ホルモン受容機構異常に関する調査研究

文献情報

文献番号
202310006A
報告書区分
総括
研究課題名
ホルモン受容機構異常に関する調査研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
21FC1010
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
大薗 惠一(医誠会国際総合病院)
研究分担者(所属機関)
  • 石井 角保(新潟県立看護大学 看護学部)
  • 井上 大輔(帝京大学ちば総合医療センター第三内科)
  • 小川 渉(神戸大学大学院医学研究科 )
  • 田部 勝也(山口大学 医学部附属病院)
  • 海老原 健(京都大学 医学部附属病院 臨床研究総合センター)
  • 三宅 吉博(愛媛大学 大学院医学系研究科 疫学・予防医学)
  • 古川 安志(和歌山県立医科大学 内科学第一講座)
  • 難波 範行(鳥取大学 医学部)
  • 窪田 拓生(国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
8,514,000円
研究者交替、所属機関変更
研究代表者:大薗恵一 旧)医誠会病院 小児難病センター センター長 新)医誠会国際総合病院 難病医療推進センター センター長

研究報告書(概要版)

研究目的
内分泌代謝領域の甲状腺、副甲状腺・ビタミンD、インスリンの3領域に関してホルモン受容機構異常症の研究を行う
具体的には、診断基準の整備、疾患レジストリの構築、診断の対象の遺伝子拡大などを行い、診療の質の向上のため、より良い診療ガイドラインの策定を目指す。
研究方法
PTH不足性副甲状腺機能低下症(IHP)・偽性副甲状腺機能低下症(PHP)、低Ca血症性疾患の文献的考察を行い、施行済みのIHP/PHPの疫学調査結果及び、疾患レジストリデータを解析する。PHPの関連遺伝子の検討可能状況の調査を行う。ビタミンD抵抗性くる病/骨軟化症(VDRR)のアンケート調査結果、疾患レジストリデータを解析する。
日本内分泌学会・日本甲状腺学会の会員から甲状腺ホルモン不応症(THR)診療指針作成委員会を作り、Mindsに基づいて診療ガイドラインの作成を行う。REDCapを利用し、主に内分泌学会認定専門医施設を対象に登録した甲状腺クリーゼ症例を解析する。
インスリン抵抗症(IR)の診療実態調査、患者の病態・遺伝子解析、既報の疾患情報の収集を行い、日本糖尿病学会内に設置された「インスリン抵抗症の疾患分類と診断基準策定のためのWG」と連携して、IRの新たな疾患分類・診断基準を作成する。ウォルフラム症候群(WS)の疫学調査結果の再分析、症例のフォローアップ、新規症例解析を行う。部分性脂肪萎縮症(PLD)の遺伝学的解析、全国実態調査、レジストリ構築を行う。
結果と考察
甲状腺ホルモン不応症(RTH)は疾患の概要、診断の指針、治療の手引きについて解説を行い、パブリックコメントや学会承認を得て、書籍「甲状腺ホルモン不応症診療の手引き」として刊行。刊行後も社会還元のため非医療者向けの解説を行った。鑑別診断として重要である、RTHとTSH産生下垂体腺腫との鑑別診断ガイドライン作成のため、診断のアルゴリズムを検討。甲状腺系におけるホルモンの作用不全を呈する甲状腺刺激ホルモン受容体異常症、MCT8異常症との臨床像の比較検討を開始。甲状腺クリーゼは新規登録が完了、データ精査を実施。統計学的解析を実施、甲状腺クリーゼ診療ガイドラインの普及と予後の改善が推察された。第66回日本甲状腺学会学術集会にて発表、英文誌へ投稿予定。現行の診療ガイドラインの普及と有効性が確認され、診療ガイドラインの改訂は不要となった
副甲状腺機能低下症、偽性副甲状腺機能低下症は、日本内分泌学会の臨床重要課題および日本骨代謝学会の臨床プログラムの認定を受け、学会連携のもと検討が進められた。低Ca血症鑑別診断チャートおよび偽性副甲状腺機能低下症病型分類・診断基準について学会シンポジウムで原案を発表、feedbackを受けた。班内での最終調整、パブリックコメントを経て公表予定。日本内分泌学会と日本小児内分泌学会に協力を依頼し、レジストリへの登録は298名となった。ビタミンD抵抗性くる病・骨軟化症では診療ガイドライン作成委員、CQを決定。文献検索を完了。診療ガイドラインの作成を進める。また、関連学会の支持を得た。新たに発見されたビタミンD依存性くる病・骨軟化症3型の診断基準を追加(指定難病)。
インスリン抵抗症では電子レジストリ作成が完了、運用を開始。症例の基本情報と6か月ごとの臨床データを蓄積しており、23年11月段階で3施設、5症例を登録。レジストリ全体では研究参加施設は16まで増加。レジストリデータに基づいて、診療に関する提言を第67回日本糖尿病学会年次学術集会で発表予定。
ウォルフラム症候群では、8家系9症例に対して遺伝子解析を行い診療への支援を行なった。糖尿病学会との連携による「レジストリ作成を通じた糖尿病をきたす希少疾患の治療標準化」に参加、電子レジストリの作成と登録を開始。糖尿病学会単一遺伝子異常による糖尿病の成因、診断、治療に関する調査研究に参画し、その一病型としてウォルフラム症候群疑い例に対する遺伝子診断の体制も構築。脂肪萎縮症はレジストリ登録を開始。日本内分泌学会の臨床重要課題「部分性脂肪萎縮症候群の全国実態調査」の一環として造血幹細胞移植関連部分性脂肪萎縮症の全国実態調査が小児内分泌学会を中心に実施され、現在集計中。
結論
甲状腺ホルモン不応症の治療指針を策定。甲状腺クリーゼ診療ガイドライン2017の有用性を示した。低カルシウム血症鑑別診断の手引きおよび(偽性)副甲状腺機能低下症の診断基準の改訂及びを策定中。ビタミンD抵抗性くる病/骨軟化症レジストリ構築を行った。「インスリン抵抗症」、「脂肪萎縮症候群」および「ウォルフラム症候群」電子疾患レジストリを構築。

