文献情報
文献番号
202308045A
報告書区分
総括
研究課題名
回復期以降の循環器病に対する多職種連携による患者支援体制の充実・普及に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23FA1018
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
宮本 享(国立大学法人京都大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
- 藤本 茂(自治医科大学 内科学講座神経内科学部門)
- 安田 聡(東北大学 大学院医学系研究科 循環器内科学分野)
- 小笠原 邦昭(学校法人岩手医科大学 医学部 脳神経外科学講座)
- 山本 一博(鳥取大学 医学部)
- 片岡 大治(国立循環器病研究センター 脳神経外科)
- 安斉 俊久(北海道大学大学院医学研究院 循環病態内科学教室)
- 牧田 茂(埼玉医科大学 国際医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
3,847,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
日本循環器学会及び日本脳卒中学会と連携し、回復期以降の循環器病に対する患者支援体制の現状調査を行い、上記の研究で抽出された課題の原因を調査し、多職種・多機関の連携による支援体制を充実させするための手法を提案することを目的とする
研究方法
心臓病SWGにおいて令和5年度に実施した調査研究の方法は以下の通りである。詳細は
別添4に記載した。
① 慢性心不全看護認定看護師や心不全療養指導士を対象とした調査
② 相談支援窓口に従事する多職種スタッフへの調査
③ 脳卒中・心臓病等総合支援センター事業採択府県における循環器相談支援部門の支援体制の調査
脳卒中SWGにおいては、令和5年度に、岩手県・宮城県・栃木県・富山県・京都府・福岡県・熊本県の7府県において、ほぼすべての急性期・回復期リハビリテーション病院から直接自宅退院した69歳以下の急性期脳卒中発病前に就労していた患者を対象として、両立支援に関する調査を施行した
別添4に記載した。
① 慢性心不全看護認定看護師や心不全療養指導士を対象とした調査
② 相談支援窓口に従事する多職種スタッフへの調査
③ 脳卒中・心臓病等総合支援センター事業採択府県における循環器相談支援部門の支援体制の調査
脳卒中SWGにおいては、令和5年度に、岩手県・宮城県・栃木県・富山県・京都府・福岡県・熊本県の7府県において、ほぼすべての急性期・回復期リハビリテーション病院から直接自宅退院した69歳以下の急性期脳卒中発病前に就労していた患者を対象として、両立支援に関する調査を施行した
結果と考察
心臓病SWGによる慢性心不全看護認定看護師や心不全療養指導士を対象とした調査では、相談支援の対象となった疾患は心不全、虚血性心疾患、弁膜症、頻脈性不整脈が上位を占めた。循環器疾患の患者・家族への相談支援における多職種連携について27%が意見を出し合う場面が十分でない、30%が合意形成が十分に行われていないと回答した。また、 相談支援窓口に従事する多職種スタッフへの調査では、相談支援のニーズが高い疾患として、心不全、心筋症、虚血性心疾患が挙げられた。詳細は別添4に記載した。
脳卒中SWGによる7府県調査では、岩手県・宮城県・栃木県・富山県・京都府・福岡県・熊本県の7府県において、直接自宅退院した69歳以下の急性期脳卒中発病前に就労していた患者は1640名であることが判明した。この7府県で、日本脳卒中学会の一次脳卒中センター年次報告データによると令和4年に発生した急性期脳卒中は38786名であるため、両立支援の潜在的な対象者は急性期脳卒中患者の約8.5%であることが、悉皆性のある調査により判明した。
心臓病SWGによる調査について詳細は別添4に記載した。相談支援における多職種連携の重要性は認識されているものの、意見交換や合意形成の不十分さが課題であることが判明した。また、対応が困難と感じる内容として挙げられた緩和ケア、予後、不安・精神的苦痛については、他の専門職との連携を強化する必要がある。地域連携において対応が困難とされた内容については、総合支援センターと各医療機関との連携による対応が一層求められる。回復期以降の具体的な支援内容として医療福祉相談や復職・就職支援が挙げられ、社会福祉士が回復期以降の相談支援において重要な役割を担っていることが示唆されることから、回復期以降の循環器疾患患者の相談支援における社会福祉士の役割の実態と課題を明らかにすることが望まれる。
脳卒中SWGにおける調査では、岩手県・宮城県・栃木県・富山県・京都府・福岡県・熊本県の7府県において令和5年度下半期に発生したほぼすべての急性期脳卒中症例が対象とされ、その中で両立支援の潜在的な対象者(すなわち、発病前に就労している69歳以下で自宅に復帰できた脳卒中患者)は8.5%であることが示された。この限られた対象に対して有効に仕事と治療の両立支援をおこなっていく対策を今後検討する必要がある。令和6年度には、本調査と同様の手法で、脳卒中・心臓病等総合支援センター事業採択府県において、どのような就労支援リハビリテーションが、どのような職種によって、いつの時期に行われているかの調査が行われる予定であり、適切な両立支援の展開について検討が行われる見込みである
脳卒中SWGによる7府県調査では、岩手県・宮城県・栃木県・富山県・京都府・福岡県・熊本県の7府県において、直接自宅退院した69歳以下の急性期脳卒中発病前に就労していた患者は1640名であることが判明した。この7府県で、日本脳卒中学会の一次脳卒中センター年次報告データによると令和4年に発生した急性期脳卒中は38786名であるため、両立支援の潜在的な対象者は急性期脳卒中患者の約8.5%であることが、悉皆性のある調査により判明した。
心臓病SWGによる調査について詳細は別添4に記載した。相談支援における多職種連携の重要性は認識されているものの、意見交換や合意形成の不十分さが課題であることが判明した。また、対応が困難と感じる内容として挙げられた緩和ケア、予後、不安・精神的苦痛については、他の専門職との連携を強化する必要がある。地域連携において対応が困難とされた内容については、総合支援センターと各医療機関との連携による対応が一層求められる。回復期以降の具体的な支援内容として医療福祉相談や復職・就職支援が挙げられ、社会福祉士が回復期以降の相談支援において重要な役割を担っていることが示唆されることから、回復期以降の循環器疾患患者の相談支援における社会福祉士の役割の実態と課題を明らかにすることが望まれる。
脳卒中SWGにおける調査では、岩手県・宮城県・栃木県・富山県・京都府・福岡県・熊本県の7府県において令和5年度下半期に発生したほぼすべての急性期脳卒中症例が対象とされ、その中で両立支援の潜在的な対象者(すなわち、発病前に就労している69歳以下で自宅に復帰できた脳卒中患者)は8.5%であることが示された。この限られた対象に対して有効に仕事と治療の両立支援をおこなっていく対策を今後検討する必要がある。令和6年度には、本調査と同様の手法で、脳卒中・心臓病等総合支援センター事業採択府県において、どのような就労支援リハビリテーションが、どのような職種によって、いつの時期に行われているかの調査が行われる予定であり、適切な両立支援の展開について検討が行われる見込みである
結論
調査研究の結果から、多職種・多機関連携による循環器疾患の相談支援の現状を明らかにした。引き続き調査研究を実施し、回復期以降の適切な相談支援に必要な体制・要件を整理することが求められる
公開日・更新日
公開日
2024-09-13
更新日
-