痙攣性発声障害の疾患レジストリを活用した診療ガイドライン作成研究

文献情報

文献番号
202310017A
報告書区分
総括
研究課題名
痙攣性発声障害の疾患レジストリを活用した診療ガイドライン作成研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
22FC1003
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
讃岐 徹治(公立大学法人名古屋市立大学 大学院医学研究科 耳鼻咽喉・頭頸部外科)
研究分担者(所属機関)
  • 兵頭 政光(高知大学 教育研究部医療学系臨床医学部門)
  • 大森 孝一(京都大学 大学院医学研究科 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学)
  • 香取 幸夫(東北大学 大学院医学系研究科 耳鼻咽喉・頭頸部外科学分野)
  • 折舘 伸彦(横浜市立大学 大学院医学研究科 耳鼻咽喉科・頭頸部外科)
  • 原 浩貴(川崎医科大学 耳鼻咽喉・頭頸部外科学)
  • 楯谷 一郎(藤田医科大学 医学研究科 耳鼻咽喉科・頭頸部外科)
  • 二藤 隆春(国立国際医療センター病院 耳鼻咽喉科)
  • 上野 悟(国立保健医療科学院 保健医療情報政策研究センター)
  • 柳田 早織(北海道医療大学 リハビリテーション科学部)
  • 橋本 大哉(名古屋医療センター 生物統計研究室)
  • 中川 聡史(公益財団法人神戸医療産業都市推進機構 医療イノベーション推進センター)
  • 兒玉 成博(川崎医療福祉大学 リハビリテーション学部 言語聴覚療法学科)
  • 衣本 蕗恵(大森 蕗恵)(杏林大学 保健学部 リハビリテーション学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
2,680,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
痙攣性発声障害は,声を出すために重要な内喉頭筋(声帯の筋肉)が不随意収縮により発話中に音声の異常をきたす原因不明で根本治療のない稀少難治性疾患である.内転型,外転型および混合型に分類され,内転型が多数を占める.いずれの型においても仕事や日常生活において会話が円滑に行えず,社会生活で大きな支障をきたす(Ludlow CL, et al. Otolaryngol Head Neck Surg 2008; 139:495-505).
希少難治性疾患である痙攣性発声障害は,いまだ指定難病の指定に至っておらず患者は医療費や生活に多くの負担を強いられている(http://sdcp.bumi2.com/).指定難病に至っていない要因の一つに診断基準の客観性に欠けていること,および長期療養が必要であることを示すエビデンスが欠けていることが挙げられており,早急にこれらの問題の解決が必要である.
研究班では平成25年度「痙攣性発声障害の全国疫学調査」(難治性疾患政策研究事業)を実施し,調査2年間に887例の新規患者が存在し,罹病期間は平均3年であったが,診断までに10年以上の例も約20%存在したことから,診断の難しさと認識が乏しいことが確認された.そこで平成27-28年度「痙攣性発声障害の診断基準および重症度分類の策定に関する研究」(難治性疾患政策研究事業)に取り組み,世界に先駆けて診断基準および重症度分類を策定し,平成29年度音声言語医学会の承認を得た(http://www.jslp.org/pdf/SD_20180105.pdf).
難病克服のため患者数,患者分布の把握,その他疾患に関するデータ収集が可能な疾患レジストリの構築を目的とし平成30-令和元年度「痙攣性発声障害疾患レジストリ開発と運用に関する研究」(難治性疾患政策研究事業)に取り組み,令和元年9月にレジストリを稼動させた.
さらに令和2―3度「痙攣性発声障害疾患レジストリを利用した診断基準及び重症度分類の妥当性評価と改訂に関する研究」(難治性疾患政策研究事業)によって,痙攣性発声障害診断に客観的な評価項目としてGRBAS尺度やモーラ法を用いた方法を候補として見出した.
そこで本研究では痙攣性発声障害疾患レジストリを活用して,痙攣性発声障害の客観的な診断評価項目の検証と全国医療機関への長期療養状況の調査を行い,診療ガイドライン(診療手引き)の作成を目的とする.
研究方法
1)客観的診断評価項目の開発
疾患レジストリで収集しているGRBAS尺度(聴覚心理的評価)とモーラ法が診断基準に活用出来る可能性が見いだされ,各評価項目を専門家により再評価を行い,基準値設定を行う.

2)疾患レジストリを用いた客観的診断項目の有効性検証
客観的診断評価項目としたGRBAS尺度およびモーラ法の有用性検証を目的として,疾患レジストリに登録されたデータを用い登録項目ごとの感度と特異度を導き出し,診断基準改定を行う.

3)長期療状況の全国調査
疾患レジストリに登録された患者の病歴および治療状況ならびにレジストリ研究へ協力を得ている医療機関に対する長期療状況の全国調査を行い,指定難病指定を目指す.

