インターフェロンの抗肝線維化分子機構の解明とその応用

文献情報

文献番号
200933016A
報告書区分
総括
研究課題名
インターフェロンの抗肝線維化分子機構の解明とその応用
課題番号
H20-肝炎・一般-003
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
河田 則文(大阪市立大学 大学院医学研究科 肝胆膵病態内科学)
研究分担者(所属機関)
  • 池田 一雄(名古屋市立大学 大学院医学研究科 機能解剖学)
  • 小川 智弘(大阪市立大学 大学院医学研究科 肝胆膵病態内科学)
  • 田守 昭博(大阪市立大学 大学院医学研究科 肝胆膵病態内科学)
  • 榎本 大(大阪市立大学 大学院医学研究科 肝胆膵病態内科学)
  • 鈴木 知比古(東レ株式会社 医薬研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
13,455,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本邦には約350万人のウイルス性肝炎感染者がおり、大きな厚生労働問題となっている。ウイルス性肝炎の治療法は進歩し、C型肝炎では治療を受けた約半数の患者でウイルス排除可能である。しかし、治療導入できない高齢者への対応など問題もある。従って、ウイルス排除治療以外に線維化を遅延させうる治療法の開発が望まれる。インターフェロン(interferon, IFN)は抗ウイルス作用以外に抗肝線維化効果を持つことが知られているため、その薬理作用の詳細な解析により新しい抗肝線維化剤が見出される可能性がある。
研究方法
本研究では星細胞(HSC)/筋線維芽細胞(hMFB)のmicroRNA発現に及ぼすIFNの効果を検討する。既に星細胞(HSC)活性化とともに変動するmicroRNAを同定した。それらを強制発現させて、HSC/hMFBの増殖、コラーゲンやサイトカイン産生に及ぼす影響を検討する。最終的に経口可能でIFNの副作用を軽減させ得る新しい治療法の開発へと繋ぐ。一方、C型肝炎では肝線維化進行群(stage3-4)はHCVの遺伝子型に関わらずIFN治療によるウイルス駆除率が不良であるが、ウイルス側因子のみでは説明できない。そこで宿主側因子を明らかにする目的で、肝組織中におけるmicroRNA発現の相違を、線維化軽度群(stage1-2)と網羅的に比較検討する。
結果と考察
Total RNAを用いて238個のmicroRNAを検出できるarrayにより、マウス星細胞の活性化とともに発現変動するmicroRNAを網羅的解析した。星細胞活性化と伴に上昇する8microRNAと、低下する9microRNAを同定した。発現低下したmicroRNAを強制発現する系を作製しhMFBに感染させてmicroRNA依存性に発現変動する蛋白を解析した結果、Annexin Vなど33個の蛋白質を同定した。また、IFNに応答して変動するmiR-29bを同定し、I型コラーゲン発現発現に対してSp-1を介して作用することを見出した。また、IFNで誘導されるmiR-195にはHSC/hMFBの増殖抑制効果がCyclin Eを介して調整する作用があることを見出した。
 一方、Genotype 1bのC型慢性肝炎20例の治療前の肝生検組織からmicroRNAの発現を網羅的に解析した。線維化軽度群(stage 1-2)と肝線維化進行群(stage 3-4)の間で比較検討を行った結果、数個のmicroRNAについて有意な差が認められている。
結論
HSC/hMFBの機能調節にmicroRNA発現とそれに影響を及ぼすIFNの効果が確認された。

公開日・更新日

公開日
2011-06-06
更新日
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