた。これに基づいて小児期から成人までの幅広い年齢の患者を対象とした診断と治療に関する診療体制についてガイドラインにおいて言及した。先天代謝異常症の専門領域の診療において、成人患者を含む問題点を明らかにし、その診療体制や社会的支援についての必要性や問題点を明らかにした。診断施設ごとの特徴や役割分担と連絡先を日本先天代謝異常学会と連携してそのホームページに掲載し、医師や患者・家族への情報提供に協力した。
公開日・更新日
公開日
2025-05-26
更新日
-