4)痙攣性発声障害の診断基準および重症度分類を用いた診療ガイドライン作成
開発項目1),2)から客観診断基準を開発し,診断基準及び重症度分類を改定とともに3)の調査結果を踏まえ,学会公認の診療ガイドライン作成を目指す.
結果と考察
痙攣性発声障害の客観的診断評価項目の開発を目的として臨床試験した.客観的診断評価項目としたGRBAS尺度およびモーラ法の有用性検証を目的として,疾患レジストリに登録されたデータを用い登録項目ごとの感度と特異度を導き出した.
また痙攣性発声障害の治療状況を調査するため,レジストリ研究へ協力を得ている医療機関に調査依頼し結果集計を実施した.令和4年度作成した痙攣性発声障害 診断基準および重症度分類改訂版を基に診療の手引きを作成した.今後日本音声言語医学会と日本喉頭科学会が共同して音声障害診療ガイドライン作成の痙攣性発声障害項に掲載する予定である.
結論
痙攣性発声障害の診断基準と重症度分類の評価結果から客観的診断評価項目の決定を行い,レジストリを用いて検討を行った.データ数が少なくさらなる評価が必要となった.またこれまでの研究から研究班で痙攣性発声障害診療手引きを作成した.また痙攣性発声障害の診断基準と重症度分類は治療法選択に重症度分類が反映されていないことが明らかとなった.継続的な調査研究が必要であり研究費申請を行った.

公開日・更新日

公開日
2025-05-30
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2025-05-30
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202310017B
報告書区分
総合
研究課題名
痙攣性発声障害の疾患レジストリを活用した診療ガイドライン作成研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
22FC1003
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
讃岐 徹治(公立大学法人名古屋市立大学 大学院医学研究科 耳鼻咽喉・頭頸部外科)
研究分担者(所属機関)
  • 兵頭 政光(高知大学 教育研究部医療学系臨床医学部門)
  • 大森 孝一(京都大学 大学院医学研究科 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学)
  • 香取 幸夫(東北大学 大学院医学系研究科 耳鼻咽喉・頭頸部外科学分野)
  • 本間 明宏(北海道大学 大学院医学研究院 )
  • 折舘 伸彦(横浜市立大学 大学院医学研究科 耳鼻咽喉科・頭頸部外科)
  • 城本 修(県立広島大学 保健福祉学部 コミュニケーション障害学科)
  • 原 浩貴(川崎医科大学 耳鼻咽喉・頭頸部外科学)
  • 楯谷 一郎(藤田医科大 医学研究科 耳鼻咽喉科・頭頸部外科)
  • 二藤 隆春(国立国際医療研究センター病院 耳鼻咽喉科 頭頸部外科)
  • 上野 悟(国立保健医療科学院 保健医療情報政策研究センター)
  • 柳田 早織(北海道医療大学 リハビリテーション科学部)
  • 橋本 大哉(国立病院機構名古屋医療センター 生物統計研究室)
  • 中川 聡史(公益財団法人神戸医療産業都市推進機構 医療イノベーション推進センター)
  • 兒玉 成博(川崎医療福祉大学 リハビリテーション学部 言語聴覚療法学科)
  • 衣本 蕗恵(大森 蕗恵)(杏林大学 保健学部 リハビリテーション学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
痙攣性発声障害は,声を出すために重要な内喉頭筋(声帯の筋肉)が不随意収縮により発話中に音声の異常をきたす原因不明で根本治療のない稀少難治性疾患である.内転型,外転型および混合型に分類され,内転型が多数を占める.いずれの型においても仕事や日常生活において会話が円滑に行えず,社会生活で大きな支障をきたす(Ludlow CL, et al. Otolaryngol Head Neck Surg 2008; 139:495-505).
希少難治性疾患である痙攣性発声障害は,いまだ指定難病の指定に至っておらず患者は医療費や生活に多くの負担を強いられている(http://sdcp.bumi2.com/).指定難病に至っていない要因の一つに診断基準の客観性に欠けていること,および長期療養が必要であることを示すエビデンスが欠けていることが挙げられており,早急にこれらの問題の解決が必要である.
研究班では平成25年度「痙攣性発声障害の全国疫学調査」(難治性疾患政策研究事業)を実施し,調査2年間に887例の新規患者が存在し,罹病期間は平均3年であったが,診断までに10年以上の例も約20%存在したことから,診断の難しさと認識が乏しいことが確認された.そこで平成27-28年度「痙攣性発声障害の診断基準および重症度分類の策定に関する研究」(難治性疾患政策研究事業)に取り組み,世界に先駆けて診断基準および重症度分類を策定し,平成29年度音声言語医学会の承認を得た(http://www.jslp.org/pdf/SD_20180105.pdf).
難病克服のため患者数,患者分布の把握,その他疾患に関するデータ収集が可能な疾患レジストリの構築を目的とし平成30-令和元年度「痙攣性発声障害疾患レジストリ開発と運用に関する研究」(難治性疾患政策研究事業)に取り組み,令和元年9月にレジストリを稼動させた.
さらに令和2―3度「痙攣性発声障害疾患レジストリを利用した診断基準及び重症度分類の妥当性評価と改訂に関する研究」(難治性疾患政策研究事業)によって,痙攣性発声障害診断に客観的な評価項目としてGRBAS尺度やモーラ法を用いた方法を候補として見出した.
そこで本研究では痙攣性発声障害疾患レジストリを活用して,痙攣性発声障害の客観的な診断評価項目の検証と全国医療機関への長期療養状況の調査を行い,診療ガイドライン(診療手引き)の作成を目的とする.
研究方法
1)客観的診断評価項目の開発
疾患レジストリで収集しているGRBAS尺度(聴覚心理的評価)とモーラ法が診断基準に活用出来る可能性が見いだされ,各評価項目を専門家により再評価を行い,基準値設定を行う.

