文献情報
文献番号
202308047A
報告書区分
総括
研究課題名
糖尿病の実態把握と発症予防・重症化予防のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23FA1020
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
山内 敏正(東京大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
- 菊池 透(埼玉医科大学病院 小児科)
- 赤澤 宏(東京大学医学部付属病院 循環器内科学)
- 田中 哲洋(東北大学 医学系研究科 腎・膠原病・内分泌内科学 村田)
- 村田 敏規(信州大学 医学部)
- 東 尚弘(国立大学法人 東京大学 大学院医学系研究科公衆衛生学分野)
- 後藤 温(横浜市立大学 医学部公衆衛生学教室)
- 野田 龍也(公立大学法人奈良県立医科大学 医学部 公衆衛生学講座)
- 脇 裕典(秋田大学 大学院医学系研究科)
- 矢部 大介(岐阜大学 医学系研究科)
- 津下 一代(丹羽 一代)(女子栄養大学 栄養学部)
- 山口 聡子(東京大学 大学院医学系研究科 糖尿病・生活習慣病予防講座)
- 青山 倫久(東京大学 医学部)
- 相原 允一(東京大学 医学部)
- 杉山 雄大(国立研究開発法人国立国際医療研究センター 研究所糖尿病情報センター)
- 大杉 満(国立国際医療研究センター糖尿病情報センター)
- 今井 健二郎(国立国際医療研究センター 研究所 糖尿病情報センター)
- 杉山 庸子(井花 庸子)(国立国際医療研究センター 糖尿病内分泌代謝科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
8,462,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の目的は、匿名医療保険等関連情報データベース(NDB)等の各種調査を用いて日本全体における糖尿病及び合併症の更なる実態把握を行い、発症予防や重症化予防における課題を抽出し解決策を検討すること、自治体における第8次医療計画の指標の活用に係る課題の整理と解決策を検討すること、患者の視点も包含した望ましい医療提供体制への課題の抽出と解決策を検討することである。本年度は1年目であり、以下の通り研究を進めた。
研究方法
【1. 糖尿病及び合併症の実態把握】
NDB研究テーマについて、研究班内でNDB研究テーマを整理しながらデータ分析の準備を進めた。第8次医療計画糖尿病の医療体制構築に係る現状把握のための指標について、未だ定義が定まっていなかった指標について、JMDC Claims Databaseを分析し定義案を作成することで、NDB分析と厚生労働省から自治体への公表に貢献した。1型糖尿病に関する研究では、NDB特別抽出データを分析し、1型糖尿病患者数を病名、血糖自己測定器加算等を用いた複数定義で算出し、属性分布を調べた。
【2. 自治体・行政からの視点を把握】
第8次医療計画中間見直しにあたり、第7次医療計画と第8次医療計画までにおける糖尿病に関する指標策定の経緯を研究班内で共有し、追加指標案の策定に向けた活動の方向性や目安について議論を進めた。そして、ヒアリング先の自治体とインタビュー項目を検討し、自治体へのヒアリング調査の準備を進めた。
【3. 患者からの視点を把握】
(1)患者への調査
日本糖尿病協会会員の患者調査では、受診中断者の割合やその理由等を調査した。
(2)1型糖尿病に関する検討
1型糖尿病に関する検討について、2018年3月から5年間の小児・思春期1型糖尿病の診療実態について追跡調査を行った。
NDB研究テーマについて、研究班内でNDB研究テーマを整理しながらデータ分析の準備を進めた。第8次医療計画糖尿病の医療体制構築に係る現状把握のための指標について、未だ定義が定まっていなかった指標について、JMDC Claims Databaseを分析し定義案を作成することで、NDB分析と厚生労働省から自治体への公表に貢献した。1型糖尿病に関する研究では、NDB特別抽出データを分析し、1型糖尿病患者数を病名、血糖自己測定器加算等を用いた複数定義で算出し、属性分布を調べた。
