文献情報
文献番号
202308040A
報告書区分
総括
研究課題名
KDB突合データ利活用による生活習慣病評価と、遠隔面談を可能にする保健指導及び重症化予防における、特定健診・後期高齢者健診・特定保健指導のDX推進とデータの一元化
研究課題名(英字)
-
課題番号
23FA1013
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
内村 直尚(学校法人 久留米大学 )
研究分担者(所属機関)
- 野村 政壽(久留米大学 医学部内科学講座)
- 川口 巧(久留米大学医学部内科学講座 消化器内科部門)
- 角間 辰之(久留米大学 バイオ統計センター)
- 小路 純央(久留米大学 高次脳疾患研究所)
- 松瀬 博夫(久留米大学 リハビリテーション部)
- 甲斐田 裕介(久留米大学 医学部内科学講座腎臓内科部門)
- 中山 智史(NTTデータ九州 公共ビジネス統括部)
- 中村 高歩(CMIC Trust株式会社)
- 山中 和仁(株式会社アイロムOM)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
7,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究では健康寿命の延伸を目標に、生活習慣病の対策として以下の有効性の検証を行う。健康増進計画としてKDB突合データの利活用によりAIによる現状分析と、ICD-10分類による疾病リスクを4段階で分類を行う、リスクに応じたアプローチとして、IoT機器との連携も可能な健康増進統合アプリを提供し、健康データの見える化と、アプリを用い自らの健康増進に向けた生活活動記録の仕組みを構築する。また特定保健指導において、多職種が指導・助言も行えるアプリと管理端末によるICTを活用した遠隔可能な保健指導システム導入する。
今回わが国の健康課題の1つである「睡眠による休息感の改善」に対して、自治体での実態調査と睡眠介入による心身の影響について評価検討する。
今回わが国の健康課題の1つである「睡眠による休息感の改善」に対して、自治体での実態調査と睡眠介入による心身の影響について評価検討する。
研究方法
佐賀県三養基郡基山町在住の特定健診、後期高齢者健診受診者を対象とした。重症化予測AIとリスク予測分析については、AMED「AIを活用した保健指導システム研究推進事業」で開発されたAI分析エンジンを用いた。健康増進統合アプリWell-Being fromくるめ(以下WBFくるめ)を開発し、健診データ等の見える化と、アプリと連動可能なIoT技術を活用して、日々の健康や健康増進に向けた生活・活動(食事・運動・睡眠など)を記録する。アプリは、チャット機能も有しており、保健指導の面談の予約や、対象者の課題に合った資料を送付するなど、双方向でのやり取りが行えるため、遠隔可能な保健指導を計画した。今回「睡眠による休息感の改善」として、健診時に睡眠の位相、質、量の評価可能な三次元睡眠評価尺度(3DSS)を用いた実態調査と、睡眠に課題がある方45名に対して、睡眠計測可能なwearable deviceと、非接触型機器のIoT機器とアプリを連動させ、睡眠の客観的評価と見える化を図り3ヶ月間の介入を行い、心身に及ぼす影響として、Inbody、血圧、SF-8、QoL-28等の評価を行った。
結果と考察
重症化予測AIで基山町での現状分析、リスク予測分析を行った。現状分析では、国保、後期高齢者のデータを、入院・外来区分、ICD-10名称区分での分析、個人毎の過去5年間の医療費内訳、健診結果までを評価出来た。リスク分析では、年度ごと各疾病について、特に2型糖尿病、慢性腎臓病の過去5年間の推移を検討した。今回WBFくるめと、IoT機器との連動により、自ら食事や運動、睡眠記録や、禁煙や飲酒など、健康のセルフチェック、サポートを行える仕組みを構築した。2023年度の町のイベント事業で、糖尿病や慢性腎臓病、睡眠に関する普及啓発と、WBFくるめアプリを提供し、3DSSやInbody等の計測会も実施した。
保健指導は、従来の対面面談に加え、WBFくるめアプリと管理端末によるICTを活用した遠隔での保健指導を可能にするハイブリッド保健指導システムの準備を終えた。
「睡眠による休養感の向上」については、今回基山町において3DSSを用いた実態調査を行った。611名の結果から76%もの方が、位相(リズム)、質、量に注意又は警告など課題があること、中でも若い方は、睡眠の位相や睡眠の量(睡眠時間)に課題があり、より高齢者には睡眠の質に課題があることが判明した。さらに3DSSでの主観的評価の結果に基づいて睡眠指導を行い、IoT機器での睡眠の客観的評価として見える化を図り、3ヶ月間の介入の結果、3DSSでの睡眠の質、量の改善、血圧やBMIの適正化、SF-8の体の痛み(BP)、社会生活機能(SF)などの改善を認めた。睡眠計測可能なIoT機器の使用やICT機器の活用による睡眠のフィードバックは、自身の睡眠の主観のみならず、客観的な評価も行え、自身の睡眠の気づきと認識の変化につながり、アンケート結果からも睡眠を改善するように自ら昼間の活動性を上げるなどの行動を起こす一助になったと思われた。
保健指導は、従来の対面面談に加え、WBFくるめアプリと管理端末によるICTを活用した遠隔での保健指導を可能にするハイブリッド保健指導システムの準備を終えた。
「睡眠による休養感の向上」については、今回基山町において3DSSを用いた実態調査を行った。611名の結果から76%もの方が、位相(リズム)、質、量に注意又は警告など課題があること、中でも若い方は、睡眠の位相や睡眠の量(睡眠時間)に課題があり、より高齢者には睡眠の質に課題があることが判明した。さらに3DSSでの主観的評価の結果に基づいて睡眠指導を行い、IoT機器での睡眠の客観的評価として見える化を図り、3ヶ月間の介入の結果、3DSSでの睡眠の質、量の改善、血圧やBMIの適正化、SF-8の体の痛み(BP)、社会生活機能(SF)などの改善を認めた。睡眠計測可能なIoT機器の使用やICT機器の活用による睡眠のフィードバックは、自身の睡眠の主観のみならず、客観的な評価も行え、自身の睡眠の気づきと認識の変化につながり、アンケート結果からも睡眠を改善するように自ら昼間の活動性を上げるなどの行動を起こす一助になったと思われた。
結論
重症化予測AIによる現状分析と疾病のリスク評価、健康統合アプリの開発を通して、健康状態の評価のみならず、健康に関するデータの見える化と、睡眠などを含めた日々の健康活動を記録することも可能であり、個人の意識と行動の変容につながる。またアプリと、管理端末によるICTの活用は、遠隔可能な保健指導や重症化予防にもつながる。これらのデータを特定健診対象年である40歳以降から生涯にわたるデータの一元化としてプラットフォームを形成しており、横断的な解析とともに、中長期的な前向きコホート研究としてもデジタル化され、より効率的・効果的なデータヘルスの普及に向けた評価指標として活用できる。
今後は、各自治体はもちろんのこと、企業や学校の教職員や学生などの健康管理にも応用可能であり、女性のヘルスケアや妊産婦や子どもから高齢者まで生涯にわたるプラットフォーム形成を目指している。
今後は、各自治体はもちろんのこと、企業や学校の教職員や学生などの健康管理にも応用可能であり、女性のヘルスケアや妊産婦や子どもから高齢者まで生涯にわたるプラットフォーム形成を目指している。
公開日・更新日
公開日
2024-09-11
更新日
-