2)疾患レジストリを用いた客観的診断項目の有効性検証
客観的診断評価項目としたGRBAS尺度およびモーラ法の有用性検証を目的として,疾患レジストリに登録されたデータを用い登録項目ごとの感度と特異度を導き出し,診断基準改定を行う.

3)長期療状況の全国調査
疾患レジストリに登録された患者の病歴および治療状況ならびにレジストリ研究へ協力を得ている医療機関に対する長期療状況の全国調査を行い、指定難病指定を目指す。疾患レジストリに登録された患者の病歴および治療状況ならびにレジストリ研究へ協力を得ている医療機関に対する長期療状況の全国調査を行い,指定難病指定を目指す.

4)痙攣性発声障害の診断基準および重症度分類を用いた診療ガイドライン作成
開発項目1),2)から客観診断基準を開発し,診断基準及び重症度分類を改定とともに3)の調査結果を踏まえ,学会公認の診療ガイドライン作成を目指す.
結果と考察
痙攣性発声障害の客観的診断評価項目の開発を目的倒して臨床試験計画を作成し、中央倫理審査が終了した。痙攣性発声障害の客観的診断評価項目の開発を目的として臨床試験した.客観的診断評価項目としたGRBAS尺度およびモーラ法の有用性検証を目的として,疾患レジストリに登録されたデータを用い登録項目ごとの感度と特異度を導き出した.
また痙攣性発声障害の長期療養のニーズを調査するためWEB形式のアンケートを作成し、レジストリ研究へ協力を得ている医療機関と患者会に調査依頼し結果集計を実施した。
また痙攣性発声障害の治療状況を調査するため,レジストリ研究へ協力を得ている医療機関に調査依頼し結果集計を実施した.令和4年度作成した痙攣性発声障害 診断基準および重症度分類改訂版を基に診療の手引を作成した.今後日本音声言語医学会と日本喉頭科学会が共同して音声障害診療ガイドライン作成(研究分担者の原 浩貴が作成委員長)の痙攣性発声障害項に掲載する予定である.
結論
痙攣性発声障害診療手引きの作成により,全国に良質かつ適切な医療の確保を目指した診療提供体制の構築に寄与することが見込まれる.

公開日・更新日

公開日
2025-05-30
更新日
-

研究報告書(PDF)

総合研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2025-05-30
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202310017C

成果

専門的・学術的観点からの成果
痙攣性発声障害診療手引きの作成により,全国に良質かつ適切な医療の確保を目指した診療提供体制の構築に寄与することが見込まれる.
臨床的観点からの成果
痙攣性発声障害の診断基準と重症度分類の評価結果から客観的診断評価項目の決定を行い,レジストリを用いて検討を行った.データ数が少なくさらなる評価が必要となった.またこれまでの研究から研究班で痙攣性発声障害診療手引きを作成した.また痙攣性発声障害の診断基準と重症度分類は治療法選択に重症度分類が反映されていないことが明らかとなった.
ガイドライン等の開発
痙攣性発声障害 診断基準および重症度分類改訂案(2023.4)
痙攣性発声障害の診療手引き(2024.4)
その他行政的観点からの成果
痙攣性発声障害疾患レジストリを運営管理
その他のインパクト
AMED難治性疾患実用化研究事業「チタンブリッジ手術を用いた痙攣性発声障害に対する国際的新規治療戦略の開発」と合同で第68回日本音声言語医学会総会・学術講演会でシンポジウム「痙攣性発声障害 今後の展開!」を企画し研究成果の一部を報告した.

発表件数

原著論文(和文)
5件
原著論文(英文等)
11件
その他論文(和文)
6件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
7件
学会発表(国際学会等)
9件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
痙攣性発声障害診療の手引き
その他成果(普及・啓発活動)
1件
第68回日本音声言語医学会総会・学術講演会でシンポジウム「痙攣性発声障害 今後の展開!」

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2025-05-23
更新日
2026-05-26

収支報告書

文献番号
202310017Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
3,478,000円
(2)補助金確定額
3,478,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,459,634円
人件費・謝金 0円
旅費 42,340円
その他 1,205,850円
間接経費 798,000円
合計 3,505,824円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2024-09-11
更新日
-