文献情報
文献番号
202310060A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性呼吸器疾患・肺高血圧症に関する調査研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23FC1031
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
平井 豊博(国立大学法人京都大学 大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
- 巽 浩一郎(千葉大学 大学院医学研究院 真菌医学研究センター)
- 阿部 弘太郎(九州大学病院 循環器内科)
- 伊波 巧(杏林大学 医学部)
- 井上 義一(国立病院機構近畿中央呼吸器センター, 臨床研究センター)
- 大郷 剛(国立循環器病研究センター 医療安全管理部/心臓血管内科部門、肺循環科)
- 小賀 徹(学校法人川崎学園川崎医科大学)
- 小川 浩正(国立大学法人東北大学事業支援機構)
- 葛西 隆敏(順天堂大学大学院医学研究科循環呼吸睡眠医学講座)
- 近藤 康博(公立陶生病院呼吸器・アレルギー疾患内科)
- 今野 哲(北海道大学大学院医学研究科呼吸器内科学分野)
- 坂尾 誠一郎(国際医療福祉大学 医学部)
- 塩田 智美(順天堂大学 大学院医学研究科呼吸器内科学)
- 城 大祐(東京大学 大学院医学系研究科)
- 杉浦 寿彦(国立大学法人千葉大学医学研究院)
- 杉村 宏一郎(国際医療福祉大学成田病院大学 循環器内科)
- 鈴木 拓児(千葉大学大学院医学研究院)
- 鈴木 康之(東京女子医科大学)
- 瀬山 邦明(順天堂大学大学院医学研究科)
- 伊達 洋至(京都大学 大学院医学研究科)
- 田邉 信宏(千葉大学 大学院医学研究院)
- 田村 雄一(国際医療福祉大学 医学部循環器内科)
- 陳 和夫(京都大学大学院医学研究科)
- 辻野 一三(北海道大学 大学院 医学研究院医学院 呼吸器内科学教室)
- 照井 慶太(自治医科大学 外科学講座(小児外科部門))
- 長谷川 久弥(東京女子医科大学附属足立医療センター 新生児科)
- 花岡 正幸(信州大学医学部内科学第一講座)
- 林田 美江(信州大学医学部附属病院呼吸器・感染症内科)
- 山岸 敬幸(慶應義塾大学医学部)
- 山田 洋輔(東京女子医科大学東医療センター 新生児科)
- 吉田 雅博(国際医療福祉大学 医学部 消化器外科学教室)
- 佐藤 晋(京都大学 医学研究科呼吸管理睡眠制御学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
18,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
難治性呼吸器疾患および肺高血圧症に関する横断的・縦断的研究を通して、患者生命予後とQOLの向上の実現、厚生労働省の医療政策に活用しうる知見の収集が大きな目的である。日本肺高血圧・肺循環学会、日本循環器学会、日本リウマチ学会、日本呼吸器学会、日本小児科学会などの関連学会との連携を図りながら、「重症度分類を含めた診断基準」に関して学術的進歩に合わせて年度毎の評価、また「診療ガイドラインの作成/更新」に寄与しうるエビデンスの構築を継続する。最終治療としての「肺移植」に関しても関連研究を推進する。研究を遂行することにより、「医療政策に活用しうる知見の収集・活用」を通して「難治性呼吸器疾患患者のQOL向上」を目指す。
研究方法
対象疾患は、嚢胞性肺疾患(リンパ脈管筋腫症;LAM)、呼吸調節異常を基盤として発症する疾患(肺胞低換気症候群;AHS、先天性中枢性低換気症候群(CCHS)はAHSに含む)、肺・気道系疾患(α1-アンチトリプシン欠乏症;AATD)、肺血管系疾患(肺動脈性肺高血圧症;PAH、慢性血栓塞栓性肺高血圧症;CTEPH)、肺静脈閉塞症/肺毛細血管腫症;PVOD/PCH)、肺動脈瘻を有するオスラー病(遺伝性出血性末梢血管拡張症;HHT)である。
研究代表者が統括し、関連学会が支える体制で、診療ガイドラインの継続的作成のために、患者会との連携も行っている。
対象疾患に対し、診療ガイドライン作成・更新、に役立つエビデンスの創出、世界・日本からのエビデンスに関する討議を継続的に行う。疾患レジストリの構築・維持、AMED事業との連携による病態解明、新規治療法の有効性検証などを行い、ガイドラインの作成・更新を目指す。
研究代表者が統括し、関連学会が支える体制で、診療ガイドラインの継続的作成のために、患者会との連携も行っている。
