文献情報
文献番号
200933014A
報告書区分
総括
研究課題名
肝癌早期発見を目的とした分子マーカーおよび画像診断システムの開発
課題番号
H20-肝炎・一般-001
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
有井 滋樹(国立大学法人 東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
- 松井 修(金沢大学大学院医学系研究科循環医科学専攻血管病態制御学講座経血管診療学)
- 佐田 通夫(久留米大学医学部 内科学講座消化器内科部門)
- 青柳 豊(新潟大学教育研究院医歯学系(医学部第三内科))
- 田中 博(大学院生命情報科学教育部 教育部長、情報医科学センター センター長、大学院疾患生命科学研究部(システム情報生物学) 、難治疾患研究所(生命情報学))
- 森安 史典(東京医科大学消化器内科(内科学第4講座))
- 川崎 誠治(順天堂大学医学部肝胆膵外科)
- 角谷 眞澄(信州大学画像医学講座)
- 泉 並木(武蔵野赤十字病院消化器科)
- 高山 忠利(日本大学医学部消化器外科)
- 國土 典宏(東京大学医学部附属病院 肝胆膵外科)
- 稲澤 譲治(東京医科歯科大学難治疾患研究所 ゲノム応用医学研究部門 分子細胞遺伝)
- 山本 雅一(東京女子医科大学 消化器外科)
- 飯島 尋子(兵庫医科大学 超音波センター、内科 肝胆膵科)
- 佐賀 恒夫(放射線医学総合研究所・分子イメージング研究センター・分子病態イメージング研究グループ)
- 坂元 亨宇(慶応義塾大学医学部 病理学)
- 井本 逸勢(東京医科歯科大学難治疾患研究所 ゲノム応用医学研究部門 分子細胞遺伝)
- 田中 真二(国立大学法人 東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
85,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
分子マーカーと画像診断的手法により臨床に有用な肝癌早期発見システムを構築することを主たる目的とする。
研究方法
1.分子マーカーによる早期発見システムの開発
(1)血清マーカーについて:既存の腫瘍マーカーに加え、最近注目されている分子についてその意義を解析する。
(2)組織的マーカーの探索:早期肝癌や悪性度の判定に有用な分子マーカーを同定する。
2.早期画像診断システムの開発
(1)新規MRI造影剤EOB、造影超音波(ソナゾイド)拡散協調MRIを中心にして異型結節と早期肝癌との鑑別、乏血性肝癌の診断を確立する。主に小型結節の生検所見と上記画像所見の解析によって行う。
(2)分化度、悪性度の判定 上記画像所見と主に切除標本の解析によって行う。
3.網羅的遺伝子解析による肝癌発生予知、早期再発予知診断の開発:切除標本のDNAマイクロアレイによる網羅的解析を行い、上記診断に有用な遺伝子群を明らかにする。
(1)血清マーカーについて:既存の腫瘍マーカーに加え、最近注目されている分子についてその意義を解析する。
(2)組織的マーカーの探索:早期肝癌や悪性度の判定に有用な分子マーカーを同定する。
2.早期画像診断システムの開発
(1)新規MRI造影剤EOB、造影超音波(ソナゾイド)拡散協調MRIを中心にして異型結節と早期肝癌との鑑別、乏血性肝癌の診断を確立する。主に小型結節の生検所見と上記画像所見の解析によって行う。
(2)分化度、悪性度の判定 上記画像所見と主に切除標本の解析によって行う。
3.網羅的遺伝子解析による肝癌発生予知、早期再発予知診断の開発:切除標本のDNAマイクロアレイによる網羅的解析を行い、上記診断に有用な遺伝子群を明らかにする。
結果と考察
予定症例を上回る約600例が登録された。
1.分子マーカーによる早期発見システムの開発
(1)文献的に選択された候補血清マーカーはすべてマーカーとしての有用性は認められなかった。最近開発されたAFP高感度L3分画と既存の血清マーカーによる治療効果判定、早期再発予知について解析中である。最終的結論は登録症例の最終予後調査(今年11月)にて行う。
(2)組織的分子マーカー:トランスポーターのⅠ種であるOATP8が早期肝癌の組織学的分子マーカーの可能性が示された。CK19が悪性度を示す分子マーカーである可能性が示された。
2.早期画像診断システムの開発
EOB-MRI, 造影超音波が微小結節の検出に有効であり、これらの組み合わせにより早期診断、非乏血性結節の質的診断、分化度・悪性度判定の可能性が示された。今後、診断アルゴリズムの構築に進む。
3.東京医科歯科大学の切除標本の癌部、非癌部より各々6-7遺伝子を抽出し、それらの組み合わせによる早期再発予測を行ったところ、臨床因子、病理因子による早期再発予測より良好な感度、特異度を得た。とくに非癌部による再発予測がもっとも良好な結果であった。このことは発生予側にも繋がる可能性を示す知見である。今後、この知見のvalidationを本班にて得られた多数の症例を用いて行う予定である。
1.分子マーカーによる早期発見システムの開発
(1)文献的に選択された候補血清マーカーはすべてマーカーとしての有用性は認められなかった。最近開発されたAFP高感度L3分画と既存の血清マーカーによる治療効果判定、早期再発予知について解析中である。最終的結論は登録症例の最終予後調査(今年11月)にて行う。
(2)組織的分子マーカー:トランスポーターのⅠ種であるOATP8が早期肝癌の組織学的分子マーカーの可能性が示された。CK19が悪性度を示す分子マーカーである可能性が示された。
2.早期画像診断システムの開発
EOB-MRI, 造影超音波が微小結節の検出に有効であり、これらの組み合わせにより早期診断、非乏血性結節の質的診断、分化度・悪性度判定の可能性が示された。今後、診断アルゴリズムの構築に進む。
3.東京医科歯科大学の切除標本の癌部、非癌部より各々6-7遺伝子を抽出し、それらの組み合わせによる早期再発予測を行ったところ、臨床因子、病理因子による早期再発予測より良好な感度、特異度を得た。とくに非癌部による再発予測がもっとも良好な結果であった。このことは発生予側にも繋がる可能性を示す知見である。今後、この知見のvalidationを本班にて得られた多数の症例を用いて行う予定である。
結論
予定を超える症例が登録された。早期診断、分化度・悪性度診断、早期再発予測診断、発生診断の新たな可能性が示された。
公開日・更新日
公開日
2011-06-02
更新日
-