文献情報
文献番号
200933017A
報告書区分
総括
研究課題名
肝炎・肝硬変に対する抗ウイルス剤以外の治療法に関する研究
課題番号
H20-肝炎・一般-004
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
佐田 通夫(久留米大学 医学部 内科学講座消化器内科部門)
研究分担者(所属機関)
- 横須賀 收(千葉大学 大学院医学研究院 腫瘍内科学講座)
- 大平 弘正(福島県立医科大学 医学部 消化器・リウマチ膠原病内科学講座)
- 角間 辰之(久留米大学 バイオ統計センター)
- 伊東 恭悟(久留米大学 医学部 免疫・免疫治療学講座)
- 矢野 博久(久留米大学 医学部 病理学講座)
- 八橋 弘(独立行政法人国立病院機構 長崎医療センター 臨床研究センター)
- 加藤 淳二(札幌医科大学 医学部 内科学第四講座)
- 清家 正隆(大分大学 医学部 肝疾患相談センター)
- 今福 信一(福岡大学 医学部 皮膚科学教室)
- 長尾 由実子(久留米大学 医学部 消化器疾患情報講座)
- 川口 巧(久留米大学 医学部 消化器疾患情報講座)
- 井出 達也(久留米大学 医学部 内科学講座消化器内科部門)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
13,688,000円
研究者交替、所属機関変更
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研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の目的は、肝疾患特に肝硬変の進展抑制を視野に入れた多方面からの病態解析と治療介入による臨床効果の実証並びに抗ウイルス療法以外の新規治療法を確立することである。
研究方法
班研究は全体研究、班員、班友によるグループ共同研究そして個別研究に分類される。1.非代償性肝硬変に対する自己末梢血単核球細胞による肝再生療法及びHCVペプチドワクチンの臨床試験。2.久留米大学で独自に開発したBCAA・ミネラル含有食品の市販後全例調査及び二重盲検比較試験の実施。3.肝及び肝外合併症の実態調査と国民への啓発。4.非A非B型の肝癌の危険因子同定。5.自己免疫性肝炎・肝硬変の臨床病態の解析。
結果と考察
1.血管内皮前駆細胞による肝再生療法を5例で行い、肝予備能の改善を確認した。また血管内皮前駆細胞の新しい投与法を確立した。またC型肝炎ペプチドワクチンによる、肝発癌予防効果の可能性を確認できた。2. BCAA・ミネラル含有食品および電気刺激運動療法が、肝疾患の病態進展に関与するインスリン抵抗性を改善することを確認した。肝疾患患者におけるBCAA・ミネラル含有食品の市販後全例調査を実施し、非摂取群に対し摂取群での有効性と安全性を確認した。また、BCAA・ミネラル含有食品摂取後は、味覚感度並びに亜鉛値が有意に改善することを確認した。3.肝疾患患者1,336例に対しビブリオ・バルニフィカス感染症に関する認知度を調査した結果、認知度が低いことが判明した。そこで啓発目的で小冊子を作成した。今年度の再調査では認識度は52.2%に向上していた。4.肝炎・肝硬変の進行における肝内過剰鉄が慢性肝炎の炎症増悪と肝発癌を惹起した。九州地区の18施設における13年間の肝癌症例の解析を行った。HCV関連肝癌が68.1%、HBVが14.8%、非B非Cが15.6%、B+Cが1.4%を占めていた。この期間、HCV肝癌の占める割合は有意に減少し、非B非C肝癌は有意に増加していた。5.自己免疫性肝炎例において、肝細胞癌を3.2%に、他臓器癌を症例の7.0%に認めた。肥満マウスの脾臓摘出によるインスリン抵抗性惹起と肝の脂肪化を確認した。某地域における、全C型肝炎患者の予後・最終転帰を検討し、60歳未満でインターフェロンによる治療介入を行えば、C型肝炎患者の生命予後は一般住民と差がなくなることを確認した。
結論
肝炎、肝硬変に対する抗ウイルス剤以外の治療法の確立は病態進展阻止、肝発癌予防、QOLの改善、医療経済の面からも重要と考えられる。
公開日・更新日
公開日
2011-06-06
更新日
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