HIV診療支援ネットワークを活用した診療連携の利活用に関する研究

文献情報

文献番号
200932035A
報告書区分
総括
研究課題名
HIV診療支援ネットワークを活用した診療連携の利活用に関する研究
課題番号
H20-エイズ・指定-011
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
菊池 嘉(国立国際医療研究センター 病院)
研究分担者(所属機関)
  • 山本 隆一(東京大学 情報学環)
  • 木内 貴弘(東京大学 医学部附属病院)
  • 岩本 愛吉(東京大学 医科学研究所)
  • 岡村 牧男(特定非営利活動法人 ネットワーク医療と人権)
  • 佐藤 典宏(北海道大学病院 高度先進医療センター)
  • 伊藤 俊広(独立行政法人国立病院機構仙台医療センター 内科)
  • 田邊 嘉也(新潟大学 大学院医歯学総合研究科)
  • 横幕 能行(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター 感染症科)
  • 上田 幹夫(石川県立中央病院 血液免疫内科)
  • 渡邊 大(独立行政法人大阪医療センター 臨床研究センター)
  • 藤井 輝久(広島大学病院 輸血部)
  • 南 留美(独立行政法人九州医療センター 免疫感染症科)
  • 宮城島 拓人(独立行政法人勤労者福祉機構釧路労災病院 副院長)
  • 健山 正男(琉球大学医学部 分子病対感染症学分野)
  • 山下 俊一(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
50,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
薬害HIV訴訟の和解内容に基づき、日本全国のHIV診療の質を高める目的で運用されていたA-netは運用開始から10年以上が経過し、現在停止されている。新たなA-netを構築することを視野に入れ、本研究ではシステムの一部を検討することを目的とし、本年度においては拠点間での機密情報の送受信を安心・安全に行う方法を検討する。並びに各診療機関がすでに蓄積している診療情報の統合したデータベースを構築することを念頭に、それぞれのデータの内容について精査・解析を行う。
研究方法
診療データの送受信においてはインターネット回線を使用して、送受信するデータについて暗号化・物理的/時間的に分割処理を施した上で送受信を行うプログラムを作成し、実証実験を行った。
各病院の保有する診療データの解析は、CSV形式で出力されたものについてプログラムで処理を施してCD4数、HIV-RNA量の推移とHAARTの有無を確認の上診療結果の統計をグラフ化する。また、併せてそれぞれの表記方法を精査する。
結果と考察
1.CD4,ウイルス量、治療薬の内容等のデータを参加12施設から収集し、親施設で効果判定の解析を行った。連結不可能匿名化した5000症例以上のデータを収集した。CD4数、ウイルス量、HAART処方内容が記録され、処方開始後6ヶ月以上経過観察されている症例を効果判定対象患者とした。治療未導入例を除き、治療開始後6ヶ月以上治療経過が追えた症例は3188症例であった。そのうち2142症例(67.2%)でウイルス量が検出限界未満(記録年度により50コピー未満が最高の場合を含む)に抑制されていることが分かった。
結論
全国の主要施設からの実データを用いた今回の結果は疫学上も大きな意義があると考えられる。A-netの参加者が500名強であったことを考えると、今回はその約6倍に及び、不揃いながらもデータを集積出来たことは意義深い。
10年以上前に比べて、臨床現場は多忙になっており、医療従事者によるデータ入力には限界がる。A-netが充実して継続されるためには、全国でいかに統一されたデータをシステムで合理的に収集るかが今後の課題となろう。人手のかからない新システムの構築が喫緊の課題である。

公開日・更新日

公開日
2014-05-26
更新日
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