文献情報
文献番号
202310037A
報告書区分
総括
研究課題名
神経変性疾患領域における難病の医療水準の向上や患者のQOL向上に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23FC1008
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
戸田 達史(東京大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
- 青木 正志(国立大学法人東北大学 大学院医学系研究科 神経内科)
- 桑原 聡(国立大学法人千葉大学 大学院医学研究院神経内科学)
- 祖父江 元(学校法人愛知医科大学)
- 高橋 良輔(京都大学 大学院医学研究科・臨床神経学)
- 辻 省次(学校法人国際医療福祉大学 ゲノム医学研究所)
- 長谷川 一子(独立行政法人 国立病院機構 相模原病院 臨床研究センター 脳神経内科 神経難病研究室・脳神経内科)
- 饗場 郁子(国立病院機構 東名古屋病院 臨床研究部)
- 池内 健(国立大学法人新潟大学 脳研究所)
- 和泉 唯信(徳島大学病院 脳神経内科)
- 小野寺 理(国立大学法人新潟大学 脳研究所脳神経内科学分野)
- 梶 龍兒(国立大学法人徳島大学 大学院医歯薬学研究部 臨床神経科学分野)
- 磯部 紀子(黒木 紀子)(九州大学 大学院医学研究院)
- 小久保 康昌(三重大学 大学院地域イノベーション学研究科)
- 小島原 典子(静岡県立総合病院 リサーチサポートセンター)
- 斎藤 加代子(東京女子医科大学 医学部)
- 下畑 享良(岐阜大学大学院医学系研究科脳神経内科学分野)
- 高橋 祐二(国立精神・神経医療研究センター・病院・神経内科)
- 武田 篤(独立行政法人国立病院機構仙台西多賀病院 統括診療部)
- 坪井 義夫(福岡大学 医学部脳神経内科学教室)
- 中島 孝(独立行政法人国立病院機構新潟病院 脳神経内科)
- 中村 雅之(鹿児島大学)
- 能登 祐一(京都府立医科大学 脳神経内科医局)
- 埜中 正博(関西医科大学 医学部 )
- 服部 信孝(順天堂大学大学院医学研究科)
- 花島 律子(鳥取大学 医学部 医学科 脳神経医科学講座 脳神経内科)
- 保住 功(岐阜薬科大学・大学院 (薬物治療学))
- 望月 秀樹(大阪大学大学院医学系研究科)
- 森田 光哉(自治医科大学 医学部 内科学講座 神経内科学部門/附属病院リハビリテーションセンター)
- 矢部 一郎(北海道大学大学院医学研究院)
- 古和 久典(独立行政法人国立病院機構松江医療センター 脳神経内科)
- 柿田 明美(新潟大学 脳研究所)
- 齊藤 祐子(東京都老人医療センター剖検病理科)
- 岩崎 靖(愛知医科大学 加齢医科学研究所 神経病理部門)
- 勝野 雅央(名古屋大学 大学院医学系研究科 神経内科)
- 齋藤 伸治(名古屋市立大学 大学院医学研究科新生児・小児医学分野)
- 村松 一洋(自治医科大学 医学部 小児科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
30,769,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
神経変性疾患領域の①球脊髄性筋萎縮症(SBMA)、②筋萎縮性側索硬化症(ALS)、③脊髄性筋萎縮症(SMA)、④原発性側索硬化症(PLS)、⑤進行性核上性麻痺(PSP)、⑥Parkinson病(PD)、⑦大脳皮質基底核変性症(CBD)、⑧Huntington病(HD)、⑨神経有棘赤血球症(NA)、⑩Charcot-Marie-Tooth病(CMT)、⑪特発性基底核石灰化症(IBGC)、⑫脊髄空洞症、⑬脊髄髄膜瘤、⑭遺伝性ジストニア、⑮神経フェリチン症、⑯Perry 病、⑰前頭側頭葉変性症、(FTLD)⑱紀伊ALS/Parkinson認知症複合(紀伊ALS/PDC)、⑲本態性振戦(ET)、⑳Vici症候群の20疾患を対象(①~⑰が指定難病)とする。これまで行ってきた「神経変性班」を引き継いでさらに発展させ、1)診療の質の向上と診療体制の充実、2)レジストリ・データベースの構築と解析、生体試料収集や患者調査、3)診断基準、重症度分類、診療ガイ ドライン(GL)の作成と改訂、4)療養の手引きやケアマニュアルの作成・改訂、5)これらに向けたエビデンス創出、6)リハビリテーショ ン、難病コーディネーターなどの診療・相談支援体制の検討、7)神経病理支援体制や小児成人期移行医療の検討、8)遺伝子診断を含めた検査・診断、治療・治験体制と、その情報提供体制整備の検討、9)診療経費や費用対効果の検討を進め、10)啓発活動を実施する
