エイズ感染細胞での配列特異的遺伝子組み換えによる効率的なHIV遺伝子除去法の開発

文献情報

文献番号
200932045A
報告書区分
総括
研究課題名
エイズ感染細胞での配列特異的遺伝子組み換えによる効率的なHIV遺伝子除去法の開発
研究課題名(英字)
-
課題番号
H20-エイズ・若手-016
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
野村 渉(国立大学法人 東京医科歯科大学 生体材料工学研究所)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
3,405,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
現在のHIV感染患者における治療は、多剤併用療法が主流であり成果を挙げているが、副作用や高額な医療費、またエスケープミュータントの発生などが問題点となっている。長期にわたる投薬も患者のQOL面から望ましくない。本研究では、特定の遺伝子配列に対して働くDNA組換え酵素を用いて感染細胞のゲノム中に組み込まれたHIV-1プロウイルス遺伝子を除去するという新規な治療法の開発を行う。本方法では根本的にウイルス産生を抑制できるため、画期的な治療法の一つとなると考えられる。
研究方法
保存度の高いgag-pol遺伝子配列に対して特異的に結合するZFP遺伝子を構築する。DNA結合活性が確認されたZFPに組換え酵素ドメインTn3を融合させ、大腸菌内で発現、酵素活性の確認を行う。哺乳類細胞内での酵素活性評価は、標的となるgag遺伝子配列を両端に置いた蛍光タンパク質遺伝子を有するプラスミドをレポーターとして用いた。このプラスミド遺伝子をCHO-K1細胞に導入して安定的にレポーターを発現する細胞株を樹立する。標的配列に特異的なDNA組換え反応が進行した場合、蛍光タンパク質の遺伝子が欠損するため、FACSで検出できる。感染細胞からの遺伝子切除の定量的評価は、ウイルス産生細胞に対して4種類のZFP融合型組換え酵素を導入し、4?10週後にウイルス粒子産生数の変化をp24抗体によるELISA法で追跡する。
結果と考察
構築したZFPは10-400nMという強いDNA結合活性を有することが明かになった。ZFP組換え酵素融合体を作成して大腸菌内で発現させたところ、50%以上の酵素活性が確認できた。レポーター細胞に4種類のZFP融合Tn3をトランスフェクションで導入して、FACSによって反応効率を確認した結果、10%程度であることが明らかになった。各融合酵素の発現はウェスタンブロットによって確認された。感染細胞における組み換え反応は細胞への導入効率を向上させるためにウイルスベクターを用いる方法を採用し、ウイルス力価の最適化を行っている。
結論
細胞内における酵素の反応効率についてモデル反応系において10%程度であることが明らかになった。さらに高い活性を得るために酵素活性ドメインの最適化が必要である。また、標的配列周辺のクロマチン構造がDNA結合の障壁となる可能性があるため、ChIPアッセイでの確認に取り組んでいる。今後は分子進化法によってアミノ酸配列を最適化した高い活性を持つ酵素ドメインを見出すことが重要になると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2014-05-26
更新日
-