公開日・更新日

公開日
2026-01-05
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2026-01-05
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202310006B
報告書区分
総合
研究課題名
ホルモン受容機構異常に関する調査研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
21FC1010
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
大薗 惠一(医誠会国際総合病院)
研究分担者(所属機関)
  • 山田 正信(群馬大学医学部附属病院)
  • 井上 大輔(帝京大学ちば総合医療センター第三内科)
  • 福本 誠二(徳島大学)
  • 小川 渉(神戸大学大学院医学研究科 )
  • 谷澤 幸生(山口大学 大学院医学系研究科 医学専攻 病態制御内科学講座)
  • 海老原 健(京都大学 医学部附属病院 臨床研究総合センター)
  • 三宅 吉博(愛媛大学 大学院医学系研究科 疫学・予防医学)
  • 古川 安志(和歌山県立医科大学 内科学第一講座)
  • 難波 範行(鳥取大学 医学部)
  • 田部 勝也(山口大学 医学部附属病院)
  • 石井 角保(新潟県立看護大学 看護学部)
  • 窪田 拓生(国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
内分泌代謝領域の甲状腺、副甲状腺・ビタミンD、糖尿病の3領域に関してホルモン受容機構異常症の研究を行う。それぞれの領域の難病を中心として、診断基準の改訂、治療指針の策定、患者レジストリを構築する。
研究方法
副甲状腺ホルモン(PTH)不足性副甲状腺機能低下症・偽性副甲状腺機能低下症(PHP)の文献的考察を行い、副甲状腺機能低下症・PHPの疫学調査結果をまとめて診断基準改定のエビデンスとするともに、新たな低Ca血症性疾患鑑別フローチャート案の作成を進める。検索された原因疾患・遺伝子をPTH不足性副甲状腺機能低下症の鑑別フローチャートに加える。PHPの関連遺伝子検査を検討し、PHPの新たな分類、診断法を提唱する。ビタミンD抵抗性くる病/骨軟化症のアンケート調査結果を解析する。
関連学会の会員で甲状腺ホルモン不応症診療指針作成委員会を構成し、Minds・GRADEが定める手法に基づいて診療ガイドライン(GL)の作成を行う。甲状腺クリーゼに関しては、無機ヨウ素投与と生存転帰との関連について解析する。
インスリン抵抗症の診療実態調査、患者の病態・遺伝子解析などの患情報の収集などを行い、日本糖尿病学会と連携して、インスリン抵抗症の新たな疾患分類・診断基準を作成する。ウォルフラム症候群の疫学調査結果の再分析、新規症例解析を行い臨床情報を更新する。「脂肪萎縮症診療GL」の英語版の作成、先天性脂肪萎縮症の遺伝学的解析、レジストリ構築を行う。
結果と考察
PHPの2型は病型分類から除くこととした。1c型はGNAS遺伝子病的バリアントを有する1a型に含まれることが明らかとなった。Ellsworth-Howard試験を偽性副甲状腺機能低下症の診断上必須とはしないとした。Definite診断には遺伝子診断を加えた。本邦でも、GNAS遺伝子変異やインプリンティング異常の検討は、検査機関で可能であった。PTH不足性副甲状腺機能低下症の分類について、新たな遺伝性疾患の追加を検討し、新たにDiGeorge症候群2型 などを加えた。