文献情報
文献番号
202310044A
報告書区分
総括
研究課題名
オールジャパン体制によるIgG4関連疾患の診断基準並びに診療指針の確立を目指す研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23FC1015
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
川野 充弘(国立大学法人金沢大学 附属病院)
研究分担者(所属機関)
- 正宗 淳(東北大学大学院医学系研究科)
- 妹尾 浩(京都大学大学院 医学研究科)
- 田中 篤(帝京大学 医学部内科学講座)
- 岩崎 栄典(慶應義塾大学 医学部 内科学(消化器))
- 児玉 裕三(京都大学 医学研究科 消化器内科学講座)
- 井戸 章雄(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科)
- 仲瀬 裕志(札幌医科大学医学部 消化器内科学講座)
- 内田 一茂(高知大学 医学部)
- 池浦 司(関西医科大学 内科学第三講座)
- 菅野 敦(自治医科大学 内科学講座消化器内科学部門)
- 高橋 裕樹(札幌医科大学医学部消化器・免疫・リウマチ内科学講座)
- 吉藤 元(京都大学大学院医学研究科 内科学講座臨床免疫学)
- 坪井 洋人(筑波大学 医学医療系 膠原病リウマチアレルギー内科学)
- 田中 良哉(産業医科大学 医学部 第1内科学講座)
- 山本 元久(東京大学 医科学研究所)
- 森山 雅文(九州大学 歯学研究院)
- 秋山 光浩(慶應義塾大学 医学部)
- 中山田 真吾(産業医科大学 医学部 第1内科学講座)
- 高比良 雅之(金沢大学 附属病院)
- 竹島 健(和歌山県立医科大学 内科学第一講座)
- 河内 泉(新潟大学大学院医歯学総合研究科)
- 山田 和徳(金沢医科大学 医学教育学)
- 笠島 里美(今井 里美)(金沢大学 医薬保健研究域保健学系病態検査学)
- 水島 伊知郎(金沢大学附属病院 腎臓・リウマチ膠原病内科)
- 松井 祥子(富山大学 保健管理センター)
- 半田 知宏(京都大学医学部附属病院 呼吸器内科)
- 佐藤 康晴(岡山大学大学院保健学研究科 検査技術科学分野)
- 佐藤 啓(愛知医科大学 医学部)
- 能登原 憲司(倉敷中央病院 病理診断科)
- 井上 大(金沢大学附属病院 放射線科)
- 石川 秀樹(京都府立医科大学 分子標的癌予防医学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
26,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
従来から活動していた臓器別分科会を6つにスリム化し、新たに臓器横断的な病理・放射線分科会を設置し、更に臓器横断的な5つの委員会を設置することにより、臓器間でバランスのとれた診断法と全ての臓器病変に共通して適応できる統一的な治療法を確立し、あわせて全国頻度調査による正確な患者数の把握、社会への啓発活動などを実施することを目的とする。
研究方法
・包括診断基準と臓器別診断基準のあり方を再検討し、必要に応じて統合・改訂を行う。
・疾患活動性指標を策定し、実臨床における有用性を検証する。
・実態調査を目的としたレジストリの症例登録数を増やし、あわせてテーマごとのデータ解析を進めて論文化する。
・IgG4関連疾患(IgG4-RD)診療ガイダンスを完成させ、各関連学会の承認を得て公表する。また、現時点でのエビデンスに基づきIgG4-RDの治療に関する診療ガイドラインを策定する。
・患者会HPを開設し、患者向けの市民公開講座の定期的開催、患者向けの情報発信を行う。
・全国頻度調査を継続して行い、発症頻度などの疫学的調査を行う。
・AMED研究班(國土班)とも連携し、患者検体の提供に努めるとともに、レジストリデータも活用して発症機序の解明を図る。
・疾患活動性指標を策定し、実臨床における有用性を検証する。
・実態調査を目的としたレジストリの症例登録数を増やし、あわせてテーマごとのデータ解析を進めて論文化する。
・IgG4関連疾患(IgG4-RD)診療ガイダンスを完成させ、各関連学会の承認を得て公表する。また、現時点でのエビデンスに基づきIgG4-RDの治療に関する診療ガイドラインを策定する。
・患者会HPを開設し、患者向けの市民公開講座の定期的開催、患者向けの情報発信を行う。
・全国頻度調査を継続して行い、発症頻度などの疫学的調査を行う。
・AMED研究班(國土班)とも連携し、患者検体の提供に努めるとともに、レジストリデータも活用して発症機序の解明を図る。
結果と考察
IgG4-RD包括診断基準2020の改訂案を作成した。またIgG4-RD患者レジストリから、分類基準、診断基準の感度算出に必要な登録症例データを抽出した。レジストリの参加施設は67施設、登録患者数は909例となり(2024年3月31日時点)順調に増えている。2024年2月16日時点での登録症例854例において登録時点での患者背景の集計を行い、論文化を進めている。IgG4-RDを専門としていない医師が専門家への紹介が必要か否かを検討する際のガイドとしてIgG4-RD診療ガイダンスを作成し、各関連学会でパブリックコメントを求めている。本疾患の治療に関する診療ガイドラインの策定に着手し、治療フローチャート案、クリニカルクエスチョンの設定について議論を行った。グルココルチコイドなどの治療を必要とする臓器を選定し、臓器ごとに治療介入を判断するスコアの判断基準を示す疾患活動性マトリクス案を作成した。