対象疾患に対し、診療ガイドライン作成・更新、に役立つエビデンスの創出、世界・日本からのエビデンスに関する討議を継続的に行う。疾患レジストリの構築・維持、AMED事業との連携による病態解明、新規治療法の有効性検証などを行い、ガイドラインの作成・更新を目指す。
結果と考察
すべての対象疾患に対して「診療ガイドラインに寄与しうるエビデンス(論文)」の構築に務めた。
LAM;希少肺疾患登録制度を利用しAMED難治性疾患実用化研究事業の支援の下で疾患レジストリの運用中。LAM診療の手引きポケット版を作成し公開準備中である。
NDBデータベース研究を実施し実態調査を行った。
AHS;ICSDの改訂に合わせた「難治性肺胞低換気症候群の診療ガイドライン」作成準備を開始した。病名変更も併せて行う予定。
移行期医療支援チームを再編成し、再始動した。小児例への横隔膜ペーシングを導入した。
AATD;LAMと同様疾患レジストリの運用中。合同公開データベースを用い、疾患関連遺伝子の病的バリアントについて検討を行った。
PAH;JAPHR、JRPHS(呼吸器疾患に伴う肺高血圧症)、JACPHR(先天性心疾患に伴う肺高血圧症)レジストリの運用を推進した。
国際的診断基準と本邦との診断基準の乖離が生じている点について、日本肺高血圧・肺循環学会と合同でステートメントを公開した。ワーキンググループを立ち上げ、診断基準・重症度分類の変更について各学会と協力しながら検討する取り組みを開始した。
末梢性肺動脈狭窄症PPSについて、日本における実態を報告した。
CTEPH;AMED研究レジストリを活用した慢性血栓塞栓性肺高血圧症に対するエドキサバンの第Ⅲ相医師主導治験の結果を公開し、エドキサパンのワーファリンに対する非劣性が証明された。
CTEPH ACレジストリより経口抗凝固薬DOACsとワルファリンの安全性、有用性の検討結果を報告した。
PVOD/PCH;PAH同様に学会と合同のステートメントを公開し、ワーキンググループによる診断基準・重症度分類の変更について検討を開始した。
また、疾患横断的取り組みとして、在宅呼吸ケア白書を作成し、調査結果を関連学会で発表した。肺移植例のQOL、生命予後規定因子に関する検討を報告した。
以上を通じて、対象疾患に対する医療政策に活用しうる知見の収集・活用、並びに一般への啓発に今ケンすることが出来たと考えられる。
LAM;希少肺疾患登録制度を利用しAMED難治性疾患実用化研究事業の支援の下で疾患レジストリの運用中。LAM診療の手引きポケット版を作成し公開準備中である。
NDBデータベース研究を実施し実態調査を行った。
AHS;ICSDの改訂に合わせた「難治性肺胞低換気症候群の診療ガイドライン」作成準備を開始した。病名変更も併せて行う予定。
移行期医療支援チームを再編成し、再始動した。小児例への横隔膜ペーシングを導入した。
AATD;LAMと同様疾患レジストリの運用中。合同公開データベースを用い、疾患関連遺伝子の病的バリアントについて検討を行った。
PAH;JAPHR、JRPHS(呼吸器疾患に伴う肺高血圧症)、JACPHR(先天性心疾患に伴う肺高血圧症)レジストリの運用を推進した。
国際的診断基準と本邦との診断基準の乖離が生じている点について、日本肺高血圧・肺循環学会と合同でステートメントを公開した。ワーキンググループを立ち上げ、診断基準・重症度分類の変更について各学会と協力しながら検討する取り組みを開始した。
末梢性肺動脈狭窄症PPSについて、日本における実態を報告した。
CTEPH;AMED研究レジストリを活用した慢性血栓塞栓性肺高血圧症に対するエドキサバンの第Ⅲ相医師主導治験の結果を公開し、エドキサパンのワーファリンに対する非劣性が証明された。
CTEPH ACレジストリより経口抗凝固薬DOACsとワルファリンの安全性、有用性の検討結果を報告した。
PVOD/PCH;PAH同様に学会と合同のステートメントを公開し、ワーキンググループによる診断基準・重症度分類の変更について検討を開始した。
また、疾患横断的取り組みとして、在宅呼吸ケア白書を作成し、調査結果を関連学会で発表した。肺移植例のQOL、生命予後規定因子に関する検討を報告した。
以上を通じて、対象疾患に対する医療政策に活用しうる知見の収集・活用、並びに一般への啓発に今ケンすることが出来たと考えられる。
結論
令和5年度までの3年間、1) 患者生命予後とQOLの向上の実現、2) 厚生労働省の医療政策に活用しうる知見の収集を目的として継続して横断的・縦断的研究を行ってきた。令和6年度はそれを引き継ぎ、一部の対象疾患に関して、「診療ガイドラインの作成」並びにガイドライン改訂に続く情報収集を継続した。「医療政策に活用しうる知見の収集・活用」を通して、最終的な目標である「難治性呼吸器疾患患者QOL向上」を目指す。
公開日・更新日
公開日
2025-05-30
更新日
-