高感度薬剤耐性HIV検出法を用いた微少集族薬剤耐性HIVの動態とHAART治療効果との相関についての研究

文献情報

文献番号
200932047A
報告書区分
総括
研究課題名
高感度薬剤耐性HIV検出法を用いた微少集族薬剤耐性HIVの動態とHAART治療効果との相関についての研究
課題番号
H21-エイズ・若手-019
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
西澤 雅子(国立感染症研究所 エイズ研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 杉浦 亙((独)名古屋医療センター 臨床研究センター 感染・免疫部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
3,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
米国CDCで開発された、定量PCRを応用した高感度薬剤耐性HIV検出法(高感度法)を用い、HAARTを受けている患者検体からダイレクトシーケンス法(通常法)では観察できないHIVの多様性(quasi-species)中に潜伏するminority populationの薬剤耐性HIVの有無を解析し、その出現頻度と治療の有効性を検討する。
研究方法
高感度法により、核酸系逆転写酵素阻害剤(NRTI)に対する耐性変異M41L, K65R, K70R, M184V, T215F/Y、非核酸系逆転写酵素阻害剤(NNRTI)に対する耐性変異K103N, Y181Cの計8変異を解析した(CRF01_AEはK65Rを除く7変異を解析対象とした)。解析対象として、国立感染症研究所で薬剤耐性検査を実施した患者検体の中から通常法による遺伝子検査で多剤耐性と判定された13症例(サブタイプ B 10症例、CRF01_AE 3症例)を選択した。また、この13症例の中から長期間に渡ってHAARTを受けていた3症例についてminority populationの薬剤耐性変異の経時的変化を解析し、通常法による薬剤耐性変異の解析結果と比較した。
結果と考察
13症例中3症例からminority populationの薬剤耐性HIVを検出した。また別の2症例から、通常法では検出できないminority populationの薬剤耐性HIVが2カ月~1年以上に渡って患者血中に存在していた事を確認した。minority populationの薬剤耐性HIVの検出率は3/13=23%であり、約1/4の割合で薬剤耐性HIVを見逃している可能性が示唆された。また過去の投与薬剤によって選択•誘導された薬剤耐性変異HIVが長期に渡ってminority populationとして存在することを立証した。2回目以降のHAARTレジメの変更に際しては、それ以前の治療による耐性HIVの存在を高感度法で確認する必要性を示唆している。
結論
多剤耐性症例の13サンプルについて通常法と高感度法の両方で薬剤耐性変異の検出を行い、高感度法の薬剤耐性検出頻度が通常法よりも高い事を確認した。また長期に渡ってHAART治療を行っていた3症例中2症例から、通常法では検出できないminority populationの薬剤耐性HIVが2か月~1年以上に渡って患者血中に存在していた事を明らかにした。

公開日・更新日

公開日
2014-05-26
更新日
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研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2011-02-16
更新日
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