文献情報
文献番号
202310042A
報告書区分
総括
研究課題名
稀少てんかんの診療指針と包括医療の研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23FC1013
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
今井 克美(国立病院機構静岡てんかん・神経医療センター 臨床研究部)
研究分担者(所属機関)
- 高橋 幸利(独立行政法人国立病院機構静岡てんかん・神経医療センター 臨床研究部)
- 飯村 康司(順天堂大学 脳神経外科)
- 池田 昭夫(京都大学 大学院医学研究科 脳病態生理学講座 臨床神経学分野)
- 伊藤 進(東京女子医科大学 小児科)
- 臼井 直敬(独立行政法人国立病院機構 静岡てんかん・神経医療センター 脳神経外科)
- 奥村 彰久(愛知医科大学 医学部)
- 柿田 明美(新潟大学 脳研究所)
- 加藤 光広(昭和大学 医学部)
- 川合 謙介(自治医科大学)
- 河野 剛(聖マリア病院 小児科)
- 菊池 健二郎(埼玉県立小児医療センター 神経科)
- 九鬼 一郎(大阪市立総合医療センター 小児神経内科)
- 小林 勝弘(岡山大学病院 小児神経科)
- 齋藤 明子(独立行政法人国立病院機構 名古屋医療センター臨床研究センター 臨床研究企画部 臨床疫学研究室)
- 齋藤 貴志(国立精神・神経医療研究センター病院 小児神経診療部)
- 佐久間 啓(公益財団法人東京都医学総合研究所 脳・神経科学研究分野)
- 白石 秀明(北海道大学病院)
- 白水 洋史(独立行政法人国立病院機構西新潟中央病院 脳神経外科)
- 神 一敬(東北大学大学院医学系研究科 てんかん学分野)
- 青天目 信(大阪大学大学院医学系研究科)
- 福山 哲広(信州大学 医学部)
- 本田 涼子(国立病院機構長崎医療センター)
- 松尾 健(東京都立病院機構東京都立神経病院・脳神経外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
25,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
稀少てんかんレジストリへの疾患登録、死因解析、変異遺伝子登録を継続しつつ、指定難病および類縁疾患についての実態調査、診断基準の見直し、難病情報センター公開資料のアップデート、ガイドライン作成、移行医療・難病ケアのモデル構築、患児や家族の社会生活の実態把握、他研究事業・研究班との連携推進、情報提供・教育・啓発活動を行う。
研究方法
当研究班が担当する23の指定難病(先天性核上性球麻痺、アイカルディ症候群、片側巨脳症、限局性皮質異形成、神経細胞移動異常症、ドラベ症候群、海馬硬化症を伴う内側側頭葉てんかん、ミオクロニー欠神てんかん、ミオクロニー脱力発作を伴うてんかん、レノックス・ガストー症候群、ウエスト症候群、大田原症候群、早期ミオクロニー脳症、遊走性焦点発作を伴う乳児てんかん、片側痙攣片麻痺てんかん症候群、環状20番染色体症候群、ラスムッセン脳炎、PCDH19関連症候群、徐波睡眠期持続性棘徐波を示すてんかん性脳症、ランドウ・クレフナー症候群、スタージ・ウェーバー症候群、アンジェルマン症候群、進行性ミオクローヌスてんかんを担当)につき疾患概要、診断基準、診療ガイドラインの検証・アップデートに取り組む。稀少てんかんレジストリ登録症例の横断的分析を参考に、近縁疾患(自己免疫介在性脳炎・脳症、異形成性腫瘍、視床下部過誤腫症候群、単一遺伝子の病原性変異を原因とする発達性てんかん性脳症、血管奇形に伴うてんかん、ビタミンB6依存性てんかん、欠神を伴う眼瞼ミオクローヌス、外傷によるてんかん、てんかんを発症する先天異常症候群など)についても診断基準案作成と指定難病申請を目指す。発作や併存症、難病制度利用状況の分析に基づく重症度の再評価、患児の教育・福祉機関での実態、家族の社会的調査、難病医療ケア連携・移行期医療体制の整備に必要な情報収集を行う。
