小児から成人期発症遺伝性QT延長症候群とその類縁疾患の突然死予防に関する研究

文献情報

文献番号
202310032A
報告書区分
総括
研究課題名
小児から成人期発症遺伝性QT延長症候群とその類縁疾患の突然死予防に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23FC1003
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
相庭 武司(国立循環器病研究センター 病院中央診療部門(内科系)臨床検査部)
研究分担者(所属機関)
  • 大野 聖子(国立循環器病研究センター メディカルゲノムセンター)
  • 草野 研吾(国立研究開発法人国立循環器病研究センター心臓血管内科)
  • 坂口 平馬(独立行政法人国立循環器病研究センター 小児循環器部)
  • 朝野 仁裕(国立循環器病研究センター)
  • 西村 邦宏(独立行政法人国立循環器病研究センター・研究開発基盤センター 予防医学・疫学情報部 EBM・リスク情報室)
  • 竹上 未紗(東京大学医学系研究科公衆衛生学分野)
  • 住友 直方(埼玉医科大学国際医療センター 小児心臓科)
  • 村上 卓(筑波大学 医学医療系 小児科)
  • 吉永 正夫(国立病院機構鹿児島医療センター 小児科)
  • 加藤 浩一(滋賀医科大学 循環器内科)
  • 牧山 武(京都大学医学部)
  • 林 研至(金沢大学)
  • 森田 宏(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科先端循環器治療学)
  • 長谷川 寛(群馬大学 医学部附属病院 循環器内科)
  • 大槻 総(新潟大学 医歯学総合病院 循環器内科)
  • 古庄 知己(国立大学法人信州大学 医学部 遺伝医学教室)
  • 吉田 葉子(大阪市立総合医療センター 小児不整脈科)
  • 髙室 基樹(北海道立子ども総合医療・療育センター)
  • 上野 倫彦(手稲渓仁会病院 小児科)
  • 高橋 辰徳(山形大学 医学部小児科)
  • 因田 恭也(名古屋大学 大学院医学系研究科)
  • 早渕 康信(徳島大学 病院)
  • 連 翔太(福岡市立こども病院 循環器科)
  • 渡辺 重朗(横浜市立大学附属病院 小児科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
4,231,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
先天性QT延長症候群(Long QT Syndrome: LQTS)は主に運動やストレスが誘因となり失神発作や心室細動などを生じ、小児期から成人における失神・心臓突然死の原因として重要な疾患である。小児期に診断されることが多いが、発症年齢は幅広く成人以降(特に女性)も継続して診療が必要である。LQTSの約7割に遺伝子異常が見つかり、遺伝子検査の診断における役割は大きい。一方で約3割の遺伝子型不明例に対する評価は定まってない。さらに2018年の日本循環器学会遺伝性不整脈診療ガイドラインでは、QTc時間が470ms以上あればβ遮断薬が推奨されるが、成人期以降の服薬状況や予後に関しては不明である。特に女性では思春期以後に心事故のリスクが増加し、β遮断薬などの薬物治療抵抗性で植込み型除細動器(ICD)を適用せざるを得ない症例も多い。本研究では、先天性LQTSの全国多施設登録を行い早期診断とリスク層別化、生活指導や薬物・非薬物治療が適切に行われているかどうかを検証する。
研究方法
対象はLQTSとその類縁疾患(Andersen-Tawil症候群、Timothy症候群など)である。登録基準は日本循環器学会・遺伝性不整脈ガイドラインに従い、1)リスクスコア≧3.5点、2)LQTSの原因遺伝子変異を有する、3)QTc≧500ms、のいずれかを満たす症例とする。遺伝学的検査は国立循環器病研究センターや滋賀医科大学などの分担施設あるは外部検査機関で実施する。
REDCapを用いたEDC(LQTSレジストリ)を用いて国循と分担施設ごとに対象患者の登録を行う。具体的には、生年月(日)・性別・初診時年齢・心電図(安静時・運動負荷後)所見・症状の有無・家系図・治療の有無さらに遺伝学的検査結果を登録する。フォローアップ可能な患者については最終フォロー時の心電図・失神発作や致死性不整脈の有無・治療薬・ICDの有無などを登録する。
結果と考察
合計3,949例のLQTS患者が登録され、内訳は女性が多く、発端者が6割強を占めた。診断時年齢は中央値が18歳だが、若年から成人まで幅広く分布した。29%に失神発作の既往を認め、心室細動(VF)や心肺停止(CPA)蘇生後も9%に認めた。QTcは平均485msであったが、診断時QTc時間についても非常に幅があり、必ずしも全ての患者でQT時間が延長していないことがわかる。発端者と家族では年齢、性別、症状や心電図所見などで大きな違いを認めた。
診断時年齢は若年者(10代)が多いが、発端者と家族で分布は異なり、中年以降に診断される患者・家族も少なからず存在する。
遺伝子検査は97%で実施され、20%が次世代シーケンサ(NGS)によって解析されていた。遺伝子型はKCNQ1, KCNH2, SCN5Aの順に多く、少数ながらKCNJ2やCACNA1c, CALMなども認めた。
β遮断薬の内服は1,248例(32.7%)に実施されていたが、現ガイドラインの推奨(クラスI)であるQTc≧470msにおいても投薬率は約1/3に留まっていた。
植込み型除細動器(ICD)は248例(7%)と欧米に比べて少なく、植込み時年齢は35±20歳、女性が多く(68%)、失神またはTdP,VFなどイベント後の患者に多く適応となっていた。本結果をもとに現状のβ遮断薬やICD適応基準の妥当性についても検証を行う予定である。
結論
全国19施設からLQTSと診断された4000症例の登録を行った。本レジストリは小児から成人まで幅広い我が国のLQTS患者の遺伝子情報と臨床データを含んでいる。小児・成人を一体的に研究・診療できる体制構築し、特に小児から成人への移行期の円滑な診療体制を確立に貢献できる。今後データ解析を行い我が国のLQTS患者の早期診断とリスク層別化、生活指導や薬物・非薬物治療について検証する。

公開日・更新日

公開日
2025-07-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2025-07-02
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202310032Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
5,500,000円
(2)補助金確定額
5,370,000円
差引額 [(1)-(2)]
130,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,222,693円
人件費・謝金 589,686円
旅費 579,600円
その他 709,074円
間接経費 1,269,000円
合計 5,370,053円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2024-09-19
更新日
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