自己免疫性膵炎(AIP)臨床診断基準2018の検証を行い妥当性が確認された。AIP長期観察例に対する疫学研究を論文化した。IgG4関連硬化性胆管炎臨床診断基準2020検証のための症例データを収集した。IgG4関連胆嚢炎の診断基準ならびに治療方針の確立を目指した研究計画について中央一括審査で承認された。IgG4関連消化管病変に関する調査研究において、36症例の病理標本の評価を終了した。
IgG4関連涙腺・唾液腺炎の診断基準(2020年)が、改訂包括診断基準(2020年)に統合できるか検討を実施し、統合の方向へ進めた。分科会提案型レジストリ活用研究について、テーマを「涙腺・唾液腺炎の臨床像と重症度・患者報告アウトカム研究」として研究を開始予定である。「IgG4 関連涙腺・唾液腺炎の診断における顎下腺超音波検査の有用性に関する多施設共同研究(許可番号:2020-357)」において症例データの収集とデータ解析を進めている。
2015年に論文化された「IgG4関連眼疾患診断基準」の改訂版を論文化・投稿した。IgG4関連肥厚性硬膜炎に関するこれまでの知見をもとに診断基準の作成段階にある。
IgG4関連腎臓病の長期予後調査から、治療開始後3か月以内に良好な腎機能を達成することにより、生命予後改善や重篤感染症のリスク低下が得られる可能性が示唆された。IgG4関連後腹膜線維症の臨床像、治療経過に関する観察研究の研究計画書を作成し、倫理審査中である。
IgG4関連呼吸器疾患診断基準の改訂作業を行い、2023年に和文論文、英文論文を作成、公表した。また、IgG4 関連呼吸器疾患の疫学と病態に関するレジストリ情報を用いた観察研究の研究計画について議論を行った。
2018年IgG4関連大動脈周囲炎/動脈周囲炎および後腹膜線維診断基準を評価し、問題点を改良した改訂版診断基準を検討した。提案された2023年改訂診断基準は、感度が大幅に向上し、高い特異性が維持されており、結果を論文化し公表した。また、改訂診断基準について日本循環器学会の承認取得の手続きを進めている。
令和6年3月に倉敷で第5回IgG4-RD学会との併催で市民公開講座を行い、オンデマンド配信している。患者会を設立し、一般向けのHPも開設した。
自己免疫性膵炎(AIP)臨床診断基準2018の検証を行い妥当性が確認された。AIP長期観察例に対する疫学研究を論文化した。IgG4関連硬化性胆管炎臨床診断基準2020検証のための症例データを収集した。IgG4関連胆嚢炎の診断基準ならびに治療方針の確立を目指した研究計画について中央一括審査で承認された。IgG4関連消化管病変に関する調査研究において、36症例の病理標本の評価を終了した。
IgG4関連涙腺・唾液腺炎の診断基準(2020年)が、改訂包括診断基準(2020年)に統合できるか検討を実施し、統合の方向へ進めた。分科会提案型レジストリ活用研究について、テーマを「涙腺・唾液腺炎の臨床像と重症度・患者報告アウトカム研究」として研究を開始予定である。「IgG4 関連涙腺・唾液腺炎の診断における顎下腺超音波検査の有用性に関する多施設共同研究(許可番号:2020-357)」において症例データの収集とデータ解析を進めている。
2015年に論文化された「IgG4関連眼疾患診断基準」の改訂版を論文化・投稿した。IgG4関連肥厚性硬膜炎に関するこれまでの知見をもとに診断基準の作成段階にある。
IgG4関連腎臓病の長期予後調査から、治療開始後3か月以内に良好な腎機能を達成することにより、生命予後改善や重篤感染症のリスク低下が得られる可能性が示唆された。IgG4関連後腹膜線維症の臨床像、治療経過に関する観察研究の研究計画書を作成し、倫理審査中である。
IgG4関連呼吸器疾患診断基準の改訂作業を行い、2023年に和文論文、英文論文を作成、公表した。また、IgG4 関連呼吸器疾患の疫学と病態に関するレジストリ情報を用いた観察研究の研究計画について議論を行った。
2018年IgG4関連大動脈周囲炎/動脈周囲炎および後腹膜線維診断基準を評価し、問題点を改良した改訂版診断基準を検討した。提案された2023年改訂診断基準は、感度が大幅に向上し、高い特異性が維持されており、結果を論文化し公表した。また、改訂診断基準について日本循環器学会の承認取得の手続きを進めている。
令和6年3月に倉敷で第5回IgG4-RD学会との併催で市民公開講座を行い、オンデマンド配信している。患者会を設立し、一般向けのHPも開設した。
結論
1年目における6領域の分科会活動と、臓器横断的な1分科会、5委員会の研究成果を報告した。
各分科会・委員会活動と2回の班会議による議論を経て、1年目のそれぞれの領域における研究の進捗状況は概ね予定通り達成した。
各分科会・委員会活動と2回の班会議による議論を経て、1年目のそれぞれの領域における研究の進捗状況は概ね予定通り達成した。
公開日・更新日
公開日
2025-06-03
更新日
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