日本人の細胞に由来するiPS細胞からの誘導ヒト肝細胞を用いたキメラマウス肝炎モデル開発とその前臨床応用

文献情報

文献番号
200933032A
報告書区分
総括
研究課題名
日本人の細胞に由来するiPS細胞からの誘導ヒト肝細胞を用いたキメラマウス肝炎モデル開発とその前臨床応用
研究課題名(英字)
-
課題番号
H21-肝炎・一般-008
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
池田 一雄(名古屋市立大学 大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 河田 則文(大阪市立大学 大学院医学研究科)
  • 吉里 勝利(大阪市立大学 大学院医学研究科 (フェニックスバイオ))
  • 立野 知世(向谷 知世)(フェニックスバイオ)
  • 寺岡 弘文(東京医科歯科大学 難治疾患研究所)
  • 田中 靖人(名古屋市立大学 大学院医学研究科)
  • 中西 真(名古屋市立大学 大学院医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
24,360,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は,日本人の細胞からiPS細胞を作製してヒト肝細胞へと分化誘導させ,これを移植して得たキメラマウスを利用し,肝炎ウイルス感染に関わる宿主要因を日本人肝細胞で検討できるモデルを開発することを目的とする。
研究方法
レトロウイルスベクターを使用し,山中4因子(KLF4, SOX2, OCT3/4, C-MYC)等を日本人線維芽細胞に感染させ、iPS細胞を作成する。
ヒトiPS細胞をActivinA, BMP4, bFGF2, HGF等の刺激や低酸素条件下での培養により肝細胞への分化を促す。
未熟な肝細胞をuPA/SCIDマウスの脾臓より注入し,肝臓への生着・増殖を検討する。
結果と考察
日本人線維芽細胞由来のiPS細胞作製のため,レトロウイルスベクターを使用し,数個のiPS細胞様コロニーを樹立した。そして,ヒトiPS細胞からの肝細胞への分化誘導実験では,内胚葉系細胞マーカー遺伝子のSox17,Pdx1,肝芽細胞マーカー遺伝子のAfpは,分化誘導開始15日目,20日目に発現し,Afpでは分化誘導に伴い遺伝子発現量が増加していた。成熟肝細胞マーカー遺伝子のAlbは,分化誘導開始20日目で強い発現が確認された。未分化マーカー遺伝子であるNanogは,分化誘導を開始してからも発現が確認されているため,今後ファクスソーティングを利用して未分化のまま残る細胞を除き,分化誘導を進め,キメラマウスへの移植をスタートさせる。未熟な若年ドナー肝細胞をキメラマウス肝臓内に生着・増殖させた実験ではマウス肝内で,細胞が成熟し,成人ヒト肝臓と同レベルの分化形質を示すことが明らかとなり,このことよりiPS細胞から分化させたヒト肝細胞が未熟であった場合でも,キメラマウスに移植することにより成熟ヒト肝細胞に分化する可能性が高いことも解った。
結論
日本人線維芽細胞由来のiPS細胞作製のため,レトロウイルスベクターを使用し,数個のiPS細胞様コロニーを樹立した。ヒトiPS細胞からの肝細胞への分化誘導では,内胚葉系細胞マーカー遺伝子のSox17,Pdx1,肝芽細胞マーカー遺伝子のAfpは,分化誘導開始15日から20日目に発現し,Afpでは分化誘導に伴い遺伝子発現量が増加していた。成熟肝細胞マーカー遺伝子のAlbは,分化誘導開始20日目で強い発現が確認された。

公開日・更新日

公開日
2011-06-06
更新日
-