文献情報
文献番号
202310003A
報告書区分
総括
研究課題名
治験を目的とした、成人発症白質脳症のレジストリーと評価方法に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
21FC1007
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
小野寺 理(国立大学法人新潟大学 脳研究所脳神経内科学分野)
研究分担者(所属機関)
- 水野 敏樹(京都府立医科大学医学研究科)
- 池内 健(国立大学法人新潟大学 脳研究所)
- 冨本 秀和(三重大学大学院医学系研究科神経病態内科学)
- 植田 光晴(熊本大学 大学院生命科学研究部 脳神経内科学)
- 猪原 匡史(国立研究開発法人国立循環器病研究センター 脳神経内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
13,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、成人発症白質脳症の病態解明と医療基盤の構築を目的としています。特に、CADASIL、HTRA1関連脳小血管病、LMNB1関連白質脳症などの難治性疾患を対象とし、これらの疾患の病態メカニズムの解明、診断基準の策定、新たな治療法の開発を目指しました。
研究方法
文献調査: CADASILの病態解明に関する文献を収集し、総説を作成。
MRI画像研究: 過去5年間の頭部MRI画像を後方視的に検討し、白質病変の特徴を分析。
遺伝学的検査: NOTCH3のHot spot解析および次世代シークエンサーによる遺伝子診断パネル解析を実施。
医師主導治験: アドレノメデュリンのCADASILに対する効果を検証する治験を実施。
国際レジストリの構築: 東アジアCADASILレジストリの構築を開始し、臨床データの収集と解析を行う。
HTRA1関連脳小血管病の研究: MRI SWIを用いて静脈異常を検出し、他の脳小血管病との比較を実施。
LMNB1関連白質脳症の研究: 日本人ADLD症例を対象に、臨床・画像所見を抽出し、診断基準案を作成。
MRI画像研究: 過去5年間の頭部MRI画像を後方視的に検討し、白質病変の特徴を分析。
遺伝学的検査: NOTCH3のHot spot解析および次世代シークエンサーによる遺伝子診断パネル解析を実施。
医師主導治験: アドレノメデュリンのCADASILに対する効果を検証する治験を実施。
国際レジストリの構築: 東アジアCADASILレジストリの構築を開始し、臨床データの収集と解析を行う。
HTRA1関連脳小血管病の研究: MRI SWIを用いて静脈異常を検出し、他の脳小血管病との比較を実施。
LMNB1関連白質脳症の研究: 日本人ADLD症例を対象に、臨床・画像所見を抽出し、診断基準案を作成。
結果と考察
1. CADASIL:
(ア) MRI画像研究では、CADASILの白質病変が高血圧性脳小血管病よりも大きく、EPVSの存在が高率であることが確認されました。
(イ) 遺伝学的検査では、190例中45例にNOTCH3 exon 34の病原性バリアントを検出。
(ウ) アドレノメデュリンの治験で、CADASILに対するProof of Conceptを得ました。
(エ) 東アジアCADASILレジストリの構築により、1000人以上の患者が登録されました。
2. HTRA1関連脳小血管病:
(ア) MRI SWIを用いた研究で、HRSVeDに特徴的な静脈異常(CCSとDMV不明瞭化)が検出されました。
3. LMNB1関連白質脳症:
(ア) 臨床徴候として、自律神経障害や錐体路徴候が多く、脳MRIでは大脳白質病変と中小脳脚病変(MCPサイン)が特徴的であることが確認されました。
(イ) 遺伝学的検査では、LMNB1重複や上流欠失が同定されました。
CADASILの病態仮説として、N3ECDカスケード仮説が主流であるが、変異がNotchシグナル障害を経て病態に関与する可能性も示唆されました。CADASILの白質病変におけるEPVSの診断的重要性が確認され、今後、側頭極のIPAD機能に着目する必要があります。HTRA1関連脳小血管病では、静脈異常の再現性をさらに多くの症例で確認する必要があります。LMNB1関連白質脳症では、診断基準の策定により、適切な診断が促進されることが期待されます。
(ア) MRI画像研究では、CADASILの白質病変が高血圧性脳小血管病よりも大きく、EPVSの存在が高率であることが確認されました。
(イ) 遺伝学的検査では、190例中45例にNOTCH3 exon 34の病原性バリアントを検出。
(ウ) アドレノメデュリンの治験で、CADASILに対するProof of Conceptを得ました。
(エ) 東アジアCADASILレジストリの構築により、1000人以上の患者が登録されました。
2. HTRA1関連脳小血管病:
(ア) MRI SWIを用いた研究で、HRSVeDに特徴的な静脈異常(CCSとDMV不明瞭化)が検出されました。
3. LMNB1関連白質脳症:
(ア) 臨床徴候として、自律神経障害や錐体路徴候が多く、脳MRIでは大脳白質病変と中小脳脚病変(MCPサイン)が特徴的であることが確認されました。
(イ) 遺伝学的検査では、LMNB1重複や上流欠失が同定されました。
CADASILの病態仮説として、N3ECDカスケード仮説が主流であるが、変異がNotchシグナル障害を経て病態に関与する可能性も示唆されました。CADASILの白質病変におけるEPVSの診断的重要性が確認され、今後、側頭極のIPAD機能に着目する必要があります。HTRA1関連脳小血管病では、静脈異常の再現性をさらに多くの症例で確認する必要があります。LMNB1関連白質脳症では、診断基準の策定により、適切な診断が促進されることが期待されます。
結論
本研究により、CADASILの病態解明、HTRA1関連脳小血管病の新規バイオマーカーの発見、LMNB1関連白質脳症の診断基準の策定が進展しました。これにより、成人発症白質脳症の診断・治療が向上することが期待されます。
公開日・更新日
公開日
2025-05-23
更新日
-