結果と考察
当研究班対象疾患のうち21疾患について指定難病と小児慢性特定疾患の診断基準を比較検討した。診断基準における要求項目として、臨床症状(100%)、脳波所見(76%)、神経画像所見(38%)が多く、遺伝子検査が要求されるのは5疾患であった。除外診断が必須ではない疾患があり、指定難病と小児慢性特定疾病の両者に指定されている17疾患のうち、診断基準が一致していたのは7疾患だった。改定時期のずれによる影響もあり、統一のための作業が必要である。
関連学会の承認を得て、指定難病に3疾患、小児慢性特定疾患に2疾患を新規申請し、指定難病16疾患については臨床調査個人票の修正申請をした。難病情報センターの一般向け文書改訂には20疾患について協力した。
死因研究のレジストリを継続し、110症例が登録された。男性に多く、原因不明の突然死が25%を占めた。参加施設の追加により病理組織診断は93例に増えた。てんかん難病にかかわる既知の遺伝子についてクリニカルエクソーム解析を行い、約35%の症例で遺伝子異常を同定できた。
学校や福祉施設勤務者がてんかんを持つ人に関して日ごろ感じる困難感をアンケート調査し、発作時対応や発作に関連する外傷への懸念が多いこと、医療機関との連携が不十分との意見が多かった。患者家族会を中心としたアンケートでは、けいれん重積に対するミダゾラム口腔用液の支援学校での使用例が増えているが、救命救急士による使用が認められていない点が問題点として挙げられた。
AMED難治性疾患実用化研究事業「ゲノム情報に基づくN of One Plus創薬研究」への協力を開始し、対象疾患の検討を行った。
てんかん学会ガイドライン作成委員会と共同で「てんかん症候群の診断と治療の手引き」を発刊した。難病の教育・啓発活動の必要性を考察し、一般市民、患者とその家族を対象とする教育活動を実践した。
関連学会の承認を得て、指定難病に3疾患、小児慢性特定疾患に2疾患を新規申請し、指定難病16疾患については臨床調査個人票の修正申請をした。難病情報センターの一般向け文書改訂には20疾患について協力した。
死因研究のレジストリを継続し、110症例が登録された。男性に多く、原因不明の突然死が25%を占めた。参加施設の追加により病理組織診断は93例に増えた。てんかん難病にかかわる既知の遺伝子についてクリニカルエクソーム解析を行い、約35%の症例で遺伝子異常を同定できた。
学校や福祉施設勤務者がてんかんを持つ人に関して日ごろ感じる困難感をアンケート調査し、発作時対応や発作に関連する外傷への懸念が多いこと、医療機関との連携が不十分との意見が多かった。患者家族会を中心としたアンケートでは、けいれん重積に対するミダゾラム口腔用液の支援学校での使用例が増えているが、救命救急士による使用が認められていない点が問題点として挙げられた。
AMED難治性疾患実用化研究事業「ゲノム情報に基づくN of One Plus創薬研究」への協力を開始し、対象疾患の検討を行った。
てんかん学会ガイドライン作成委員会と共同で「てんかん症候群の診断と治療の手引き」を発刊した。難病の教育・啓発活動の必要性を考察し、一般市民、患者とその家族を対象とする教育活動を実践した。
結論
指定難病23疾患につき、疾患概要、診断基準、重症度分類、臨床調査個人票、指定難病の運用状況・利用状況を検証し、修正が必要な項目については提案を行った。難病情報センターの一般向け文書改訂に協力した。シームレスな移行期医療を円滑に進めるための研究を進めた。難病患児を有する家庭・学校生活への影響を調査した。難病の教育・啓発活動の必要性を考察・実践した。疾患レジストリは、死因レジストリ、遺伝子研究、病理研究の結果を含めて、今後もデータ蓄積によって医療の質と患者・家族のQOL改善への寄与が期待できる。
公開日・更新日
公開日
2025-06-09
更新日
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