【2. 自治体・行政からの視点を把握】
第8次医療計画中間見直しにあたり、第7次医療計画と第8次医療計画までにおける糖尿病に関する指標策定の経緯を研究班内で共有し、追加指標案の策定に向けた活動の方向性や目安について議論を進めた。そして、ヒアリング先の自治体とインタビュー項目を検討し、自治体へのヒアリング調査の準備を進めた。
【3. 患者からの視点を把握】
(1)患者への調査
日本糖尿病協会会員の患者調査では、受診中断者の割合やその理由等を調査した。
(2)1型糖尿病に関する検討
1型糖尿病に関する検討について、2018年3月から5年間の小児・思春期1型糖尿病の診療実態について追跡調査を行った。
結果と考察
【1. 糖尿病及び合併症の実態把握】
健診・レセプトデータを用いた糖尿病性腎症重症化予防のプログラムの介入効果の分析では、複数の自治体を対象に分析し、腎機能の変化、糖尿病に関する受診率、HbA1c等を調査した結果を厚生労働省へ還元した。
【3. 患者からの視点を把握】
(1)患者への調査
主な理由は治療の優先順位や経済的負担、医療関係者への不信感などが挙げられ、治療再開の動機は体調悪化や医療機関とのコミュニケーション改善などが挙げられた。また、糖尿病のある人の生きづらさやスティグマについて、社会生活や将来への不安などについても明らかになった。つくば市での生活習慣関連のアンケート調査では、眼底検査の実施率は受診勧奨経験がある群は約90%とない群の約50%と比べて高かった。社会の糖尿病に対する理解不足を感じている者が1型で約40%、2型で服薬の有無により約10~20%程度存在した。
(2)1型糖尿病に関する検討
インスリン投与方法は、MDIが減少傾向、CSII・SAPが増加傾向であった。また血糖モニタリング方法では、従来器機が減少傾向、isCGMが増加傾向であった。1型糖尿病の先進治療が普及した。一方で、HbA1血糖コントロールの改善には直結せず、特に思春期患者での改善は進んでいなかった。患者の気持ちに寄り添いながら支援していくことが重要であると考える。
健診・レセプトデータを用いた糖尿病性腎症重症化予防のプログラムの介入効果の分析では、複数の自治体を対象に分析し、腎機能の変化、糖尿病に関する受診率、HbA1c等を調査した結果を厚生労働省へ還元した。
【3. 患者からの視点を把握】
(1)患者への調査
主な理由は治療の優先順位や経済的負担、医療関係者への不信感などが挙げられ、治療再開の動機は体調悪化や医療機関とのコミュニケーション改善などが挙げられた。また、糖尿病のある人の生きづらさやスティグマについて、社会生活や将来への不安などについても明らかになった。つくば市での生活習慣関連のアンケート調査では、眼底検査の実施率は受診勧奨経験がある群は約90%とない群の約50%と比べて高かった。社会の糖尿病に対する理解不足を感じている者が1型で約40%、2型で服薬の有無により約10~20%程度存在した。
(2)1型糖尿病に関する検討
インスリン投与方法は、MDIが減少傾向、CSII・SAPが増加傾向であった。また血糖モニタリング方法では、従来器機が減少傾向、isCGMが増加傾向であった。1型糖尿病の先進治療が普及した。一方で、HbA1血糖コントロールの改善には直結せず、特に思春期患者での改善は進んでいなかった。患者の気持ちに寄り添いながら支援していくことが重要であると考える。
結論
本研究は、【糖尿病及び合併症の実態把握に関する研究】、【糖尿病患者からの視点に関する研究】の大きな2つのテーマに分け、研究を推進した。
本年度は、2型糖尿病患者に対する糖尿病薬初回処方の実態を明らかにし、その他の研究の今後の道筋を決定した。来年度以降も引き続き我が国の糖尿病対策の医療政策に資する成果を目指して研究を進める。
本年度は、2型糖尿病患者に対する糖尿病薬初回処方の実態を明らかにし、その他の研究の今後の道筋を決定した。来年度以降も引き続き我が国の糖尿病対策の医療政策に資する成果を目指して研究を進める。
公開日・更新日
公開日
2025-04-02
更新日
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