レット症候群の臨床調査研究

文献情報

文献番号
202310041A
報告書区分
総括
研究課題名
レット症候群の臨床調査研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23FC1012
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
伊藤 雅之(国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター 神経研究所疾病研究第二部)
研究分担者(所属機関)
  • 松石 豊次郎(久留米大学高次脳疾患研究所)
  • 黒澤 健司(地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター 遺伝科)
  • 高橋 悟(旭川医科大学医学部)
  • 青天目 信(大阪大学大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
8,308,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
レット症候群の診療支援に向けて、診断基準の検証、遺伝子診断体制の確立、患者データベースの構築、てんかんなどの臨床研究を行った。また、レット症候群は、MECP2遺伝子の機能喪失を原因とするが、現在まで臨床的に導入された治療法はない。近年の遺伝子治療の発展によりこうした遺伝子治療の両疾患への応用が課題となっている。海外の治療戦略の現状を把握するために最近数年間の治療法に関する文献的検討を行った。
 さらに、レット症候群の類縁疾患としてHNRNP関連神経発達症の疫学調査行った。患者数(有病率)や臨床実態を明らかにし、診断基準の作成などを行い、小児慢性特定疾病および指定難病の登録準備を行う。
研究方法
遺伝子診断ののち、患者データベース登録を行なったのは5例であった。近年の登録は全て遺伝子診断がされたのちの登録であった。診断基準に照らして、全例で典型的レット症候群であった。また、レット症候群のてんかんに対するケトン食療法について、自験例に文献的検討を加えて分析した。
レット症候群の遺伝子診断体制を確立し、診療支援と疫学調査を進めることを目的とした。遺伝子診断用のDNAは、末梢血白血球より抽出した。レット症候群の遺伝子診断は、MECP2遺伝子について、サンガー法あるいはMLPA法にて行った。変異が同定されなかった場合には、次世代シークエンサーを用いた全エクソーム解析にて検討する。遺伝子診断は、旭川医科大学の倫理委員会の承認を得て、患者あるいは保護者への十分な説明と同意が得られた場合に行われた(承認番号 775)。
遺伝子治療研究に関して、PubMed検索により、「MECP2 duplication syndrome」、「Rett syndrome」、「MECP2 related disorders」、「gene therapy」、などをキーワードとして、2021年以降の文献を検討した。必要に応じて、プレプリントジャーナルも検討対象論文に加えた。計画通り、研究を実施した。
 HNRNP関連神経発達症では、HNRNP関連遺伝子異常に起因する発達障害をきたす7遺伝子(C, H1, H2, K, Q, R, U)を対象に自験例に文献的調査を行い、診断基準案を作成し、日本小児科学会の協力のもとに全国の医療・療育機関にアンケート調査を行った。この調査は、国立精神・神経医療研究センターの倫理委員会の承認のもとに行った。
結果と考察
患者データベース登録は、今年度5名の登録があり191名となった。てんかんの治療管理に関して、ケトン食の有効性を明らかにした。
また、遺伝子診断では、令和5年度にレット症候群を疑われて遺伝子診断を依頼されたのは、5件であった。レット症候群の診断基準に合致していたのは4例で、MECP2遺伝子に病的バリアントが同定された。診断断基準に合致していなかった1例では、病的バリアントは同定されなかった。
最近の治療法研究として、MECP2遺伝子の導入だけでなく厳密な量的制御を目的としたmiRNAの応用が注目されていることが確認できた。
HNRNP関連神経発達症の全国疫学調査を開始した。一次調査として、小児科指導医施設と療育施設を対象に全国670施設に患者数調査を行った。一次調査の結果改修後、患者を診療している施設に対して、二次調査を行う予定である。また、遺伝子診断がなされていない患者に対して、遺伝子診断の提供を準備している。
結論
レット症候群の患者データベースは、治験を行う上で重要な基盤となる。世界的に行われている治験の情報収集は、本邦での展開に重要であり、治療を前提とした早期診断や患者リクルートに重要な参考データが得られた。また、レット症候群患者の長期予後を理解するためには、遺伝情報を付加した患者情報の集積が大切である。
 HNRNP関連神経発達症の疫学調査の解析により、本邦の患者数(有病率)や臨床実態を明らかにし、診断基準を作成することが期待できる。さらに、その成果は小児慢性特定疾病や指定難病の登録に有効である。

公開日・更新日

公開日
2025-06-27
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2025-06-27
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202310041Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
10,800,000円
(2)補助金確定額
10,796,000円
差引額 [(1)-(2)]
4,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,050,023円
人件費・謝金 1,865,311円
旅費 1,885,639円
その他 1,503,216円
間接経費 2,492,000円
合計 10,796,189円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2024-10-07
更新日
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