文献情報
文献番号
202310014A
報告書区分
総括
研究課題名
小児慢性特定疾病児童等および指定難病患者データベースと疾病データベースとの連携による利活用推進研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
21FC1018
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
坂手 龍一(国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 難病・免疫ゲノム研究センター)
研究分担者(所属機関)
- 山﨑 千里(長谷川 千里)(国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 難病・免疫ゲノム研究センター)
- 盛一 享徳(国立成育医療研究センター 研究所 小児慢性特定疾病情報室)
- 松田 文彦(京都大学 大学院医学研究科附属ゲノム医学センター)
- 泉 和生(国際協力医学研究振興財団 糖尿病予防のための戦略研究プロジェクト推進部)
- 北川 明(国立国際医療研究センター 臨床研究センター)
- 山野 嘉久(聖マリアンナ医科大学 医学部)
- 八木下 尚子(聖マリアンナ医科大学 難病治療研究センター 病因・病態解析部門)
- 村山 圭(順天堂大学 難治性疾患診断・治療学)
- 大竹 明(埼玉医科大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
9,100,000円
研究者交替、所属機関変更
所属機関異動
研究分担者:村山 圭
所属機関名:千葉県こども病院(令和3年4月1日~令和5年6月30日)
→所属機関名:順天堂大学(令和5年7月1日以降)
研究報告書(概要版)
研究目的
我が国の代表的な難病関連データベース(Database, DB)である、小児慢性特定疾病医療意見書由来のデータベース(小慢DB)と臨床調査個人票由来のデータベース(難病DB)のデータ登録は、平成29年度より開始され、令和2年後期にデータ提供がスタートした。小慢、難病DBにはそれぞれ788、338疾患の患者情報が登録されている(令和5年度)。
公的な難病関連DBは、別のDBと連携し、それぞれのDBの特性を合わせた解析をすることで疾病研究や政策立案が期待されている。小慢DBと難病DB、それぞれの運営機関である成育医療研究センターと医薬基盤・健康・栄養研究所はデータの階層性構造等に知悉しているが、これらの疾患が他のDBとどのように対応しているか調査することで、DB間の連携、ひいてはデータ利活用が促進される。
公的な難病関連DBは、別のDBと連携し、それぞれのDBの特性を合わせた解析をすることで疾病研究や政策立案が期待されている。小慢DBと難病DB、それぞれの運営機関である成育医療研究センターと医薬基盤・健康・栄養研究所はデータの階層性構造等に知悉しているが、これらの疾患が他のDBとどのように対応しているか調査することで、DB間の連携、ひいてはデータ利活用が促進される。
研究方法
令和5年度の難病法及び児童福祉法改正法の改正において、難病DBと小慢DBでは患者ごとのデータを連結することが方針として決まり、一歩進んだ解析が期待される。また、国内には様々な疾患患者を集めたコホート(レジストリ)が存在するが、公的DBとの連携を通じて、どのような解析上の利点があるか、実例をもとに検討する必要もある。さらに、諸外国の公的なDBの実態や活用動向を調査し、難病DB・小慢DBのさらなる活用方法の改善に資する研究が求められている。これらの検討により連携、連結効果が示されると、難病関連DBの利活用が進み、難治性疾患政策立案に必要な情報が整理される。
結果と考察
以下の2課題について、厚生労働省難病対策課と密接な連携をしながら、課題を検討した。
1.小慢/難病DBの連結効果の評価
○ 小慢DBと難病DBの連携疾病(連結効果検証対象)及びデータ項目対比リスト抽出
小慢DBと難病DBについて、疾患(群)の組み合わせを選択し、データ提供を受けて重点的に連結効果検証対象とすることに決定した。それぞれの疾患(群)の組み合わせにおける、臨床調査個人票と医療意見書のデータ項目の対比リストについても確定した。
○ 小慢・難病DBの連携効果検証・解析計画の策定