副甲状腺機能低下症以外の症状の有無によって症候性か否かで大別し、フローチャートに加えた。全国調査よりPTH不足性とPHPを鑑別するintact PTHのcut-off値として従来の30 pg/mlより高値の50 pg/mlが妥当であると考えられた。低Ca血症の原因としてのビタミンD「欠乏症」のcut-off値としては20 ng/mlよりさらに低い10-15 ng/mlが妥当と考えられた。PTH不足性とPHPの症例を有する診療科からデータを取得し、患者レジストリにデータを登録した。ビタミンD抵抗性くる病・骨軟化症の検討で、指定難病のdefiniteと除外診断を満たした症例は64%であった。データを患者レジストリに登録した。
甲状腺ホルモン不応症の診断基準、重症度分類、遺伝子診断の手引きを公表した。診療GLの作成を行った。甲状腺クリーゼの110例の登録を得た。無機ヨウ素の投与タイミングと生存転帰との間に有意な関連性を認めた。甲状腺クリーゼ診療GL普及により無機ヨウ素の投与率が80%から98%に増加したと考えられた。
インスリン抵抗症の新たな疾患分類及び診断基準を策定した。インスリン抵抗症を遺伝的インスリン抵抗症とB型インスリン抵抗症に大別した。遺伝的インスリン抵抗症は、インスリン受容体遺伝子異常、PI3Kp85α遺伝子異常、その他の遺伝子異常(AKT2やTBC1D4遺伝子異常など)、原因遺伝子未同定の4つに分類した。遺伝的インスリン抵抗症の主要症状は、「肥満やその他のインスリン抵抗性の原因を伴わない高インスリン血症」とし、主要症状があり、鑑別すべき疾患である脂肪萎縮性糖尿病が除外されれば、probable(疑い)とし、遺伝子検査によって原因遺伝子が特定されればdefinite(確診)と定義した。疾患レジストリの概要や形式、収集情報などを決定した。遺伝的インスリン抵抗症の疾患情報をさらに収集した。ウォルフラム症候群では、新たに3家系4人を加え、これまでに臨床的にウォルフラム症候群と診断された42家系54人の解析を行った。臨床症状の検討とWFS1遺伝子解析を行った。「脂肪萎縮症診療GL」の英語版の作成、先天性脂肪萎縮症症例の遺伝学的解析を実施した。レジストリ構築を進めた。
結論
内分泌代謝領域の甲状腺、副甲状腺・ビタミンD、糖尿病の3領域に関してホルモン受容機構異常症の研究を行った。それぞれの領域の難病を中心として、診断基準の改訂、治療指針の策定、患者レジストリの構築を行なった。そのために、疫学調査によるエビデンスを取り入れた。新しく報告された遺伝子異常なども積極的に取り入れた。

公開日・更新日

公開日
2026-01-05
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202310006C

収支報告書

文献番号
202310006Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
11,068,000円
(2)補助金確定額
8,414,000円
差引額 [(1)-(2)]
2,654,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,815,240円
人件費・謝金 1,555,171円
旅費 528,790円
その他 2,498,099円
間接経費 16,976円
合計 8,414,276円

備考

備考
千円以下切り捨てのため。

公開日・更新日

公開日
2024-09-26
更新日
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