研究方法
対象疾患が多いところから3つの疾患群グループに分けて検討を進めると共に、リハビリテーション・遺伝子診断や病理診断・診察支援体制などの横断的グループによる検討を行う。本研究班で先行して進めているレジストリ研究(JaCALS、JALPAC など)で蓄積された経験を他のレジストリ研究に応用し、治験に活用できる自然歴の解明、生体試料・ゲノムタイプ・臨床的特徴などによる進行評価・予測マーカーの開発、治療・治験情報の提供、治験参加希望者の受け入れなどに配慮したレジストリ・データベース研究を進める。AMED 研究班「難病プラットフォーム」とも連携する。新たに立ち上げるレジストリは、初年度に検討を開始し、2 年目に収集を開始し、最終年度に登録症例数の確保を進める
関連するAMED 実用化研究班と密接に情報交換・連携を行い、神経変性疾患研究全体の意見交換やとりまとめ・新規提案を検討する
関連するAMED 実用化研究班と密接に情報交換・連携を行い、神経変性疾患研究全体の意見交換やとりまとめ・新規提案を検討する
結果と考察
1) 臨床診断と病理診断の対比により診断の妥当性検証を進めた。
2) 診断基準や重症度分類の改訂に向けて患者データ収集を継続すると共に、現在使用されているものの妥当性を検討し、国際的な報告も踏まえて検討を進めた。
3) 診断基準や重症度分類、GLやマニュアルや手引きなど、本研究班の研究成果について、研究班HPで公開して周知した。
4) ALS・SMA・PSP・HD・ETなど、神経変性疾患の診療GL・手引きの原稿作成を進めた。
5) ALS多施設共同コホートJaCALS、PDの検査・臨床解析・治験推進などに向けての患者登録研究、PSP・CBDレジストリJALPAC、HDレジストリ、FTLDのレジストリFTLD-J、CMTレジストリCMTPR、ジストニア・IBGC・紀伊ALS/PDC、Vici症候群など、レジストリ研究を進めた。
6) 小児成人移行期医療について検討を進めた。
7) 遺伝子診断実施体制、薬物療法とサイバニクス治療HALとの複合療法、神経病理診断体制、全国の難病コーデイネータについて検討した。
8) 神経変性疾患の啓発活動を進めた。
9) 疾患分類の再検討を行い、NBIAを遺伝性ジストニアから分離し,神経フェリチン症を含めて疾患総称である脳内鉄沈着神経変性症として扱っていけるように厚生労働省・保健科学院に意見書を提出し,令和5年度に正式に分離でき,令和6年度に発令予定となった。
10) 担当指定難病の臨床調査個人票の改訂、難病情報センターHP指定難病情報の定期更新に協力した。
2) 診断基準や重症度分類の改訂に向けて患者データ収集を継続すると共に、現在使用されているものの妥当性を検討し、国際的な報告も踏まえて検討を進めた。
3) 診断基準や重症度分類、GLやマニュアルや手引きなど、本研究班の研究成果について、研究班HPで公開して周知した。
4) ALS・SMA・PSP・HD・ETなど、神経変性疾患の診療GL・手引きの原稿作成を進めた。
5) ALS多施設共同コホートJaCALS、PDの検査・臨床解析・治験推進などに向けての患者登録研究、PSP・CBDレジストリJALPAC、HDレジストリ、FTLDのレジストリFTLD-J、CMTレジストリCMTPR、ジストニア・IBGC・紀伊ALS/PDC、Vici症候群など、レジストリ研究を進めた。
6) 小児成人移行期医療について検討を進めた。
7) 遺伝子診断実施体制、薬物療法とサイバニクス治療HALとの複合療法、神経病理診断体制、全国の難病コーデイネータについて検討した。
8) 神経変性疾患の啓発活動を進めた。
9) 疾患分類の再検討を行い、NBIAを遺伝性ジストニアから分離し,神経フェリチン症を含めて疾患総称である脳内鉄沈着神経変性症として扱っていけるように厚生労働省・保健科学院に意見書を提出し,令和5年度に正式に分離でき,令和6年度に発令予定となった。
10) 担当指定難病の臨床調査個人票の改訂、難病情報センターHP指定難病情報の定期更新に協力した。
結論
神経変性疾患領域における難病の医療水準の向上や患者のQOL向上に資するために、20以上の神経変性疾患につき、診断基準・重症度分類、診療ガイドライン・マニュアルの作成により、神経変性疾患領域の医療の質の向上に貢献し、診療体制整備を含めた医療行政に役立つ資料を提供する、適切な診断基準により、精度の高い診断、初期・軽症例の診断による早期治療・治療開発につなげる、ことを行い、各疾患ともに順調な成果を得た。
公開日・更新日
公開日
2025-07-02
更新日
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