・小慢DBと難病DBについて、疾患及び項目を連結して解析する際の検証・解析計画を策定した。小慢→難病の移行に関する連携効果の検証・調査のため、年齢分布や性別、主要症状、主要検査値、QOLに関する項目等を統計解析する内容とした。
・両DBのデータ提供申請を令和5年2月の厚労省ワーキンググループへ行い承諾を受けた。データ提供がありしだい解析を可能とするためのIT業務支援体制の準備を行った。また、難病DBの臨床調査個人票のデータ構成やデータ型の調査を行い、統計値等の解析準備を行なった。またダミーデータを作成し、統計解析イメージを作成した。しかし、データ提供が研究期間内に行われなかった(令和6年3月時点)。
2.難病関連DBの連携効果の検証及び課題の整理
○ 世界の難病・希少疾病の患者データの利活用に関する動向調査
国内外の難病関連レジストリ等、患者データ利活用や連携状況についての調査を実施した。具体的には日米欧アジアでの難病・希少疾病に関する情報源や、患者レジストリ、公的・民間の支援策、診断法・治療法開発について、概要を日本語および英語で整理した。
○ 患者データベース連携と利活用促進に関するヒアリング調査
小慢・難病等のDB連携によるデータベース連携と利活用促進に関する有識者(分担研究者)へのヒアリングシートを作成し、ヒアリング調査を実施し分析結果を考察した。
○ 利活用促進のための情報発信
情報発信等に関する厚労省の議論*へ参加し利活用推進のための情報発信の提案を行った。また、小慢DBと難病DBの連携疾病を参考にした情報について、研究代表者らが開発しているデータベース(DDrare)から公開している。
1.小慢/難病DBの連結効果の評価
○ 小慢DBと難病DBの連携疾病(連結効果検証対象)及びデータ項目対比リスト抽出
小慢DBと難病DBについて、疾患(群)の組み合わせを選択し、データ提供を受けて重点的に連結効果検証対象とすることに決定した。それぞれの疾患(群)の組み合わせにおける、臨床調査個人票と医療意見書のデータ項目の対比リストについても確定した。
○ 小慢・難病DBの連携効果検証・解析計画の策定
・小慢DBと難病DBについて、疾患及び項目を連結して解析する際の検証・解析計画を策定した。小慢→難病の移行に関する連携効果の検証・調査のため、年齢分布や性別、主要症状、主要検査値、QOLに関する項目等を統計解析する内容とした。
・両DBのデータ提供申請を令和5年2月の厚労省ワーキンググループへ行い承諾を受けた。データ提供がありしだい解析を可能とするためのIT業務支援体制の準備を行った。また、難病DBの臨床調査個人票のデータ構成やデータ型の調査を行い、統計値等の解析準備を行なった。またダミーデータを作成し、統計解析イメージを作成した。しかし、データ提供が研究期間内に行われなかった(令和6年3月時点)。
2.難病関連DBの連携効果の検証及び課題の整理
○ 世界の難病・希少疾病の患者データの利活用に関する動向調査
国内外の難病関連レジストリ等、患者データ利活用や連携状況についての調査を実施した。具体的には日米欧アジアでの難病・希少疾病に関する情報源や、患者レジストリ、公的・民間の支援策、診断法・治療法開発について、概要を日本語および英語で整理した。
○ 患者データベース連携と利活用促進に関するヒアリング調査
小慢・難病等のDB連携によるデータベース連携と利活用促進に関する有識者(分担研究者)へのヒアリングシートを作成し、ヒアリング調査を実施し分析結果を考察した。
○ 利活用促進のための情報発信
情報発信等に関する厚労省の議論*へ参加し利活用推進のための情報発信の提案を行った。また、小慢DBと難病DBの連携疾病を参考にした情報について、研究代表者らが開発しているデータベース(DDrare)から公開している。
結論
本研究の成果は、難病DBと公的DB/疾患レジストリの連携を行う研究者に対して、連携可能な疾病のみならず、共通のデータ項目及び固有のデータ項目・選択肢を事前に確認できる基礎資料として連携推進を支援するものとして活用され得る。また、難病DBと小慢DBの連携効果や課題の提案資料は、難病対策課が推進している両DBの連携検討のための疾病対策部会難病検討委員会での検討資料として活用され得る。
公開日・更新日
公開日
2025-05-23
更新日
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