肝炎ウイルスワクチン実用化のための基盤的研究

文献情報

文献番号
200933023A
報告書区分
総括
研究課題名
肝炎ウイルスワクチン実用化のための基盤的研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H20-肝炎・一般-010
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
石井 孝司(国立感染症研究所 ウイルス第二部)
研究分担者(所属機関)
  • 脇田 隆字(国立感染症研究所 ウイルス第二部 )
  • 明里 宏文(京都大学 霊長類研究所)
  • 加藤 孝宣(国立感染症研究所 ウイルス第二部 )
  • 中村 紀子(東レ株式会社 医薬研究所)
  • 松本 美佐子(北海道大学大学院 医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
59,506,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
C型肝炎ウイルス(HCV)感染は持続感染化し、肝細胞癌を発症する重大な感染症である。しかし、インターフェロンおよびリバビリンによる治療効果は不十分である。HCVワクチンが、HCV感染に対する新たな予防法および治療法となれば、多くの患者の社会復帰を可能にし、医療保険のコスト軽減に寄与できると考えられる。また、予防用ワクチンを世界に先駆けて開発することにより、HCVキャリアー率の高い国々への国際協力が可能となる。
研究方法
HCVワクチン開発に必要な下記の研究を遂行する。1.ワクチン実用化に向けたウイルス産生法および精製法向上に関する研究 2.効果的な免疫法に関する研究 3.Genotypeに関わらず感染中和活性を誘導できるワクチンの開発 4.ウイルス様中空粒子産生系およびウイルス抗原を用いた安全な組換えワクチンの開発 5.ワクチン効果を実証できる動物モデルの開発 6.感染中和機構に重要なHCVの初期感染過程の解析
結果と考察
・ワクチン候補として、HCV粒子を大量に産生、精製するシステムを確立した。本粒子を不活化しマウスに接種したところ、エンベロープ蛋白を接種した場合と比べ強い抗体誘導能が観察された。また、本抗体は種々の遺伝子型のHCVの感染阻害活性を有していた。
・2種類のプラスミドのトランスフェクションにより、single-roundな感染性HCV様粒子の産生に成功した。
・培養細胞での長期培養により強い増殖能を持つJFH-1株の適応変異ウイルスを分離した。
・動物モデルとしてGBV-B急性感染期を経たサル個体について長期経過観察を行い、GBV-Bはマーモセットにおいて長期持続感染し慢性肝炎を呈することが明らかとなった。
結論
・精製HCV粒子の免疫により種々の遺伝子型のHCV感染阻害活性を持つ抗体が誘導され、免疫原性は組換えタンパク質よりも高いことが示唆された。また、免疫されたマウスから感染阻害活性を有する単クローン抗体を取得した。
・エンベロープ蛋白上の糖鎖は複合型であった。また、糖鎖付加部位を欠損したウイルスも感染複製増殖が可能であった。
・ 2種類のプラスミドのトランスフェクションにより、遺伝子型2aおよび1bのsingle-roundな感染性トランスパッケージング型粒子の産生に成功した。
・強い増殖能を持つJFH-1株の適応変異ウイルスを分離した。
・GBV-Bがマーモセット感染によりヒトと極めて近似した慢性C型肝炎を呈するなど、HCVと同様の病原性を有することを示した。

公開日・更新日

公開日
2011-06-02
更新日
-