データマイニング手法を用いた効果的なC型肝炎治療法に関する研究

文献情報

文献番号
200933019A
報告書区分
総括
研究課題名
データマイニング手法を用いた効果的なC型肝炎治療法に関する研究
課題番号
H20-肝炎・一般-006
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
泉 並木(武蔵野赤十字病院 消化器科)
研究分担者(所属機関)
  • 黒崎 雅之(武蔵野赤十字病院 消化器科 )
  • 坂本 直哉(東京医科歯科大学)
  • 坂本 穣(山梨大学)
  • 鈴木 義之(虎ノ門病院)
  • 菅内 文中(名古屋市立大学)
  • 平松 直樹(大阪大学)
  • 岩崎 学(成蹊大学)
  • 田守 昭博(大阪市立大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
17,851,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、データマイニングにより治療効果予測アルゴリズムを構築し、治療抵抗性改善をめざした宿主因子への介入を含め、より効果が高く、安全性を担保した治療へ結びつけるための戦略を構築する。
研究方法
IBM-SPSS Modelerを用いて、ウイルス、宿主、治療要因を網羅的にデータマイニング解析する。Decision Tree解析手法を用いて、治療効果予測アルゴリズムを構築する。「データマイニング手法を用いた効果的な治療方法に関する研究(研究代表者:八橋 弘)」と連携し、外部検証を行う。
結果と考察
治療開始前に、ウイルス学的著効を予測する2種類のアルゴリズムを構築した。一般臨床医の使用を考慮し、一般検査のみを用いたウイルス学的著効予測アルゴリズムを作成し、予測ウイルス学的著効率が72-77%の高率群、43-46%の中間群、22-24%の低率群を同定した。約30%の症例が高率群、約30%の症例が低率群に分類された。八橋班の外部データで検証し、高い再現性を確認した。高率群では薬剤投与量にかかわらずウイルス学的著効率が高いが、低率群では薬剤投与量が80%以上の40%に対し、薬剤投与量が80%未満になると10%までウイルス学的著効率が低下することを示し、本アルゴリズムが薬剤投与量の指標にもなる可能性を示した。肝臓専門医による使用を目的とし、HCV遺伝子変異を含むウイルス学的著効予測アルゴリズムを作成した。NS5A-ISDR変異数、Core70アミノ酸変異、年齢、LDL-Cholesterol、肝線維化が規定因子となった。このアルゴリズムにより、予測ウイルス学的著効率が83%と高率な症例を同定可能であった。内部検証で高い再現性を確認した。
結論
一般検査を用いた個別化治療アルゴリズムにより、個々の症例で科学的根拠に基づいて治療効果を予測し、最適な治療法を選択することが可能となるため、治療の均てん化に寄与する。治療効果予測ができれば、患者の治療機会が増える可能性がある。

公開日・更新日

公開日
2011-06-06
更新日
-

研究報告書(紙媒体)